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社会的弱者を救うはずの国民健康保険という社会保障制度が、もはや社会的弱者を苦しめる存在に堕しているという矛盾

国保滞納者の差し押さえ急増、4年で5倍 朝日新聞調査差し押さえ件数の伸び
http://www.asahi.com/national/update/0828/OSK201108280039.html

国民健康保険(国保)の保険料を滞納し、財産を差し押さえられる世帯が増えている。朝日新聞社が19の政令指定市と東京23区に聞いたところ、回答があった37市区の差し押さえ件数の合計が、2010年度までの4年間で5倍に増えたことがわかった。

差し押さえた財産を換金するケースも急増。雇用悪化を背景に国保料収納率の低下に歯止めがかからず、強制徴収が加速している実態が浮き彫りになった。

調査は7月、計42市区を対象に06〜10年度の差し押さえ状況を聞いた。仙台、京都両市と東京都渋谷区は10年度分について「未集計」「非公表の段階」と回答。大田、板橋両区は「古いデータが残っていない」と答えた。残る37市区の差し押さえ件数は06年度、計3429件だったが、10年度は4.96倍の計1万7020件に増加。特に指定市の伸びが大きく、増加率は6.6倍に上った。

10年度でみると、指定市では横浜(2913件)、福岡(1745件)、名古屋(1254件)の順に多く、北九州は99件だった。23区は杉並区の943件が最多。差し押さえた財産の内訳は預貯金が50%で最も多く、保険(22%)、不動産(15%)と続いた。36市区が回答を寄せた差し押さえ金額(滞納額)は総額91億3千万円。4年前に比べて4.6倍となった。
子「ねえ、どうしてボクは病気になっても病院へ行けないの?」

母「それは国保料を差し押さえられて病院にかかるおかねがなくなってしまったからなの」
子「どうして国保料ってのを差し押さえられてしまったの?」

母「それはうちが貧乏で国保料を払いたくても払えなかったからなの」

子「じゃあ国保料が払えないような貧乏な家の子供は病院に行っちゃいけないっていうのがこの国の決まりなんだね。ところで国保って一体なんなの?」

母「それはうちのように貧乏な家庭でも病院にかかれるようにするための制度なのよ」

子「・・・???」
差し押さえが5倍にもなったと言うことは滞納していて無保険状態になっている世帯もそのくらいの勢いで増えていることが推測できます。2006年には国民健康保険の被保険世帯の19%が保険料を滞納していたそうですが、それよりはるかに増えていそうですね。払えるのに払わない悪質滞納者ばかり増えてきたのでしょうか?

いえ、決してそうではありません。何故こんなにも滞納者が激増してるのかといえば、保険料が高額で負担が大きすぎるせいです。そして、払えない世帯が増えてきているということはそれだけ日本の貧困は更に深刻に広がってきているということの裏返しでもあります。

赤旗

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-02-03/2011020303_01_0.htmlより

国保料国庫負担を増やせ人権無視の取り立て―痛みを感じないのか首相 「胸が痛む」「構造的問題がある」

命にかかわる大問題として志位氏が取り上げたのが、国民健康保険(国保)の高すぎる保険料(税)です。

札幌市をはじめ政令市の国保料を示すパネルを掲げた志位氏。所得300万円の4人家族で、約39万円から47万円にも達し、所得の1割を大きく超える実態を告発しました。(図参照) 

昨年の参院予算委で「相当高い」とした鳩山前首相の答弁をひいて認識をただした志位氏に対し、菅首相も「負担感としてはかなり重い感じはする」と述べざるをえません。ところが、民主党政権は昨年5月、高すぎる保険料のさらなる値上げにつながる通達を出しています(別項)。

保険料軽減のために国保会計に税金を繰り入れるのをやめ、値上げに転嫁するよう市町村に号令をかけたのです。志位氏は、全国の市町村は約3700億円の税金を繰り入れており、これをやめれば保険料は年1人平均1万円、4人家族で4万円もの値上げになると指摘しました。

志位 今でさえ「高すぎて払えない」という悲鳴がうずまいている。そのときに、4人家族で平均4万円もの保険料引き上げの通達を出す。胸に痛みを感じないのか。 

細川律夫厚労相 国保財政の健全化のために、保険料を引き上げるだけでなく、収納率(向上)や医療費適正化も推進すべきだと助言したもの。

細川厚労相の答弁に対し、「収納率向上の名で実際にどんなことがやられているか」と述べた志位氏は、保険料滞納者への脅迫まがいの督促、人権無視の財産調査、預貯金や生活必需品の差し押さえなどの実態を告発しました。

大阪市で飲食店を経営する男性の例。不景気で経営が悪化し、保険料を分割納付しているにもかかわらず、市は「調査の結果、財産が判明した」と、滞納金・延滞金83万5千円を支払わなければ、2人の子どもの大学入試や学費の支払いのためにこつこつ積み立ててきた学資保険を差し押さえると通告してきたのです。 

志位 これが「収納率向上」の実態だ。あまりにひどいと思わないのか。 

菅首相 言われたことそのものは、胸の痛む思いがする。ただ、国保には構造的な問題がある。今後の国保制度がどうあるべきかということで、先ほどらいの見解も示されている。

志位 構造的問題というなら、最大の問題は国庫負担率を50%(1984年)から24%にまで減らした結果、保険料が高騰していることだ。 

志位氏は、野党時代の民主党が国保への国庫負担を9000億円増やすと言明していたことも指摘し、「公約もほうり投げ、高すぎる保険料をさらに値上げする通達を平然と出す。こういうやり方は改めるべきだ」と強く主張しました。
−医療現場から市政に挑戦!−向川まさひで
国保料が高くなった理由は?
(引用開始)なぜこれほどまでに、国民健康保険の保険料が上がるのか?言うまでもなく、国保の財政が苦しくなっているからですが、ではなぜ、国保の財政が苦しくなっているのでしょうか?少し、お考えください。

まず、考えられることは高齢化の進展で医療費支出が増えているから、ということになるでしょう。協会けんぽや共済などは一定規模以上の企業に勤める人とその扶養家族が対象ですから、年金生活の高齢者で国民健康保険に加入する人の数は、健康保険加入者よりもよりもずっと多くなるはずです。

介護保険制度や後期高齢者医療制度が作られた理由の一つがここにあります。どちらも大変問題の多い制度ですが、高齢者の医療や介護を市町村の国民健康保険から切り離し、市町村の国保財政を助けるという大義名分になっていました。

しかし、そうして高齢者の「切り離し」を行ったならば、国保の財政は好転し保険料も上がらないはずなのに、なぜこんな負担になっているのか?

経済の低迷で、国保加入者の自営業や農家の人の生活が苦しくなり、また失業者や非正規労働者の人たちが多く国保に入ってきたため、被保険者の保険料負担能力が低下した、つまり保険料収入が減った、ということも理由としてあるでしょう。

しかし、一番大きな理由は、国が国民健康保険会計に対して出すお金が大きく減ったことにあります。国民健康保険の「土台」ともいえる国庫負担が小さくなってしまったことが国保財政を不安定にしているのです。

志位委員長は、「1984年の国庫負担率50%が、現在約24%に下がった」という数字を出しています。実はこの1984年は下がり始めた時の数字で、1970年代は60%以上を支出していた時もありました。△志位委員長が示した内容のグラフです。この50%とか24%は総額の数字なのですが、もう少し細かく見ていくと、一番大きな「療養給付費への国庫負担」は、1984年に大きく減っています。

それまでは、「医療費総額の45%」を国が出していたのが、「医療給付費の50%」を国が出すことになりました。数字は大きくなっていますが、「医療給付費」とは患者の一部負担(3割)を除いた金額のことであり、実際は「医療費総額の35%」に低下しています。なにやら「朝三暮四」ということわざを思い出します。

また、国保を運営するための事務経費については、当初は全額国の補助が行われていましたが、それも1992年に廃止されます。補助は廃止されましたが、そのぶん地方交付税交付金に加算されている、と国は言うかもしれません。

しかし、国庫「補助」とことなり、地方交付税交付金は、市町村が自由に使えるお金であり、その中で、この規模の街の国保に対しては基準としてこれくらいの金額、という額を計算されるだけで、使い道は指定されず、すべて国保に回される保障はありません。

またその額も、「実際に必要となった額」に対してではなく、「これくらい必要だろう」という「基準」を出して交付されるものなので、その「基準」が実際に必要な額に対して十分である保障はありません。こうした国庫負担が減った分を、市町村会計や住民の保険料でまかなわなければならなくなっていることが、収入に対して保険料の高騰をまねいている理由です。そして、国はさらに市町村が独自に繰り入れを行って保険料を下げることを「望ましくない」と圧力をかけてきています。

国は「禁止したつもりではない」といいますが、厚生労働省からの通達は市町村にとってはとんでもない圧力です。志位委員長は通達の撤回を申し入れましたが、確たる返答はありませんでした。

志位委員長の質問で出されたケースのように、健康を守るべく存在する国民健康保険の制度が、高すぎる保険料、払えない保険料で、困っている人をさらに追い詰め、家計や健康を損なうものとなっています。私は、医療者のはしくれとして大変憤りを感じます。人間らしい暮らしの一番基本である健康が、お金のあるなしで損なわれて良いはずがありません。ましてや、社会保障の制度が、困っている人をさらに苦しめているような現状を許すことができません。(引用ここまで)


苦しい家計の中から子供のために積み立ててきた学資保険まで差し押さえられた。銀行口座に振り込まれた給与、子ども手当、国からの訓練・生活支援給付金などを予告なしに100件差し押さえ、預貯金をゼロにされた。(赤旗より)

昔、冷酷非情な年貢取り立て今、冷酷非情な保険料取り立てといったところでしょうか。
不況で保険料を滞納した横浜市の男性は、役所と相談して分割納付をしていたにもかかわらず、すい臓がんの治療にあてようとした生命保険を差し押さえられました。家族の懇願にもかかわらず、滞納金と延滞金の一括納付を求められ、希望する治療を受けられずに昨年、亡くなったという例もあります。(赤旗より)

これでは一体何のための国民健康保険なのかわかりません。日本はアメリカ違って皆保険制度なのだといってみたところで、結局お金がなければ医療を受けられない保険制度のない社会と大差ないのが実情です。

社会的弱者の生命・健康のセーフティネットであるはずの国民健康保険制度が逆に社会的弱者を苦しめる制度になっているという本末転倒さには悲しくなってきます。しかもそうなった原因が国が国民健康保険会計に対して出資するのを渋っていることにあるのです。
滞納率を下げたいのなら、国庫負担をふやして国保料を下げる。そしてより根本的には国保料が払えないような貧困問題を解決する。これが本筋ではないでしょうか。差し押さえるのなら滞納者の生活を支えるわずかな財産を差し押さえるのではなく、国庫を差し押さえるべきでは?と言いたくなりますね

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