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計算の上での行動、ではないのだろうな

民主・枝野氏、クリミア訪問計画の鳩山元首相を「元自民」と突き放し 「今は民主にも属していない」(産経新聞)
 民主党の枝野幸男幹事長は6日、鳩山由紀夫元首相がウクライナ南部クリミア半島への訪問を計画していることに関し「その方は元自民党の議員でもあり、元民主党の議員でもある。今は少なくとも民主党に属している方ではない」と述べ、不快感をあらわにした。国会内で記者団に語った。

 ロシアは昨年3月、クリミア半島の併合を一方的に宣言したが、日本を含め先進7カ国(G7)は承認していない。政府は鳩山氏に訪問を自粛するよう求めている。

 「好き」の反対は「無関心」なのだと主張する人もいて、その辺は今一つ納得できなかったりもするのですが、とりあえず大手新聞社の中でロシア関係の報道が最も多い印象のある産経新聞は、他紙に比べればロシアが「好き」に近いのでしょうか。それはさておき鳩山元首相が自粛要請を振り切ってクリミアを訪問したことが伝えられています。いったい何を意図しての行動なのか読みづらいところ、これといった支持も得られていないようですけれど……

 自民党からも民主党からも歓迎する声が聞こえてくる様子はないのですが、枝野の言う「その方は元自民党の議員でもあり~」みたいな切り捨て方はどうなんでしょうね。確かに民主党議員の中には元・自民党の政治家も多く、鳩山もその一人ではありますけれど、ここで自民党への所属歴を持ち出す辺りは枝野の得意の責任転嫁という印象を拭えないところです。まぁ、枝野も今は少なくとも政府与党に属している方ではないので、もうどうでもいいです。

 それはさておき「バカとハサミは使いよう」とも言います。アントニオ猪木とか北朝鮮訪問を強行したりと政府方針を無視して行動したわけですが、そうした暴走によって「ちょっと普通ではない人脈」を持った人は、起用法次第では役に立つこともあるでしょう。例えばどこぞやの紛争地帯で日本人が捕まった場合とか、真っ当なルートでは交渉のツテがないような場合でも日陰のルートを当たれる人がいれば、また話は違ったりしますから。鳩山の奇妙なクリミア訪問も、何かの機会に使い道が見つかることもあるかも知れません。本人がそれを意図しているかは別ですが。

 かつて保守本流と呼ばれ、今は左翼と産経新聞などからは呼ばれているような人々が主流であった頃の自民党は、言うなれば「汚い大人」みたいな喩えがシックリ来るように思います。逆に今は「正義を振りかざす子供」ですね、与党も野党も。クリーンな政府ではなかったけれど、今よりはずっと大人であったろうなと昔の自民党を私は評価していますが、そうした時代には国際的な孤立を深めていた南アフリカと親しく付き合っては「名誉白人」との称号をもらったり、インドネシアの独裁者に日本人ホステスを差し出して懐柔を計ったりと、まぁ「汚い付き合い」で利を得ようとするケースも多かったわけです。そうした「搦め手」が見られなくなった近年の日本の外交に拙さを感じる身としては、ロシアに接近してみせる鳩山流を「面白いかな」と感じないでもありません。

鳩山元首相、クリミア併合を「対話解決の実例示した」と称賛 住民投票も「民主的」 プーチン側近と会談(産経新聞)
 鳩山由紀夫元首相は13日、訪問先のモスクワで、ロシアのプーチン大統領の側近ナルイシキン下院議長と会談し、ロシアがウクライナから一方的に併合したクリミアをめぐり「武力行使や戦争ではなく対話で問題解決できる実例を示した」と述べた。

 そしてまぁ、このように述べているわけです。どうなんでしょうね、曰く「対話で問題解決できる実例」とのこと、真面目に言っているのならやはり鳩山は頭が悪いなと言うほかありません――そんな鳩山を代表に据えた党があったとか、あろう事か首相まで務めたことがあるというのは、それ以上に頭の痛くなる事態ですが。

 ロシアがクリミアでやっているのと似たようなことをアメリカがやったのであれば、決して国際的な非難は浴びなかったことでしょう。どこかの政情不安国で反米を掲げる武装勢力が政権を掌握し、親米派の住民が多い地域に圧力をかけている、そこにアメリカ軍が「保護」へと乗り出したとしたら、概ね国際社会の承認は得られる、日本だって積極的に後方支援に名乗りを上げたはずです。アメリカがやるならば是認されることをロシアがやった時は非難される、というのもアンフェアな話だなと感じるところはあります。

 西側諸国の承認を得ている現・ウクライナ政府だって別に民主的かつ平和的に政権を掌握したわけではなく、根本的には反ロシア派武装勢力が闘争に勝利しただけです。分離独立前から新ロシア派の占める地域への締め付けは見られたところ、本当に「民主的に」投票が行われたとしても僅差で独立派が勝つぐらいのことはあっただろうという気がしますが、まぁ実際にはウクライナとロシア双方の圧力下の独立投票ではありましたね。これを「対話で問題解決できる実例」として挙げるのはどうなのかと。

 そもそも、このレベルの「対話で問題解決」はアメリカの得意技です。今回は珍しく、アメリカではなくロシアがやったというだけのことです。アメリカが当たり前のように繰り返してきた軍事介入を全面的に肯定してきた人がロシアによる同様の行為もまた「対話で問題解決できる実例」と賞賛するなら、それは筋が通ります。逆にアメリカの行為を批判的に見ているのであれば、ロシアの今回の行為も批判的に見る必要があるでしょう。しかしアメリカならばOK、ロシアはNGと判断する、あるいは逆にアメリカの行為に否定的でロシアの行為を肯定するのであれば――それはある意味で大いに政治的な発言だなと思いますね。

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