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- 2015年02月17日 18:07
「15ヶ月予算」について~国会質問議事録から(参議院・決算委員会)
皆様、こんにちは。まだまだ寒い日が続きますが、お元気でお過ごしでしょうか。
昨日から、衆参両院において代表質問が行われ、いよいよ今国会も本格稼働です。我が民主党は岡田新代表の下で野党第一党としての力を発揮出来るかどうか、正念場を迎えています。
私は決算委員会の質問からスタートしました。予算委員会以外はなかなかテレビ放映されることがありませんので、今回はその時の質問内容の一部をご紹介します。
第2次安倍政権発足以来、予算編成において毎回「15ヶ月予算」という言葉が使われています。平成26年度補正予算の審議の際も、平成27年度予算と一体的にとらえるのだという説明で国会を煙に巻いて終わりました。
このこと自体、財政規律の観点からあまり感心できませんが、今回は補正予算の審議ではなく、決算審議なので、「15ヶ月予算」と言うからには決算審査も「15ヶ月決算」でなければ筋が通らないのではないかと質しました。
国家予算は本来、「単年度主義」であるべきと憲法86条で規定されており、国の会計年度は、「毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする」と、財政法11条で定められています。勿論、現実の行政執行においては、多少の柔軟性が求められる状況も予想されることから、繰越制度や基金等の逃げ道が用意されているわけです。
安倍政権においては、財政法の趣旨をさらに大胆に逸脱し、前年度の補正予算と当年度の当初予算を合わせて「15ヶ月予算」と説明することが恒常化しています。「15ヶ月予算」こそが行政執行の現実に即しているのだと開き直るのであれば、法律改正して単年度予算を改めるべきです。
閣議決定だけで憲法解釈を変更してしまう、安倍政権の法律軽視、国会軽視の姿勢がここにも表れています。そしてここから派生する財政規律上の問題は看過できません。
今年度補正予算では緊急経済対策として3.1兆円を積み増しましたが、翌年度の概算要求で要求があった事業をゼロ査定または削減査定して財政健全化に向かっているように見せかけながら、補正予算で名前を変えて事業を復活させる手口は常習的です。
例えば44億円の概算要求があった厚生労働省の「地域若者サポートステーション事業」は本予算での計上が見送られましたが、「若者育成支援事業」と名前を変え、補正予算で35億円分復活しています。(私たちはこの類をゾンビ事業と呼んでいます。)
補正予算は本来、財政法29条で「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」等に限り認めるものですが、「便利な財布」として安易に使われているきらいがあります。編成期間が短く、財政当局や行革担当部局の、事業の無駄遣いに対するチェックはどうしても弱くなりがちです。
最大の問題は「15ヶ月予算」と言うからには補正予算と後に続く翌年度当初予算と一気通貫で事業の妥当性、行革の視点、経済効果等、様々な角度からチェックしなければならないのに、それが出来ないことにあります。補正予算の審議の際には翌年度当初予算案をつぶさに検証する時間が無く、当初予算の審議の際に、既に成立した補正予算を睨みながら審議するには限界があるからです。
それでも「15ヶ月予算」を押し通すのであれば、PDCAの観点からも、決算時も前年度補正と合わせて「15ヶ月決算」として一体的に審査すべきではないでしょうか。
現行の仕組みでは難しいことは承知の上で、今回、決算審査の冒頭にあたり、財務当局としての見解を求めたのですが、案の定、出来ない理由をまくしたてて質問時間を浪費されてしまいました。財務省の本来あるべき役割からすれば「現行の仕組みでは実現は難しいが、本来はそうあるべきだと承知している」との答弁でも聞ければ日本の財政健全化に希望が見出せたかもしれませんが、天下の財務省も安倍政権には何も言えないようです。
今年はこれ以上、安倍政権の暴走を許すわけにはいきません。今後の予算審議、そしてそれに続く、重要政策の審議においても、是々非々で議論を仕掛けて参りますのでご支援お願い致します!
当日の安井の質問と答弁の全容はコチラでご覧頂けます↓
http://youtu.be/38t9yWcjX5I
昨日から、衆参両院において代表質問が行われ、いよいよ今国会も本格稼働です。我が民主党は岡田新代表の下で野党第一党としての力を発揮出来るかどうか、正念場を迎えています。
私は決算委員会の質問からスタートしました。予算委員会以外はなかなかテレビ放映されることがありませんので、今回はその時の質問内容の一部をご紹介します。
第2次安倍政権発足以来、予算編成において毎回「15ヶ月予算」という言葉が使われています。平成26年度補正予算の審議の際も、平成27年度予算と一体的にとらえるのだという説明で国会を煙に巻いて終わりました。
このこと自体、財政規律の観点からあまり感心できませんが、今回は補正予算の審議ではなく、決算審議なので、「15ヶ月予算」と言うからには決算審査も「15ヶ月決算」でなければ筋が通らないのではないかと質しました。
国家予算は本来、「単年度主義」であるべきと憲法86条で規定されており、国の会計年度は、「毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする」と、財政法11条で定められています。勿論、現実の行政執行においては、多少の柔軟性が求められる状況も予想されることから、繰越制度や基金等の逃げ道が用意されているわけです。
安倍政権においては、財政法の趣旨をさらに大胆に逸脱し、前年度の補正予算と当年度の当初予算を合わせて「15ヶ月予算」と説明することが恒常化しています。「15ヶ月予算」こそが行政執行の現実に即しているのだと開き直るのであれば、法律改正して単年度予算を改めるべきです。
閣議決定だけで憲法解釈を変更してしまう、安倍政権の法律軽視、国会軽視の姿勢がここにも表れています。そしてここから派生する財政規律上の問題は看過できません。
今年度補正予算では緊急経済対策として3.1兆円を積み増しましたが、翌年度の概算要求で要求があった事業をゼロ査定または削減査定して財政健全化に向かっているように見せかけながら、補正予算で名前を変えて事業を復活させる手口は常習的です。
例えば44億円の概算要求があった厚生労働省の「地域若者サポートステーション事業」は本予算での計上が見送られましたが、「若者育成支援事業」と名前を変え、補正予算で35億円分復活しています。(私たちはこの類をゾンビ事業と呼んでいます。)
補正予算は本来、財政法29条で「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」等に限り認めるものですが、「便利な財布」として安易に使われているきらいがあります。編成期間が短く、財政当局や行革担当部局の、事業の無駄遣いに対するチェックはどうしても弱くなりがちです。
最大の問題は「15ヶ月予算」と言うからには補正予算と後に続く翌年度当初予算と一気通貫で事業の妥当性、行革の視点、経済効果等、様々な角度からチェックしなければならないのに、それが出来ないことにあります。補正予算の審議の際には翌年度当初予算案をつぶさに検証する時間が無く、当初予算の審議の際に、既に成立した補正予算を睨みながら審議するには限界があるからです。
それでも「15ヶ月予算」を押し通すのであれば、PDCAの観点からも、決算時も前年度補正と合わせて「15ヶ月決算」として一体的に審査すべきではないでしょうか。
現行の仕組みでは難しいことは承知の上で、今回、決算審査の冒頭にあたり、財務当局としての見解を求めたのですが、案の定、出来ない理由をまくしたてて質問時間を浪費されてしまいました。財務省の本来あるべき役割からすれば「現行の仕組みでは実現は難しいが、本来はそうあるべきだと承知している」との答弁でも聞ければ日本の財政健全化に希望が見出せたかもしれませんが、天下の財務省も安倍政権には何も言えないようです。
今年はこれ以上、安倍政権の暴走を許すわけにはいきません。今後の予算審議、そしてそれに続く、重要政策の審議においても、是々非々で議論を仕掛けて参りますのでご支援お願い致します!
当日の安井の質問と答弁の全容はコチラでご覧頂けます↓
http://youtu.be/38t9yWcjX5I
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