記事

税金払わないヤツは日本の道路を歩くな?- いいえ、歩いていいんです

2/2
しかしこの考え方は、税について正しく理解しているとは言えないようです。

税金とは、納めた分に見合った恩恵がかえってる、たくさん納めればたくさん反対給付がかえってくる、という性質のものではありません。市場のように、自分の納税と反対給付が一対になっている等価交換ではないのです。

例えば、私達が救急車を利用したとき、税金を払ってるか否かに関わらず利用料は取られません。税金を100万納めてる人は救急車はタダだが、税金を納めてない人は全額利用料を払ってもらう、ということはありません。これはその人が税金を納めたことと救急車をタダで利用できるという反対給付が、必ずしも等価交換になっていないことを示しています。

「受益者負担」の考え方は税金には当てはまりません。税金とは、納める個人にとっては反対給付が存在しない、一方的に強制的に取られっぱなしのものなのです

では、個々のサービスと自分の納税が等価交換の関係にないのなら、徴収された税は何と引き換えになるのでしょうか

「徴収された税全体」は、富の再分配によって国民全体を豊かにするという「社会全体の利益」と等価関係になっているのです。(「財政のしくみがわかる本」(岩波ジュニア新書・神野 直彦著) 第三章を参考にしました)

Ⅳ.



日本では利益といえばすぐに「個人的利益」「功利主義的利益」を思い浮かべがちです。だから、負担した者だけが利益を受けることができるという「受益者負担」が原則がすぐに言われるのです。「税金を払わない人間が納税の見返りの恩恵に預かろうというのは、他人のお金にたかることと同じだ」というのも受益者負担と同じ発想です。

この記事で、日本では子どもの教育や人材育成の受益者は個々人であって、個々人が受益者負担すべきだと捉えられがちだということを書きました。でも、教育や人材育成は社会全体の利益であり、受益者は個々人と言うより社会全体です。だから社会や国全体で支援すべきものなのです。

それと同じように、担税能力のないフリーターやホームレスの生活再建を税金で支援することは、富の再分配によって国民全体を豊かにするという社会全体の利益と捉えられるべき性質のものです。そして私達はそういう社会全体の利益のために税金を支払うのです

道路も同じです。税金で作られた日本の道路を歩くという恩恵は自分の納税行為になされた反対給付だ、だから税金未納者は道路を使うな、というのは受益者負担の発想であり、税金について誤った理解だと言えます。

高額納税者、少額納税者、未納者関係なく、国民みんなが使える道路は社会全体の利益であり、そういう社会全体の利益のために私達は納税しているのです。

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。