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衆院選挙制度改革 もうひとつの宿題を忘れるな

衆議院の有識者会議が9日、都道府県別の定数を「9増9減」する案を公表しました。首都圏や愛知県などの定数を増やし、三重県など9県を一ずつ減らす内容。一票の格差是正には大きく前進します。ただ、もうひとつの課題である定数削減が置き去りにされるという懸念が残ります。

 衆院の選挙制度改革を検討する有識者会議が9日に公表したのは、「アダムズ方式」という定数配分法。現行は人口の少ない県に定数を加重に配分していますが、最高裁による違憲判決を受け、より人口比を反映させる方式を採用する方向としています。

 この手法に基づいて295の選挙区定数を配分すると、東京が現行の25から28に3議席増えるほか、神奈川が2増、埼玉、千葉、静岡、愛知が1増となります。一方で、青森、岩手、宮城、三重、滋賀、奈良、熊本、鹿児島、沖縄がそれぞれ1減。愛知は現行の15から16に増えます。

 現行憲法で国会議員はあくまでも全国民の代表であり、過疎地に加重に議席を多く配分することなど求めていません。現行憲法に基づく限り、原稿方式は明らかに違憲であり、今回のようにより人口比に近づけるのは当然と言えます。

 愛知県民の声よりも、東北や中四国の住民の声の方が国政に届きやすいというのは明らかにおかしいでしょう。農協改革が難航するのも、地方に公共工事がばらまかれるのも、地方創生といいながら商品券をばらまくのも、すべて一票の格差に原因があるのです。

 もしも過疎地の意見を国政により濃く反映させるべきだというのであれば、改憲議論として考えるべき。与党を含む各政党は今回の提言を真摯に受け止め、そのまま制度に反映させなければなりません。

 ただ、有識者会議に課せられているのは格差是正だけではありません。定数削減というもうひとつの大きな宿題が残っています。

 2012年に当時の野田佳彦首相が解散の条件として求め、安倍晋三現首相も合意した大幅な定数削減。政党間の思惑があまりにも食い違っているため、有識者会議にその結論が委ねられました。今回の「9増9減」はあくまでも現行の定数を基にしており、定数削減の議論はこれから。「9増9減」が独り歩きしてしまうと、定数削減が手つかずのまま新制度に移行してしまいかねません。

 既存の政治家や政党にとっては、定数削減を実現する傍らで、定数削減の議論が忘れ去られてしまうというのがベストシナリオ。しかし、そんなことは許してはなりません。

 与党は昨年4月に消費税率を8%に引き上げ、2017年4月には10%に上げるとしています。国民には負担を押し付けておいて、自分たちは給料を上げ、定数削減も維持する。そんな不誠実な政治は許してはなりません。 

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