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ペンタゴンの次世代長距離攻撃爆撃機の請負業者選定が今年の夏ごろ行われる

インベスターズ・ビジネス・デイリーは、米国国防総省(ペンタゴン)が今年の夏ごろをメドに、次世代長距離攻撃爆撃機(LRSB)の契約を、どの企業に発注するか決めると報じています。

同紙は「この契約が重要な理由は、向こう10年間で先端軍事航空機を巡る、唯一の大型発注だから」としています。

一般に防衛関連の契約は兵器の使用年数が長いため、一度受注すると何十年にも渡って安定した売上高が見込めます。

投資家の見地からすれば、四半期ごとの売上高や利益の変動を心配する必要がありません。また利回り的にもそれなりに高いものを見込める銘柄が多いため、玄人っぽい個人投資家から根強い人気があります。

今回のLRSBプログラムは、B-52をリプレースするものです。誰がプライム・コントラクターとなるかのバトルは、主にボーイング(ティッカーシンボル:BA)とノースロップ・グラマン(ティッカーシンボル:NOC)の間で戦われています。

ボーイングはB-52の請負業者です。今回のLRSB契約では、ボーイングはロッキード・マーチン(ティッカーシンボル:LMT)と組んでいます。一方、ノースロップ・グラマンはB-2の請負業者です。


(出典:ノースロップ・グラマン)

つまりどちらの業者も実績があるということです。アナリスト達は、勝負は五分五分だと見ています。

インベスターズ・ビジネス・デイリーは、アナリストの談話として「もしボーイングがLRSBの契約を獲得できなければ、ボーイングの軍事航空機部門全体の将来に暗雲をもたらすことになるだろう」と指摘しています。

なぜならボーイングはB-52のプログラムの終了に加えて、F/A-18スーパーホーネットの契約が2017年に満了となり、C-17も今年生産が終了するからです。対潜哨戒機P-8や空中給油タンカーKC-46は民間の旅客機をベースに設計された航空機であり、軍用機のノウハウないしは伝統を継承してゆくことにはなりません。

LRSB契約でもしボーイングが敗退すると、軍用機メーカーとしてのクレディビリティが大きく後退するというわけです。


もっともボーイングは民間の旅客機のメーカーとしてはガリバー的な存在なので、LRSBの契約を獲得できなくても会社が傾くような心配はありません。むしろ生保などの軍需産業に投資できない投資家からは好感されるシナリオすら考えられます。

今回ボーイングとLRSBプログラム応札で組んでいるロッキード・マーチンはF-35のメイン・コントラクターであり、長期に渡り、安定した売上が見込めます。だからLRSBで勝つ必要は無いのです。

一方、ライバルのノースロップ・グラマンは、日本における知名度はボーイングやロッキード・マーチンほど高くありませんが、ステルス技術やドローン(無人偵察機)で確固たるニッチを築いています。むしろ戦争のし方そのものが今後いっそうロボット化すると思われる中で、同社の「ロボット軍用機の権威」という立ち位置は、早くからこのビジョンを経営に反映させた同社の先見の明を実証していると言えます。

今後、爆撃機とドローンの境界は一層、ぼやけてくると思われることから、ボーイングがLRSB契約を取れなければ、ボーイングはドローンの分野でも確固としたプレゼンスを築けなくなることを意味します。

話が本題から脱線しますが、ドローンの分野では滞空時間当たりコストが重要な尺度になっており、ちょうどクルマのマイレージ競争のように、より安いコストでどれだけ長い時間ドローンを飛ばせるか?の競争になっています。

加えて来年は空母から発進する艦載ドローン(UCLASS)プログラムの業者選定が行われます。つまり軍用機のロボット化は、あらゆる局面で進行しているわけです。

現在、アメリカの防衛関連企業はどこも財務内容は健全で、経営統合の必要はありません。しかしボーイングがLRSB契約に敗れれば、ボーイングの軍用機部門が他社に吸収されるなどの整理が起こる可能性は無いとは言えません。

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