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シェアリング・エコノミーの発展で、これまでのITの常識は崩れるのか。 - 川合雅寛

私は現在シェアリングエコノミーの調査の追求と、自社アプリケーションの開発を深めるため、アーティスト系が多いシェアハウスに引越を行う準備をしている。シェアハウスに引っ越すには、持ち物を極限まで減らす必要がり、ヤフオク!やジモティー等のシェアリングエコノミーのプラットフォームを利用したのだが、いくつか気になった点があったので解説しようと思う。

■二極化が進む売買系シェアリング・エコノミー業界

昔から、ヤフオク!がリユース市場を大きく抑えてきた。複雑で細かいやりとりをコントロールできる程のコミュニケーション力を求められ、利用者人口には自ずと限界が出てくる。出店側だけでなく購入側にもIT・ネットリテラシーが求められる。例えば、暗黙の了解として、基本的にはノークレーム・ノーリターンがある。その代わりに信用の証として評価というものが導入されており、それを集積し係数として、定量評価を可能とした点が評価されている。過去に業者による詐欺などが横行したためログインID認証必須、本人確認必須などヤフージャパン側もセキュリティ向上に尽力してきた。

ところが、ジモティーというサービスには商品決済も、評価の仕組みも無い。システム上で購入履歴は管理できるが販売履歴は管理出来ない。無料での取引を推奨しており、ビジネスモデルとしてはトップページに掲載するための個人の広告料支払いだったり、企業からのバナー広告やGoogleAdsenceであったりする。根本的にスマートフォン用のアプリも提供しているが、対象がガラケーからのアクセスを基本と考えていると思われ、IT・ネットリテラシーが無い人に提供している。

実際、今回はやり取りしたことでわかったのは、ヤフオクは圧倒的に男性が多く、ジモティーは20代後半〜30代の女性、または高齢の男性が多いという点だ。その他のメルカリ等のC2Cコマース系は10代女子が圧倒的に多く、私が持っているアイテムが売れないことは過去の出品で分かっており、今回は利用プラットフォームの対象から外した。

このように、リテラシーやユーザ属性に合わせて出品しないと、相性の問題があり容易に売れないと言うことになる。

■ジモティーのノーコミット感はどうにか出来ないか?

私はこの1ヶ月間で36個のアイテムをジモティーで出品してきた。打率として考えると95%ぐらいは成立したので問題はないのだが、幾つかは当日になって全く連絡なしにドタキャンされたなどがあり、大人としてどうなのかという問題が散見された。

また、欲しいと連絡が来て即答を返しても、その後、連絡が続かないというやり取りも多く、コミュニケーションコストが高いシステムだと感じた。特に本文に絵文字等が書かれている非会員ユーザには注意した方がいい。Twitter等で情報を開示していると冷やかしで申し込んでくる可能性もある。そのため、ジモティーではSMSや免許証等による本人認証されたアカウントとの取引を推奨しているわけだ。

また、ジモティーは地元の人という意味から来ているが、全く地元の人じゃない地方の人から着払いで送ってほしいと連絡が来るのも問題だ。ECやホームセンターで販売しているものを0円だからと言って、着払いや関東圏の奥地から渋谷まで取りに来るとなると全く割に合わない。そのため、私はECサイトで商品を検索し、宅配送料を計算し、割に合わないことを説明した。これにより、諦めて頂くことができたが、一度や二度のことではない。

これまでネットの常識としてユーザーは常に賢く、商品価値を徹底的に調査した結果、取引に応じるものであるという大前提が崩れているのが分かる。これは、インターネットテクノロジーの普及がレイトマジョリティまで達したが、広義のリテラシー普及が上手く行っていない証左である。

このノーコミット感を解消するためには事前決済を抑える必要があるが、現在のジモティーにはそのような機能は存在していない。何故なら街の紙を貼る掲示板のイメージで作られているからだ。

■シェアリングエコノミーに必要な機能は何か?

では、ジモティー含め結局のところシェアリング・エコノミー系アプリには何が必要なのだろうか?私としては、以下の機能が必要だと考える。

・事前決済(エスクローサービス)
・個人証明(マイナンバー連携)
・評価とお礼
・適切な商品ごとの入力フォーム

直接あって渡すところに重きをおいているのはわかるが、ジモティーにもより簡便な商品決済システムの実装が必要だ。既にヤフーやメルカリでは決済部分を握っており、とくにカード決済以外の実装が優先される。特殊な仮想通貨は混乱を招くため円でのやり取りが必須だろう。さらに、楽天を見ても分かるように、マジョリティ向けにはポイントビジネスが成立するため、ポジションとしてシェアリング・エコノミー業界の楽天市場を目指すのが良いだろう。

問題なのが、個人の証明である。人の存在証明はマイナンバーや運転免許証・パスポート番号連携で済むだろう。しかし、人となりの証明はかなり難しい。ソーシャル連携でも可視化は困難だ。ソーシャルグラフで友人の可視化ができれば信用は増すが、絶対ではない。そのため、同時にヤフーがやっている通り評価とお礼の可視化は重要なポイントとなるだろう。

簡単に入力できる事を謳うために、どのサービスでも商品情報についてはブログ形式のシンプルなフォーマットばかりが目につく。キチンとした最低限の情報入力フォームが必要だ。いわゆるセマンティックな情報取得のためだが、ユーザに細かい情報を入力させることで、以後は商品コードやバーコードをスキャンすることで、生成された商品データベースから情報を取得することも可能なのだから、サイズが計測と違うとかそういった事の発生を未然に防げるはずであるため、必須事項だと私は考える。

もちろん、企業側がそういった情報をすべてオンライン上にWebAPI形式で開放すべきだが、実際には出来ていない。これらのメタ情報化を促進するとことで、人工知能の発展に寄与出来るのだが、そこまで考えている企業はまだまだ少ない。正しい正負の情報を集める事にこそ価値が有るのだが、そこに気づいていないのである。

このように、シェアリング・エコノミーサービスの現状と課題について語ってきた。今後もより拡大していく傾向だが、ではここで集まった情報はどの様に処理されていくべきなのだろうか?次回は、これらの背後で動く人工知能関連の話をしてみたいと思う。

■プロダクトが徐々に完成に近づいたので、私の考えをご説明します
http://www.xrosriver.com/?p=2519
■僕が見ている世界とその先について
http://www.xrosriver.com/?cat=4
■個人の時間を自由にシェアして社会貢献出来るTimeTicketの魅力(川合雅寛 IT企業経営)
http://sharescafe.net/42902619-20150115.html
■スマホ脳トレ市場にも黒船がついに襲来。いよいよ世界大戦が勃発か。(川合雅寛 IT企業経営者)
http://sharescafe.net/42872472-20150113.html
■家の外も中もスマートになる「IoT」が作る未来(川合雅寛 IT企業経営者)
http://sharescafe.net/42596007-20141226.html

川合雅寛 クロスリバー株式会社 代表取締役社長 兼 CEO

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