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【アップルストア】SC裏番長!既存アップルストアではアップルウォッチは普及せず?

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■モールなどのショッピングセンターでは10年前まで、デパートメントストアが集客力のあるキーテナントと相場が決まっていた。デパートメントストア業界の再編とEコマースの台頭でデパートメントストアは以前ほどの核テナントとしての輝きがない。ショッピングセンター側もEコマースと競合しやすい物販店を避ける傾向があり、体験などを販売するサービスに注力しつつある。核テナントは映画館や郵便局、学校、図書館、託児所、オフィス、ジム、トランポリン施設と多様化が進んでいる。一方で、物販でも小スペースながら抜群な集客力を誇るテナントがある。アップルストアだ。デパートメントストアはSCないで広いスペースをとるためリーダーとして分かり易い。デパートメントストアがSCの番長とすればアップルストアは裏番長となっている。

 アップルストアの1平方フィート(約30cm×30cm)当たりの売上高は他の小売企業を上回る数字を記録し続けている。調査会社eマーケッターの最近の調査によると、アメリカ国内に265店舗展開するアップルストアの1平方フィート当たりの売上高は4,798.82ドルとダントツだ。調査会社によりこの数値はまちまちだが、一貫しているのは坪売上高でアップルストアが他を圧倒している点だ。売上高の高さは集客数の多さに比例する。人気のアイフォンを販売するアップルストアは高い集客力を誇っているのだ。ショッピングセンターにテナント出店しているアップルストアは、この高い集客力を交渉の武器に賃料を低く抑えている。アップルストアの賃料は1平方フィート当たり売上の2%以下にしている。SC側は抑えられた賃料を他の小テナントに転換させている。アップルストアのモール出店は、小テナントの負担になっているのだ。

 アップルは9日、腕時計型ウェアラブル端末の「アップルウォッチ」を発表した。最も安いスポーツモデルでも349ドルとなり、ファッションアイテムとなる最上位モデルの「アップルウオッチ・エディション」は1万ドルだ。新製品の価格帯が上がるためアップルストアの坪売上高もさらに上昇する可能性が高い。アップルストアが売上を増し集客力を増すほど、ほかの小テナントが高い賃料を払うことにもなるのだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。アップルウォッチのニュースを見たとき、後藤は「この製品が普及するだろうか?」と考えました。今のところ「普及しない」というのが私の予想です。ちなみに「普及する」というのは、エベレット・ロジャーズ氏が提唱する「イノベーター理論」でいうところの「アーリー・アダプター」と「アーリー・マジョリティ」の間にある「キャズム(chasm:大きな深い溝)」を超えるということです。イノベーター理論では、消費者を「イノベーター」「アーリー・アダプター」「アーリー・マジョリティ」「レイト・マジョリティ」「ラガード」の5つに分類します。アップルウォッチは、技術的な革新性を最重視して購入する「イノベーター」、ユーザーが少数でも実際に少しでも良さそうだったら購入する「アーリー・アダプター」には受け入られると思います。「アーリー・マジョリティ」にも受け入れられるかというと...

⇒ジェフリー・ムーア氏は「アーリー・アダプター」と「アーリー・マジョリティ」の間にある大きな深い溝を超えるためには、マーケティングを変えなければならないと説いています。「アーリー・マジョリティ」はその製品の良さが証明されたら購入する層です。アップルウォッチの最大の欠点はバッテリーの持ち時間。今のところ、バッテリーの持久力は通常使用でたったの18時間です。アップルウォッチを仕事などで毎日使う場合には、毎晩、充電をしなければなりません。充電を忘れたり、正しく充電されていなかったら、翌日に支障がでることになります。アーリー・マジョリティは、アップルウォッチの欠点が大きく改善されるか欠点を上回るだけの良さが証明されないことには受け入れないでしょう。サイズの小さいアップルウォッチのバッテリー持久力が、すぐに改善することはありません。が、その欠点を上回るだけの良さは提案できます。それがアップルウォッチのファッション性です。

⇒アップルは2013年10月、ラグジュアリー・ファッションブランドのバーバリー社CEOだったアンジェラ・アーレンツCEOをアップルストアの上級副社長に迎えました。同じ時期、アップルはルイヴィトンからもデザイナーのマーク・ジェイコブス氏を引き抜いています。またアップルは昨年、スイスの高級時計メーカーのタグホイヤーから役員をヘッドハンティングしました。ファッション業界のブレインを使って行うことはイメージ戦略、つまりマーケティングです。その要となるのはアップルストアです。マーケティングは広告・宣伝だけに留まりません。アップルストアのイメージを変えることもマーケティングです。今のアップルストアではファッション性の高い商品を売れません。最大1万ドルもするアップルウォッチを他のアップル製品と同様に平台に並べておくことはできません。アップルウォッチをアーリーマジョリティーに受け入れさせ普及させるには、アップルストアの改装が欠かせないのです。

 ただファッション性を高めるのは諸刃の剣でもあります。ギーク(コンピューターおたく)は、アップルストアのファッション性が過ぎると敬遠しますから。

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