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【読書感想】聞き出す力

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 ルビー・モレノの取材のときは、約束の時間に、彼女の所属事務所である稲川素子事務所に行ったものの、彼女が来ないどころか連絡すらも取れなかった。

 彼女は昔から仕事のすっぽかしが多く、失踪事件として騒がれた件もどうやらすっぽかしが原因だったみたいなので、芸能界に復帰しても相変わらずだなあと思って焦らずに待った。そして、ようやく電話がつながって稲川素子社長が「今日の午後4時半に来るって言ったのは自分でしょ? 自分でお願いしておいて、もう皆さんお見えになってるわよ」と言ったら、「今日はウチのパパが出張するのに成田まで送ったから行けない」とあっさり返答。「どうして?」「化粧してない」「こっちに来て化粧すればいいの! 今年は仕事するからって言うから、こうしてまた一生懸命スケジュール入れようと思ったのに、またすっぽかしじゃない」「すっぽかしてないよ! だからいま行けないって電話をかけてる。昔は黙ってすっぽかしていなくなったのが、行けないっていうのを言ってるからすっぽかしじゃない」なんて言い合いを電話で繰り広げていたので、しょうがないから急遽、稲川素子社長をインタビューすることを編集者に提案。ルビー・モレノをマネージメントする苦労について語ってもらったら抜群に面白かったんだが、要はそういうことなのだ。

 タレントと取材する側との間で板挟みになっているだけのマネージャーに文句を言ったところで何にもならないし、記事として面白くなるのであればどうなったっていいんだから、取材相手が来なかったら来なかったでなんとかすればいいだけのことなのである。

 転んでもタダでは起きないというか、吉田豪さんって、すごいな、と。

 これを読んで、僕も「稲川素子社長のインタビュー、読んでみたい!」と思いました。

 あらかじめ下準備はしているけれども、「段取り」にこだわってばかりでもない。

 この本には吉田豪さんのインタビューのエッセンスが収録されているのですが、興味を持たれた方は、ぜひ、吉田さんのインタビュー本を手に取っていただきたいのです。

 吉田さんのインタビューを読んでいると、世の中には、周囲が勝手に「タブー」だと決めつけて「自主規制」してしまっていることって、たくさんあるんだな、と思い知らされますよ。

 人って、けっこう「喋りたい」のではないかなあ。

 ちゃんと聞いてくれる人がいれば、ね。

リンク先を見る 元アイドル! (新潮文庫) リンク先を見る サブカル・スーパースター鬱伝 (徳間文庫カレッジ)

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