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なぜアベノミクスで庶民の給料は上がらなかったのか? - 浜田宏一・安達誠司

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アベノミクスはまず失業者に雇用の機会をもたらした

今はまだ、一般庶民の名目賃金が顕著に増加し始めるところまでは景気の波及効果が及んでおらず、多くの人がアベノミクスの景気回復効果を実感できていないのは確かであろう。しかし、「アベノミクスで喜んでいるのはお金持ちだけ」「アベノミクスは意味がなかった」というのは明確な誤りである。

アベノミクスによる金融緩和は、投資家の利益を増やす一方、景気回復効果を通して、デフレ時代に最も苦しい思いをしていた経済的弱者である失業者に、雇用の機会をもたらしているからである。

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完全失業者数の推移をグラフ化した上の図21を見てほしい。アベノミクス以前で最も失業者数が多かったのは、2011年1月の319万人だった。そして、アベノミクスが始まった2012年11月以降、日本の失業者数は如実に減り続けているのである。

具体的には、最も失業者数が減ったのは2014年5月であるが、この時、日本の失業者数は、233万人にまで減っていたのである。これはすなわち、苦しんでいた86万人もの失業者が、仕事に就くことができたということである。また、民主党政権時代だった2012年7〜9月期と、第2次安倍政権発足後の2014年7〜9月期を比べると、役員を除く雇用者全体の数は、101万人も増えているのである。

賃金上昇のカギは「完全失業率の低下」

デフレに陥った1997年以降、日本人の平均給料は傾向として下がり続けてきた。そのため、アベノミクスの初期の頃、多くのマスコミや識者が、「アベノミクスで物価は上がったが、給料は上がっていないから、庶民の暮らしは苦しくなっている」と批判していた。みなさんも「アベノミクス効果で、今後は給料が安定的に上がり続ける」と言われても、(二十数年下がり続けてきたわけだから)なかなか信じられないだろう。

だがアベノミクスが成功すれば、日本人の給料はいずれ継続的に上がり始めるだろう。しかも、いつ、どのタイミングで給料が上がり始めるのかは、ある程度予測することができるのだ。

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日本人の給料(の平均)がいつから上がり始めるかを知るために、上の図22を見てほしい。これは縦軸に日本の賃金(名目賃金上昇率)、横軸に日本の雇用環境(完全失業率)をとり、その関係をグラフ化したものである。

この図から多くの人が懸念している「日本人の給料(名目賃金)」は、「完全失業率が約4%(厳密には3.8%)を持続的に下回るようになった段階で“徐々に”上昇に転じる」ことがわかる。言い換えると日本の場合、雇用環境が改善していても、完全失業率が継続的に約4%を下回らなければ、給料(名目賃金)は上昇しないということである。そして、完全失業率がいったん約4%を下回ると、その後は完全失業率が低下するにしたがって、賃金の上昇率がだんだんと(ただし図からわかるように、本当に少しずつ)高まっていくのは、経験的事実である。

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