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レセプトデータ「転売」で33億円 〜支払基金のサイドビジネス〜 - 杉林痒

 社会保険診療報酬支払基金の平成21年度決算に、「レセプト電子データ提供料収入」として33億円が計上されている。

 医療機関から支払基金への医療費請求は、紙からオンラインを通じた電子データへの切り替えが進んでいるが、医療機関が支払基金に出した電子データを健康保険組合などの保険者に売った「売上」が、この33億円だ。

 ところで、支払基金の役割には、大きく次の3つの機能があると言われる。

 ①請求が適正か審査する
 ②全国にバラバラにある医療機関からの請求を整理して、やはりバラバラにある保険者にまとめて請求する
 ③保険者に請求して直に支払いを受けるとかかる時間を短縮する金融機能

 こうした費用を反映して、手数料が決まっており、平成22年度はレセプト1件平均で90.24円となっている。

 この手数料だが、当然ながら、レセプトそのものの代金は含まれていない。なぜならば、レセプトは医療機関から保険者への請求書で、医療機関が請求書用の紙を買って、それに自分たちで記入して支払基金に持ち込むものだからだ。「著作権」のような権利があるとしても、それは支払基金には属さない。

 さて、冒頭の「レセプト電子データ提供料収入」だが、このレセプトが紙から電子データに変わったとたんに、1件について2円の「価値」をつけて、販売を始めたというわけだ。医療機関が自ら投資したコンピューターに打ち込んで、ネットワークに接続し、通信費を払って支払基金に送ったものを、基金が「商品」に変えて販売している。

 使う側の保険者だが、基金の審査が甘いため、再度、送られてきたレセプトをチェックする保険者が多い。効率的な処理のために、従来の紙のレセプトもパソコンに打ち込んで処理していたため、基金の「新商売」のほうが安いとあって、特に抵抗も持たずに使っていたのが現状のようだ。平成18年から始まっていたサービスだが、大きな疑問の声も出ないままに、いままで続いてきた。

 しかし、従来の紙レセプトが無償で提供されてきたという前提に立てば、電子データに置き換えられたレセプトも、無償にするのが当然ではないか。

 そもそも、前述のように、手数料は1件につき90円もとっていて、その金額は基金として770億円にものぼっている(平成21年度)。データ提供料と合わせると800億円にものぼる金が、国民が納める保険料から引き去られていることを忘れてはならない。これは、医療費に回すことが可能な資金で、長年無駄だと指摘されてきた。データ提供の名目で実質的な値上げが許されてよいものか。

 さらに、このデジタルデータは、支払基金にため込まれている。それも、競争入札にかけられることもなく受注したNTTデータが、個人と結びついたデータのまま、それを管理している。

 それとは別に、国は医療費の傾向の分析のためなどとして、ナショナルデータベースを作り、分析をするのだという。こちらは、個人名などは外されて、誰のものかわからなくなっている。しかし、一方で、個人情報が残ったデータが集積されているのでは、ナショナルデータベースの個人情報に対する配慮はいったい何なのかということにならないか。

 基金は、「民間法人」という建て前だが、厚労省の後ろ盾のもとに、健保組合、協会けんぽ、公務員共済といったサラリーマンの医療保険の審査支払いを独占している機関だ。こうした哲学を感じない業務のあり方を続けてよいのか、考える必要があるだろう。

--- 杉林痒 (ジャーナリスト)

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