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大学授業参観のススメ

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はじめに



 先日まで、NHKが「ハーバード白熱教室」という番組を放送していた。アメリカの名門、ハーバード大学の教授による講義を放映したものである。教授は板書などせず、ズボンのポケットに手を入れたりして、講義を進める。学生たちは、一言も話を聞き漏らすまいと真剣に聞き入り、そして、教授の問いかけに、1,000人近くいる教室で臆面なく挙手し、発言する学生たちがいる。

 あの講義を見て、日本の大学の授業風景と同じと思う人は、おそらく誰もいないだろう。実情を知る人は、彼我の大きな違いに、言葉もないに違いない。

 そこで、本稿では、私の知る限りでの「現代大学講義事情」を紹介し、大上段に構えて言えば、日本の大学教育のあり方をあらためて考えるきっかけとしたい。


1 今昔・日米ミニ比較



 私の勤務校は来年創立100年を迎える。その行事準備等の過程の中で、創立間もない頃の写真を見る機会を得た。図書室で読書する男子学生たちは坊主頭に、詰襟の学生服、背筋を90度に立てて本を読んでいる。そんな彼らが講義に臨む真摯な姿を想像するのも難くない。

 一方、アメリカで研究者として働く友人は月1回程度、勤務する大学で講義を担当する。彼女がなにより驚いたことは、居眠りをする学生がいないということである。これは、私たち日本の大学教員にとって信じられない光景である。

 そして、現在の日本である。前期に私が担当した1年生対象の基礎科目は履修者が約120名である。私語こそないものの、携帯電話操作、内職(他科目の予習、等)そして、居眠りは、ないことがない。もっとも、そのおかげで、講義は静謐を保っている。

 しかし、居眠りする学生を起こして叱責する教員は、私を含め少ない。なぜなら、自分自身の学生時代を振り返れば、強くいえないことを自覚しているからである。学生には、せめて傍若無人な格好で寝ないこと、寝ているかどうかわからないような姿勢で寝なさい、といった妙な注意しかできない自分が情けない限りである。

 ところで、上記講義は企業幹部や法曹など外部講師によるオムニバス形式であった。彼らが学生相手の講義に慣れない感は否めない。だから、講義に慣れない外部講師、あるいは一般論として、私たち教員の力量不足も、居眠りを招く一因であることは否定できない。学生が聞きたくなるような講義を提供することが今日、求められている。教育「サービス」と言われる所以である。


2 改善の取り組み



 上記に述べた数十年前の、あるいはアメリカの大学のような授業風景は望むべくもないが、少しでも、この現状を良くしようと、ここ数年、FD(Faculty Development)活動が全国、あらゆる大学で取り組まれている。

 具体的には、授業アンケートの実施、大教室授業の解消、初年次基礎教育の充実、等々である。FDに関する全国規模の大会・研究会も盛んであり、成功事例の報告が行われる。しかし、いまなお、多くは試行錯誤、発展途上である。


3 大学への期待



 私の学生時代を振り返ると、今の学生たちより授業の出席率は低く、寝ている学生も、もちろんいて、けっして、自慢できるような状態ではなかった。今も昔も、授業態度が不真面目であると叱られることに大きな違いはないようにも思う。それなのに、今、これほどに大学の授業改善が叫ばれるのはなぜなのだろうか。

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