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国の思想検閲をパスした施政者好みの教科書で教育をしなさいって、どこの全体主義国家ですか

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家長訴訟で教科書検定制度が憲法が禁ずる検閲にあたらず合憲であるとされた理由はいかなるものだったでしょうか。それは、「検定は、教育がどの子供にも均等に行き届くように、また、教育水準の維持向上のために、教育内容を正確、中立、公正に保つことを目的として行われ、思想検査を目的として行われるものではないから」という理由からでした。従って、最低でも教育の機会均等保障、教育水準の維持向上に役に立っていなければ、検閲を危惧される検定制度の存在意義はないと言えましょう。ところが検定制度は制度目的を果たすことよりも思想検閲の方に力を入れていることが次のことからよくわかります。
自由社の歴史教科書、他社の年表盗用…謝罪
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20110802-OYT8T00260.htm?from=popin

中学校向けに自由社(東京都文京区)が編集し、文部科学省の検定に合格した2012年度版「新しい歴史教科書」に掲載された年表が、東京書籍の02年度版教科書から盗用されていたことがわかった。

 自由社は編集著作権を侵害したと認めて東京書籍に謝罪し、5月に発売した一般向け市販本の回収も決めた。年表も新しい内容に差し替える。文部科学省は「他社教科書の丸写しは聞いたことがない」として、自由社を厳重注意した。

 文科省や自由社によると、自由社の教科書が掲載した年表で、「大東亜戦争」など一部の表記が異なるほかは、縄文時代から現代までの出来事約180項目のほぼすべてが東京書籍のものと同じだった。

 自由社では「編集担当者が退社し、当時の事情がわからないが、東京書籍の編集著作権を侵害したことは間違いない」と話している。
(2011年8月2日 読売新聞)
自由社教科書の「広島原爆」写真、長崎のだった
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110808-OYT1T00668.htm

自由社の教科書に、誤って「広島の原子爆弾」として掲載された写真 中学校向けに「自由社」(東京都文京区)が編集し、文部科学省の検定に合格した2012年度版「新しい歴史教科書」に、「広島に投下された原子爆弾」として掲載された写真が、実際は長崎に投下された時のものだったことが8日、わかった。

 同社は近く文科省に訂正を申請する方針。この教科書を巡っては、掲載された歴史年表が、東京書籍の02年度版教科書から盗用されていたことが判明したばかり。

 自由社によると、写真は1945年8月9日、原子爆弾が長崎に投下された際に撮影されたものだったが、担当者が提供された写真の説明文を転載する際に誤ったという。

 同社では「大変申し訳ない。文科省に訂正申請を行い、来年春までには完璧を期したい」と話している。

(2011年8月8日15時08分 読売新聞)
このような盗用行為や初歩的なミスも見逃して合格させてしまうようでは検定制度など教育水準の維持向上に何も役だっていませんね。

そして検定は「検閲」に他ならないことを文科省自ら暴露してしまったのが沖縄集団強制死の検定意見不撤回です。
検定意見「撤回しない」 文科省専門官が明言
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-178558-storytopic-101.html

2011年6月24日
 【東京】沖縄戦における集団自決への日本軍の関与を認めた4月の大江・岩波「集団自決」(強制集団死)訴訟の最高裁決定を受け、都内の市民団体などでつくる「沖縄戦に関する教科書検定意見の白紙撤回を求める6・23行動実行委員会」(フォーラム平和・人権・環境、東京沖縄県人会など7団体)が23日、文科省を訪ね、2006年度高校歴史教科書検定意見の撤回を求めた。要請に対し教科書課の検定調整専門官は検定意見の撤回はないと明言した。同実行委員会は引き続き検定意見撤回を求めていく考えだ。
 今後の教科書における集団自決の表記について文科省は「検定作業の中で当然見直しをしていく」と述べ、検定意見の撤回はせずに、従来通り検定作業過程の中での表現修正に応じることで十分対応し得るとの認識を示した。
 検定意見は撤回しないとした文科省の姿勢に対し要請団からは「文科省は検定意見の根拠に訴訟を挙げていた。訴訟の結果が出た今、撤回しないのはおかしい」との声が出た。06年度検定意見に基づき表現が修正された教科書を現在高校生が使用していることになる。高嶋伸欣琉大名誉教授は「表現をゆがめた不十分な教科書を使わせている責任は感じないのか」と指摘した。
検定意見を撤回しないという文科省専門官の言い分は全く持って筋が通りません。

軍命で集団自決がなされたというのがこれまでの史実、通説であり、その通説を覆そうと企てる訴訟が提起されただけでは「これまでの通説は覆った」とは言えません。
ですから本来なら、軍命がなかったとの確定判決が出てそれまでの通説が覆ったと言えるようになってから初めて集団強制死についての記述を書きかえるべきと言う検定意見をつけてこそ筋が通るのであって、訴訟が提起されたことをもって記述を書きかえるべきという物言いをつけたのがそもそもおかしいのです。

そしてこの訴訟は原告敗訴が確定したのですから、集団強制死の記述について検定意見をつける根拠は全壊しました。
それにもかかわらず検定意見を撤回しないというのは、現在の教科書検定は集団強制死は軍命ではないという史実を歪めた歴史修正を国が強制する「検閲制度」であるとしか言いようがありません。

このように、教科書検定制度はその実態は公権力による思想検閲であり、教育の機会均等保障、教育水準の維持向上を確保するという教育行政上の目的はもはや建前でしかありません。そういう教育行政上の目的は検閲の恐れのない別の手段を新設して行うか、あるいは検定制度を一切やめるという方向に踏み切らなくてはいけないと思います。

教育の自由、民主主義教育の深刻な危機は教科書検定だけにとどまりません。
たとえば東京都の公立学校の職員会議での「挙手・採決禁止」、卒業式での君が代斉唱の強制など、今の教育現場はがんじがらめ、まるで全体主義国家の様相を呈しつつあります。
これでどうして次世代の民主主義を担う子供を育てることができましょうか。

この恥ずべき集団強制死記述の検閲は自民党安倍内閣時代に行われたのですが、政権交代後の民主党もこの歴史修正主義的な検閲を肯定しました。
参考記事:軍命の記述削除した検定に問題はない by川端達夫文科相

かつて私は政権交代時に「自民党の歴史修正主義路線を改められなければ政権交代の意味がない」と書きましたが、民主党政権はその路線を改めるつもりはまったくないどころか積極的に検閲を行う自民党と寸分違わぬ姿勢を改めて示したわけです。

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