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「東大合格100万円」は「史上最悪の愚策」ではない

Yahooのトップページに“「東大合格なら100万円」市長が批判に反論”という記事が載っていて知ったのだが、鹿児島県伊佐市が、市内の県立高校から難関大学に合格した者に100万円を支給する奨励金制度を発表し、それが批判され議論になっているという。記事を抜粋すると以下の通り。

「難関大の合格者に100万円の奨励金を支給する」。昨年11月、鹿児島県伊佐市が、市内の県立大口高校に入学者を集めるため奨励金制度を決めた。しかし、これに「お金で釣る教育は間違い」など批判的な声が殺到。制度が作られた経緯は、県教育委員会が定員割れの続く同校に昨秋、「来年度の新入生募集は2学級とする」と通告したことだ。隈元新市長(65)は高校が廃校になると、「人口減に拍車がかかるし、地元経済に打撃を与えます」と言う。制服やスポーツ用品、文房具や書籍、弁当など、高校生が多く利用する店舗が打撃を受け、地域から活気がなくなる。転出する人も増え、衰退してしまうのだという。
(中略)
 伊佐市では、大口高校の志願者減の最大の理由を、大学進学実績の低下だととらえた。東大合格者は03年に1人出て以降はゼロ。九州大の合格者も96年を最後に出ていない。国公立大全体に広げても、ここ3年間では12年が18人、13年が13人、14年は鹿児島大2人など4人だけだった。

 進学実績を伸ばすために、「志願者81名以上という数字を達成するためにはインパクトがある支援策が必要」(隈元市長)とひねり出した対策が、難関大合格者への奨励金だった。

 予算規模は5年間で5千万円。東大、京大、九大など旧7帝大と、それに準じる国公立大の医学部医学科など難関学部、早慶など難関私大の合格者には100万円、それ以外の国公立大や、準じる私大の合格者に30万円を交付する、というものだ。現在の高3生から交付を始め、来年からは浪人生も対象となる。

 この緊急支援策は昨年11月12日、市議会で賛成多数で可決された。ところが、これが全国的に報じられると、「お金で釣る教育」などという批判が噴出した。有名な教育評論家がテレビで「史上最悪の愚策」と酷評して話題にもなった。

この制度を「史上最悪の愚策」、「教育犯罪」と批判した教育評論家というのは「尾木ママ」こと尾木直樹氏のこと。いわく、「100万円は奨学金制度とは似て非なるもの。奨学金は学びへのサポートです。賞金欲しさに進学先決めるのは間違い。その後の学びのモチベーションを保持できません」と批判している。

私は、尾木氏が「学びのモチベーション」を重要視し、進学後のモチベーション喪失を危惧する観点は理解できるが、理想論に過ぎないように思う。学生にとっては「奨学金」だろうが「奨励金」だろうが100万円が支給されれば、入学金や授業料に充てられるし、親を少しでも楽にしてあげられる。入学後のアルバイトの時間もおさえることができる。大変ありがたい制度だ。私自身は、親の収入がゼロだったので、入学金さえ払うことができずに延滞して利子付きで催促され、夜勤のバイトをやりまくってようやく入学金を納めることができた。月5万円程度の貸与型奨学金も借りていたが、入学金などのまとまった額を支払うことはできない。こういった奨励金があれば大変助かったことは言うまでもない。

過疎化が進む地方の学生であれば、学費や生活費に困らない高所得層ばかりとは言えないだろう。日本には給付型奨学金が少ないという批判や嘆きばかりが聞こえるが、過疎化を防ぐ地方の競争として、こういった奨励金型の奨学金制度が各地方で導入されれば、地方と都市の教育格差是正にもつながる。

また、奨励金が出ることは、モチベーションの一つになるだろうが、それだけで難関校の受験を乗り切れるわけではない。受験という学びの真剣勝負を通過することで、学びの楽しさ、学問への関心がわいてくるものだ。モチベーションのスイッチされ入れば、たとえ地方の高校であったとしても独学を進めるのにはよい時代になってきている。さらに、大学進学後の学びのモチベーションというなら、むしろ大学の教育改革を論ずるべきだろう。

ということで、私は伊佐市の奨励金制度を支持し、他の地方自治体も導入の検討を薦めたい。

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