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自民党はなぜ企業献金をやめられないのか

安倍政権の企業献金問題が、安倍首相本人をも巻き込んで花盛りになってきた。安倍首相は「知らなかったので違法にはならない。企業献金は必要だと思う。」と堂々と答弁している。国から補助金を受けた企業の政治献金を禁止する原則はあっても、営利事業でなければいいとか、持ち株の別会社ならいいとか、グレーゾーンがありそうだが、首相は「あいまいな規定に問題はあるが、私に問題はない。ルールは私が決める。」と言いたいようだ。

 盗人猛々しいとはこのことで、政治献金を迂回して政府が企業に補助金を与えるようでは、公金の私物化になるからいけないという、立法の趣旨を無視している。企業が政治家への献金を通して、自分たちに有利な政策を引き出そうとした疑惑は、昔から多くの疑獄事件を引き起こし、内閣をも倒してきた。金が政治をゆがめるのを防ぐ目的で作られたのが「政党助成金制度」だった筈である。しかし同時に導入する筈の「企業・団体の政治献金禁止」は、先送りされて今に至っている。

 それではなぜ政治家は企業からの献金を欲しがるのだろう。先月の「老人党護憲プラス」の例会では、民主党の長妻昭議員事務所でボランティアをしている田代雄倬(ゆうたく)氏をゲスト講師に招いて話を聞いた。田代氏は定年後のボランティアとして世話役的に活動しており、政界の事情にもくわしい。長妻氏は、企業・団体献金は一切受け取らず、公的収入と個人献金のみでの活動を徹底している。それでも政治に金がかかるのは事実だと説明していた。支持者とのコミニュケーションをはかる通信費だけでも半端ではない。

 しかし政界の実力者としての地位を固めるための費用は、それとは桁の違うほど大きいということだった。とくに自民党内では、派閥の長にならなければ首相の地位は狙えない。そのためには自分を支持する議員を増やさなければならない。選挙のときに応援してやるのはもちろんだが、問題はむしろ落選したときで、見込みのある議員候補者なら、失業中の生活費まで面倒を見てやる必要があるということだった。そのような絶対的な忠誠を期待できる議員を何人集めているかで、総裁・総理への道が開けるというわけだ。

 こうなったら金はいくらでも必要だし、多ければ多いほど出世への道は容易になる。まさに政治の沙汰も金次第で、自民党が伝統とする金権政治の基本形がそこにある。もちろん全部がそれで決まるわけではなく、金と縁が薄くて総理になった人もいるが、底流として財界からの献金が自民党の基盤を支え、保守政権が財界に好都合な政策を推進してきた構図は変らない。

 ひるがえって民主党内の派閥は、政策を中心としたグループになっているということだったが、その政策には右から左までの大きな幅がある。長妻氏には金でつながる仲間はないが、政策でつながる同志はいる。そして現在は代表代行というナンバー2の位置で、毎週の幹部会に出席しているということだった。長妻氏が今国会の代表質問で使ったという資料を見せてもらったが、じつに緻密な立派なものだった。その内容は格差是正と、集団的自衛権への批判に向けられている。

 正面から国民に顔を向けた政治を、安倍政権と今の自民党に期待するのは無理というものだろう。いつまで彼らの天下を許して「苛政」を見なければならないのか。厳冬はゆるんでも、本当の春はまだ遠いようだ。

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