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読売新聞の社説「GDPプラス 持続的な成長への正念場だ」の味わい方

本日は、読売の社説を味わってみたいと思います。(以下、社説の抜粋です)
「プラス成長に転じたものの、力強さには欠けている。景気の着実な回復に向けて、これからが正念場となろう。」
これからが正念場ですか、そうですか。でも、もう10年、否15年以上もずっとずっと正念場のような気がするのですが…
 「昨年4月の消費税率引き上げ後で、初のプラス成長になったことを歓迎したい。」
 とは言っても、増税実施直前の駆け込み需要の反動減が思ったよりも長引き、そして、10-12月期になってやっと戻しただけのことなのです。

<実質GDP>
 2013年10-12月期:529.9兆円
 2014年1-3月期:535.0兆円
 2014年4-6月期:525.9兆円
 2014年7-9月期:522.8兆円
 2014年10-12月期:525.7兆円

 2014年1-3月期に、駆け込み需要でどんと増え、そして、その反動が2四半期続き…そして、10-12月期に525.7兆円となっている訳ですが、確かにその前の期と比べれば増えてはいますが、2013年10-12月期の水準を回復している訳ではないのです。
「肝心なのは、安定成長の軌道に乗せることだ。回復ペースは緩やかで、先行きは楽観できない。」
 格好いいことをこの社説は言っていますが、読売新聞の考えている安定成長率とは一体どの程度のものなのでしょうか? いずれにしても、消費税率を3ポイント上げた訳ですから、その増税による物価上昇の分だけ実質成長率が落ちても当然ではないのですか。
「GDPの6割を占める個人消費の拡大がカギを握る。賃金上昇によって、家計の消費意欲を高める必要がある。」
私思うのですが…もうこのセリフはいい加減に止めたらどうなのでしょう? そう思いませんか?

 もう何十年も同じことを言っていますよね。

 それにおかしいでしょう? GDPの支出項目のなかで個人消費が最も大きなウェイトを占めるというのは、ほぼどこの国でも言えることだからです。だとしたら、全ての国に対して、経済を成長させるためには消費をもっと活性化させる必要があると言うのか?

 もちろん、そのような処方箋が当てはまる国もあれば、そうでない国もある。むしろ消費よりも節約を重視すべき国だってあるのです。

 米国は、日本よりも個人消費のウエイトが高いことはよく知られています。概ねGDPの2/3は個人消費が占める、と。だったら、米国は日本以上に消費喚起策が必要なのか?

 そうではないというのが、正統的な考えというものなのです。つまり、米国はもっと節約しないと持続的成長が維持できない、と。

 それに日本の場合、貯蓄性向(収入のうち貯蓄に回す割合)は、マイナスになっているのです。日本の家計が貯蓄過剰だというのはもはや昔の話に過ぎないのです。
「昨年の春闘は、2%超の高い賃上げ率となった。それでも、消費増税分を含む物価上昇率に、賃金の伸びは追いついていない。」
 また、変な数字を引用していますね。この2%超の賃上げ率というのは、定昇込みの数字であり、従って、労働者全体でみれば、そんなに収入が増えている訳ではないのです。
「所得増が消費を刺激し、それが企業業績をさらに押し上げる「経済の好循環」を本格化させることが大事だ。今年の春闘が果たす役割は、極めて大きい。好業績の企業が、積極的に賃上げに取り組むことを期待したい。」
 新聞社として企業に賃上げを要望するのは自由。そして、仮に企業がその要望に応えるのであれが、これまた個人消費が活性化することが期待できるでしょう。

 でも、そうすると、企業の価格競争力が低下し…そうなると企業としての生き残りが危うくなってしまうのです。

新聞社がどうしても、というのであれば、自分のところが率先して賃上げを実行してみたら如何でしょう?
「気がかりなのは、民間の設備投資が、微増にとどまったことだ。公共投資の伸びは鈍化している。成長の維持には、民間投資がもっと活気づく必要がある。」
民間投資が活気づく必要があるなんていっても、消費が先行き伸びるという見通しもないのに設備投資が伸びる訳もないのです。

  いずれにしても、この社説を書いた人は、どれほど経済学の素養がおありなのでしょうか? そこらの政治家が言っているようなことばかりではないですか。

 だとしたら、政治家には耳触りがいいように聞こえるかもしれませんが…しかし、何も有益なことは言っていないと同様なのです。

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