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トヨタ新体制は何を意味するか

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もう一つ、注目すべきは、グループ内の積極的な人事交流を進めたことです。 トヨタ副社長の伊原保守氏が、アイシン精機社長に就任し、 アイシン精機副社長の水島寿之氏が、トヨタ専務役員に就きます。 また、デンソー常務役員の奥地弘章氏が、トヨタの常務役員に就きます。

これまでもトヨタ本体からグループ会社への“天下り”人事は 行われてきましたが、今回のようなグループ会社からトヨタ本体への異動は、 初めてです。 これは、本体およびグループに大きな刺激を与えることは 間違いないでしょうね。

こうしたグループ内の人事交流の背景には、 ズバリ、グループ強化があります。

トヨタは14年末、グループの部品メーカーの再編に踏み切りました。 1000万台体制の維持は、グループ強化を抜きにしては考えられませんからね。 その狙いは、ブレーキ、ディーゼルエンジン、マニュアルトランスミッションの 国内3事業の重複解消にあります。 たとえば、デンソーとアイシン精機のブレーキ事業を統合するなど、 グループ内で事業集約を進めて、ドイツのボッシュなどと堂々と対抗できる “強い部品メーカー”をつくろうとしています。

「グループ会社の中には、トヨタ本体に比べて甘さや緩さが目立つところがある」 と、かねてから指摘されています。 これほどまでにグループ内での積極的な人事異動を進めるのは、 グループ会社の引き締めと同時に、トヨタグループとしての一体感を 強める狙いがあるのは間違いないでしょう。

そこには、豊田章男さんの強い意思が働いているのはいうまでもありませんね。 あえていうならば、グループ交流人事の活発化は、グループ強化の仕上げ的意味を もつといえるでしょう。

それから、本体からグループ会社へ出た人材が、再び本体に“復帰”する 人事も目を引きます。 元トヨタ専務役員の伊地知隆彦さんが、東和不動産社長からトヨタ副社長に 復帰する人事がそれです。 この本体への復帰人事は、じつは章男さんが社長に就任して以来、 珍しいことではありませんね。 章男さんは、いまや後継者づくりを意識して、いろいろと試している部分が あるのではないかと思いますね。

トヨタは今日、1000万台体制という未知の領域に足を踏み入れています。 1000万台体制となれば、O&M(オペレーション&マネジメント)も、 これまでとはまったく違ってきます。 今回の新しい役員体制は、1000万台体制へのO&Mの構築にほかなりません。 章男さんは、今年度を「意思ある踊り場」と表現してきました。 いま、ここでムリをして拡大路線を走ると、リーマンショックのときと同様に、 足元をすくわれると考えたからですね。 つまり、「意思ある踊り場」に何をするべきか。 その答えが、グループの再編・強化であり、今度の新役員体制です。

また、章男さんは、「商品と人材で年輪を一本ずつ刻んでいく」ともいっています。 年輪を刻むように、全員で一歩ずつ歩み、持続的成長をつづける。 その実践において、杖の役割を果たすのが、 いわばオールトヨタの結束と一体感というわけですね。

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