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営業秘密保護の強化について

近年わが国において、技術情報や顧客情報などの営業秘密の漏えいによる大型の紛争事例が顕在化していることを受け、営業秘密の保護を強化すべきという機運が高まっています。

そのような背景から、産業構造審議会知的財産分科会「営業秘密の保護・活用に関する小委員会」において、昨年の9月から営業秘密保護強化について議論がされ、先日、中間取りまとめが出されました。

この中間とりまとめでは、技術情報など営業秘密について、不正使用の重罰化や刑事罰の範囲の拡充、被害企業の立証負担の軽減といった、民事、刑事の両面からの保護を強化する不正競争防止法改正の方向性が示されています。

以下に、そのポイントを簡単に抜粋して紹介します。

■国外における故意での営業秘密の不正取得・領得を、一定の要件で刑事罰の対象とするとしています。

近年、グローバルな事業展開やクラウド技術の進展に伴い、国内企業の営業秘密であっても物理的には海外において保管される情報の不正取得・不正使用の可能性が高まっているため、それに対応するためです。

■営業秘密侵害品(営業秘密を不正に使用して生産された物品)を故意に譲渡・輸出入等する行為を、一定の要件で刑事罰の対象とするとしています。

不正使用等の営業秘密侵害行為に対する抑止力を向上させるためには、現実の立証・摘発が必ずしも容易ではない使用行為のみならず、実際に生産された製品の販売を禁止することによって、営業秘密侵害行為が割に合わない制度環境を構築する必要があるためです。

■三次取得者以降の情報転得者についても、悪意であれば刑事罰の対象とするとしています。

これは、インターネットの発展によって、不正取得された情報が簡単に広まってしまうことに対処するためです。

■一定の場合において、営業秘密を不正に使用していることについての推定規定を設けるとしています。

現行法においては被告が営業秘密を不正に使用していることを被害企業である原告側が立証する責任を負いますが、その証拠は被告側に偏在しているため、立証は容易ではありません。そのために立証責任の転換を図って原告の立証負担の軽減を図るというものです。

なお、原告の立場に立てば非常に強力な規定となり得る一方、仮に被告となった場合には、反証が困難であり規定が悪用される可能性もあるため、具体的な条文の書きぶりには慎重な検討が求められるところです。

■営業秘密の不正使用を非親告罪とするとしています。

もともと営業秘密の不正使用が親告罪とされていたのは、刑事訴訟の過程で被害企業である原告の営業秘密が漏えいしてしまうと、かえって被害が拡大する懸念があったからですが、平成23年法改正により刑事訴訟手続きの特例が設けられ、そのような漏えいを防ぐための一定の手当てがされました。また、個人情報の場合、情報保有者が必ずしも漏えいによる被害者ではないということからも、非親告罪とすることが適当であるとされました。

実際にどの程度被害企業の意図せぬ公訴が起こりえるのか、また刑事手続きの過程でどこまで被害企業の情報の秘密性が守られるのか、慎重な検討と運用が求められます。

以上のように、営業秘密の法的保護の強化により、その漏えいや不正使用に対する抑止力の向上が期待されています。

しかし、言うまでもなく、法による抑止力だけで、情報漏洩や不正使用がなくなることはありません。重要な情報が漏えいしてしまうことのないよう、企業においては、法による抑止力に期待して甘えることなく、リスクマネジメントとセキュリティ体制をより一層強化していくことが求められます。この中間とりまとめも、企業が営業秘密の漏えい防止に向けた対策を効果的に行う必要性を指摘しています。

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