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地方議員は年85日だけ議会に出て、議員提出議案は全体のわずか10%<データから見る地方議会の実態>

年間84.8日勤務。本会議はわずか年間21.4日

全国には、議員や首長など、37,302人の地方政治家がおり(2011.4時点)、この内42.5%にあたる15,841人が、2011年4月に行われた前回の統一地方選挙で選ばれた。

来年2015年4月にはまた、この4年に1度の地方政治家を一斉に選ぶ統一地方選挙が行われる。

先日、『地方議会改革元年へ! 地方議員の「給料」全国ランキング』<http://blogos.com/article/103647/>として、地方議会の月額報酬についてのコラムを書いた。

最も報酬の多い東京都の月額は102万2千円、全国800自治体の議員報酬の平均月額は41万4千円になる。年額で考えれば、この12倍のほかボーナスに当たる期末手当まで加えると、かなりの額になる事が分かるはずだ。

こうしたコラムを書いていると、議員報酬の額が高過ぎるといったステレオタイプのご意見を多数もらう。

しかし、仮にこの議員報酬の引き下げや議員定数の削減という形で、議会に関する税金の支出を少し減らしたとしても、実際にはその歳出に対する価値が上がらなければ、本質的な問題解決にはならない。

統一地方選挙まであと2ヵ月。

こうした報酬に見合った議会活動とはどういうものなのか、また実際の地方議会の仕事ぶりはどうなのかと、皆さんにもチェックしていただきたい。

こうした観点から今回は、まだまだ知られていない地方議会の実態について、紹介していきたいと思う。

図表: 自治体規模別平均会期日数と本会議日数
        自治体数 平均会期日数 平均本会議日数
  5万人未満 257市   75.7    19.2
5~10万人未満 270市 84.8 21.6
10~20万人未満 156市 91.9 23.3
20~30万人未満 46市 89.5 21.6
30~40万人未満 26市 87.1 24.4
40~50万人未満 23市 94.3 24.9
 50万人以上 14市 100.1 21.9
   指定都市  20市 112.5 25.7
     全市  812市 84.8 21.4

まずは、地方議員が議会活動を行う日数からだ。

国会議員に国会での本会議や委員会などでの活動がある様に、地方議会にも本会議や委員会での活動がある。

通常国会が1月から6月まで行われ続け、さらに秋から冬にかけて臨時国会を行っている国会は、実質、年がら年中議会活動を行っている様な感じだが、これに対し、地方議会は、3月、6月、9月、12月と年4回定例会が行われる形のところが多い。

地方議員が実際にこうした形で議会に拘束される日数は、全国812市の平均本会議日数は21.4日、平均会期日数でも年間84.8日しかない。

会期日数や本会議日数は所属議員の数の問題もあるのか自治体規模が大きくなるほど長くなる傾向がある様で、人口5万人未満の自治体では平均会期日数は75.7日、平均本会議日数19.2日と少なく、政令指定都市になると平均会期日数112.5日、平均本会議日数25.7平均になる。

実際に議員になると、議会での仕事以外にも様々な公務もあり、単純にこの日数だけしか働かないという事ではない。

しかし一方で、多くの議員が「仕事が忙しい」と言っているものの中には、自身の選挙に向けたための活動や政治活動を指している事も多く、どの部分が議員としての仕事なのかという線引きは難しいが、こうした部分についても有権者は、シッカリと見ていく必要がある。

地方議会の役割「二元代表制」と「一元代表制」

では、実際に議会で行う活動日数と報酬に見合う議員や議会の役割とは何なのかを考えていく事にしよう。

「一元代表制」と「二元代表制」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

皆さんもご存知の通り、日本では、我々有権者は国会議員を選挙によって選ぶ事はできるが、総理を選ぶ投票ができるのは国会議員に限られる。こうした仕組みを「一元代表制」という。

一方で地方自治体では国政と異なり、市長など首長と議員が共に選挙によって選出される「二元代表制」をとっている。

多くの有権者はもちろん、現職の地方議員、地方議会関係者の中にも、地方議会を「国会の地方版」の様に勘違いしている人が多いが、「地方議会」には「国会」とは異なる役割が求められているのだ。

国会と地方議会の違いについて見ていくと、国会が「国権の唯一の立法機関」(憲法41条)である事は、多くの人に知られているが、地方議会に関しては会合して相談する「議事機関」(憲法93条1項)としてしか定められていない。

同様に、国会は「全国民を代表する選挙された議員」(憲法43条)で構成され、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動」「その権力は国民の代表者がこれを行使」(憲法前文)とされているが、地方議会は「住民が直接、これを選挙する」(憲法93条2項)と住民の権利しか明記されておらず、特別法の制定についてなどは、「住民の投票においてその過半数の同意を得なければ」(憲法95条)と住民が直接行使する事が位置づけられているほか、住民の直接請求に基づく住民投票で議員・首長のリコール、議会の解散(地方自治法76条等)なども住民の権利として認められている。

こうした事からも分かる様に、地方自治体におけるガバナンスは、国政と異なり、議会・行政・市民との3者のバランスにより成り立つ事が、本来より想定されている。

また、法的には首長と議会それぞれにはほぼ同等ともいえる権限が与えられてもいる事も特徴と言える。

こうした事から考えれば、国会以上に議会が選曲的に機能する事、さらには、市民を巻き込んだ自治の仕組みを担う事が求められていると考えられるのではないだろうか。

議員による議案提出はわずか10.7%、市長提案の99.1%が原案そのまま通過

地方議会の役割についてだが、学生時代に「三権分立」と習った事を思い出すと、議会の役割は「立法府」であったはずだ。これは法律をつくる場所である事を示しているが、国会を地方議会に置き換えて考えれば、「条例をつくる場所」という事になるはずだ。

議会や議員の役割が「政策提言」などと言われてすでに久しいが、実際には、議会や議員からの議案提出など殆んどなく、実際には全体の89.3%は市長提案で、議員提出8.8%、委員会提出1.9%と合わせても10.7%しかないというのが現状だ。

とくに問題に感じるのは、立法府とも言われる議員による提出件数の減少であり、2002年時点では1市当たり19.0件あった議員提案は、多少上下しながらも減少傾向にあり、2013年には12.1件にまで減ってしまっている。

こうした指摘をすると、ベテランの地方議員などから必ず、「議会の役割は政策提案だけではない」という声をいただく。総理が国会議員から選ばれる国政と異なり、市長も議員も選挙によって選ばれる地方自治現場では、「行政と議会は車の両輪である」とも言われる事も多く、議会側からの提案だけでなく、行政をチェックする事もまた議会の重要な役割だとされているからだ。

そこで、地方議会の「行政チェック」の実態を調べるため、市長提出による議案の議決態様について見てみる。

議会によって修正されて可決した割合は、市長提案議案の内わずか0.3%しかなく、全体の99.1%は、市長提案を原案そのままで可決しているのだ。

何でも反対すればいいという事ではもちろんなく、市長提案の中でも、良いものは、そのまま原案可決すればいい。しかし、99.1%もがそのまま原案可決している状況では、議会の「行政チェック機能」とは、どういうものかと考えざるをえない。

議会内での議員の質問回数さえ減少傾向

議員活動の問題は、こればかりではない。

最も象徴的な議会活動である議会での質問ですら減少傾向にあるのだ。

2002年からの議会データを調べてみると、1自治体あたりの議会での質問回数は、2006年までは増加傾向にあったのだが、この2006年からは減少傾向に転じ、最新2013年データでは、個人質問は2006年以来最少の50.0回、代表質問に至っては、データを調べ始めた2002年以来最低の8.8回となってしまっている。

これらは、本会議だけの質問回数だが、議員全員の1年分を合わせた回数だと考える、一人ひとりの議員の議会での質問回数がどれだけ少ないかが分かる。

しかし一方で、こうした中でも人知れず市民のためにと熱心に活動している議員も全国にいる。

冒頭にも書いたが、前回の統一地方選挙では、15,841人が有権者から選ばれた。

4年に1度しかない地方政治家を一斉に選ぶ、言い換えれば地方議会を大きく変えていく貴重なチャンスである。

国政の様にメディアで大々的に取り上げられる事は少ないが、是非、地元の地方議会にも関心を持ってチェックをしてもらいたいと思う。

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