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格差対策めぐる発想転換を!-「格差予防」と「経済成長」 - 土堤内 昭雄

昨年12月のピケティ著『21世紀の資本』(みすず書房)の発売以来、格差に関する議論が絶えない。国会でも活発な論戦が行われているが、格差の現状に対する認識や対策は政党によりかなり異なる。格差対策には、発生した格差を是正する<結果の平等>を求める事後的な対策と、行き過ぎた格差を発生させないために<機会の平等>を求める事前の対策が考えられる。

厚生労働省「平成23年所得再分配調査報告書」によると、当初所得のジニ係数は大きく上昇し、格差拡大がみられる一方、再分配所得のジニ係数は横ばい状態だ。これは社会保障や税により格差が改善されているためだ。現在の社会保障制度は、現役世代から高齢世代への“仕送り”という世代間扶助で成立しているが、少子高齢化が進展する中で、このような改善効果をいつまで維持できるだろう。

今後は、行き過ぎた格差を発生させない、固定化させないための「格差予防」が重要だ。具体的には、若い世代の子育てに対する経済的負担の軽減や雇用形態による賃金格差の是正が必要だ。若年世代の経済格差を改善し、子どもの教育機会の平等を保障することが、「格差予防」に繋がる。『行き過ぎた格差は、是正するのではなく、つくり出さない』という発想転換が求められる。

もうひとつの発想転換は、「経済成長」と「格差」の関係についてだ。これまで経済成長は、トリクルダウン効果により、格差を是正すると考えられてきた。しかし、最近は経済成長がもたらす格差が、逆に経済成長を抑制するという研究成果*もみられる。日本では、企業の経営効率向上を図ろうと導入されてきた非正規雇用の増加は、賃金格差を拡大して、若年層の経済基盤を揺るがしている。それが少子化のひとつの要因となり、人口減少をもたらして、経済成長にブレーキをかけているのだ。

また、今年1月に、相続税の基礎控除の拡大や最高税率の引き上げと同時に、贈与税の特例緩和が実施された。消費拡大と経済活性化という経済成長を指向したものだが、長期的にはむしろ富裕層の固定化・再生産を促し、さらに職業間の「社会移動」の難しさも強めるのではないだろうか。

ふたつの事象に相関関係があっても、因果関係が明らかでないことは多い。「経済成長」があるから「格差是正」があるのか、「格差是正」があるから「経済成長」があるのか、その判断は難しい。しかし、今回の格差論議を契機に21世紀の経済社会のあり方を構想するとき、「格差予防」や「格差と経済成長」など、格差対策をめぐる発想転換が必要なのではないだろうか。フランスの哲学者アランの幸福論にある『人は幸せだから笑うのではない、笑うから幸せなのだ』という有名な言葉が思い出される。

 OECDは昨年12月に『特集:格差と成長』というレポートを公表し、「所得格差が拡大すると、経済成長は低下する」と分析している(OECD“Focus on Inequality and Growth – December 2014”)。

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