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護衛なしで陸上自衛隊施設部隊を南スーダンに派遣するのは、自衛官の命を軽視している

◆朝日新聞が11月2日付け朝刊「社説」(オピニオン欄、14面)で、「南スーダン PKO、慎重に丁寧に」という見出しを付けて、自衛隊を南スーダンに派遣に賛成している。内容を読むと、「石油資源やレアメタルに富む南スーダンは、アフリカの中でも将来の発展が見込まれる。世界注視の新生国だ」、だから「この派遣を、私たちは基本的に支持する」のだといい、いかにもこの目的のために派遣に賛成しているように受け取れる。

何と「卑しい根性」というか、まるで「植民地主義、帝国主義」を想起させらるような論調だ。そのうえに、武器使用問題については、「日本の国際協力のあり方を根本から変えるほど重要なテーマだ。今回の派遣とは切り離して、時間をかけて議論するのが筋だ」と勝手なことを言っている。軽武装で派遣する自衛官の「命」を軽く考えているのだ。

だったら、「時間をかけて議論して結論を出した後」に派遣するか派遣しないかを決定するのが、筋ではなかい。朝日新聞が、いかに自衛官の命を軽視しているかが、よくわかる。たとえ、PKOで派遣するにしても、「戦車軍団」を「護衛」につけるべきではないのか。

とりわけ、かつてイタリアの植民地であった「スーダン」が、これまでに「大量虐殺」が行われて、いまでもダルフール紛争が止まないからである。ザッと振り返ってみよう。

(1)ダルフール紛争は、スーダン西部のダルフール地方でいまもなお進行中の紛争である。ダルフール地方で反政府勢力の反乱が起き、これをキッカケに、スーダン政府軍とスーダン政府に支援されたアラブ系の民兵「ジャンジャウィード」が反撃し、地域の非アラブ系住民の大規模な虐殺や村落の破壊に発展した。

(2)2003年2月の衝突以降、民族浄化を名目に約40万人程度が殺害された。1956年の独立以来、1972年から1983年の11年間を除く期間に、死者200万人、家を追われた者400万人、難民60万人が発生している。

◆野田佳彦首相は、「南スーダン」とはいえ、こんな危険極まりない地域に陸上自衛隊の施設部隊(旧帝国陸軍流に言えば、「工兵」)の派遣を決定したのである。この決断も無責任極まりない。護衛もつけないという苛刻な任務なのだ。いかに国連からの強い要請を受けての派遣とはいえ、限りなく「憲法違反の疑い」のある自衛隊の海外派遣は、本来は、断るべきなのである。国際協力といえどもは、武装集団(仙谷由人政調会長代行の言葉を借りれば、暴力装置)の派遣は、絶対に禁じられているからだ。こんな「リーズロ」のことを続けていると、国民の規範意識は、劣化の一途を間違いなくたどることになる。

◆さて、朝日新聞の社説全文を、参考までに、以下の如く引用掲載しておこう。
「野田政権はきのう、7月に分離独立した南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に、自衛隊の施設部隊を派遣することを決めた。石油資源やレアメタルに富む南スーダンは、アフリカの中でも将来の発展が見込まれる、世界注視の新生国だ。現地では約8千人の軍人や警察官らでつくる国連南スーダン派遣団(UNMISS)が作業する。その司令部要員として、自衛隊は年内に2人を送り、来年1月からは道路の補修などを担う約200人を、首都ジュバに展開させる方針だ。

この派遣を、私たちは基本的に支持する。米国に続く世界第2位のPKO予算を拠出している日本は、平和構築を外交の看板にしてきたし、これからもそうあるべきだと考えるからだ。だが、南スーダンの場合は、これまで治安の悪さを理由に、国連からの派遣要請を断ってきた経緯がある。野田政権は2度の現地調査を経て、PKO参加5原則を満たすと判断したとはいえ、極めて困難な任務になることは間違いない。

国内では部族対立がいまなお頻発している。北部の国境近くでは10月末に、反政府武装勢力と政府軍が交戦し、数十人規模の死者が出ている。さらに油田をめぐる紛争も続いている。武力衝突の現場と派遣先は離れているものの、ここは派遣直前まで、5原則を守れるかどうかを見極める必要がある。自然の厳しさも侮れない。何より蔓延(まんえん)する伝染病が心配だ。雨期は4月から半年近くあり、道路が寸断され、活動に支障をきたしそうだ。補給路がケニアの港湾から約2千キロに及ぶのも難題だ。治安が不安定な地域でのこれほどの長距離輸送は経験がない。

これらさまざまな障害を勘案して、今回の派遣でも、武器使用基準を緩和せよという議論が一部にある。だが野田首相は、要員防護のための『最小限の使用』という従来方針を踏襲することを表明している。この判断も妥当だろう。武器使用問題は、日本の国際協力のあり方を根本から変えるほど重要なテーマだ。今回の派遣とは切り離して、時間をかけて議論するのが筋だ。自衛隊のPKO参加は1992年のカンボジア以来、9件目になる。規律の高さや仕事の手堅さには定評があり、とくに施設部隊などの後方支援は『日本のお家芸』とも評される。アフリカでの厳しい条件のもと、確かな仕事を期待する」

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