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ホリエモン「JRAはホクホク」、イヤそれは違う

先の投稿でご紹介した「外れ馬券は経費」判決に関して、ホリエモンこと堀江貴文氏が以下のようなコメントをしています。 いやいやいや、それは非常に短期的かつ表層的な分析であって、むしろ中長期的には今回の判決はJRA、ひいては競馬業界全体にとって全くホクホクの話ではありません。今回の判決によって、以下のような事が起こります。

分析ソフトを使う人間が儲ける=使わない一般プレイヤーが負ける
 →一般プレイヤーは早期退場+プレイヤー全体が徐々にマニア化
 →カモとなる一般プレイヤーが居なくなるのでマニア層も収益性悪化
 →マニア市場も縮小

公営競技というのはプレイヤに対する払戻率は一定なワケで、分析ソフトを使うような一部のマニアが勝ち易い(プレイしやすい)環境が出来て、そういう人達が増えるという事は、逆に一般プレイヤーが「負け易い」市場環境へと変質してゆくということです。すると、一般プレイヤーはあっという間に予算がなくなって干上がってしまいますから、競馬そのものから早期撤退をしてゆくことになる。すると、それらをいわゆる「カモ」としていたマニア層の収益性は必然的に悪化します。そして結局、マニアも撤退し始める。

また、分析ソフトを使用するようなマニア層は、オンラインベースで全国の公営競技場のレースを分析し毎回大量の取引を繰り返します(カジノ業界でいう所の資金のローリングを繰り返す)。すると、控除する側、すなわちこの場合は公の取り分が複利的にドンドン大きくなり、一方でプレイヤー側が総体として持っているギャンブル資金の総量が急速に減ってゆきます。なので、瞬間最大風速的に一瞬だけJRAの取り分は増えるかもしれませんが、その後、幾何学級数的に一気に市場が縮小してゆくこととなります。

このような「市場のマニア化→急速に市場縮小」という構図は、パチンコ業界が1994年に30兆円(粗利ベース)と言われた産業規模から、この20年で一気に18.8兆円まで(*1)市場を縮小させてきた状況と同じです。

賭博、もしくはそれに類する産業というのは、成熟してゆくプレイヤー達が楽しめるゲーム性は十分に担保しながら、一方でそのような成熟プレイヤーだけが「勝ち過ぎてしまう」環境を廃し、カジュアルなプレイヤーにも間口を広げ続けるというバランス感覚が要求されるもの。今回の「外れ馬券は経費」という最高裁の判断は、競馬業界においてそのようなバランスが一気に崩れてゆくキッカケともなり得る判決であり、実は中長期的なJRA、ひいては競馬業界全体の視点に立てば、全くもって喜ばしい状況ではないと言えましょう。

*1) 出所:レジャー白書

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