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遺品をまとめてオークションしてくれる「Everything But The House」

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日本では、故人の遺品を整理する場合、親族や友人など、故人と親しかった人たちの間で「形見分け」するのが通例だが、米国には、「エステートセール(estate sale)」という方法がある。遺産の相続人が遺品の中から手元に残したい品物を取りおいた後、故人が暮らしていた家を一般公開して、残りの家財を他人に展示して販売するというものだ。家が故人の持家だった場合は、往々にしてその家も一緒に売りに出される。

また、エステートセールは存命中の家主が転勤や生活のダウンサイジング、離婚、老人ホームへの入居など様々な理由で家を明け渡す場合にも利用される。売り手が自分で行うことも、専門業者を雇うこともある。

いずれにしろ、売り手には自分たちで保持できない家財をなるべく早くに売却して、現金化したいという事情があるため、品物一つ一つの市場価格を確認して、適正価格を付ける手間をかけられない場合がほとんどだ。また、買い手が現地に足を運べる近隣の住人に限られるので、アンティークやビンテージの貴重な品であっても、大抵の場合、本来の価値を大幅に下回る価格でしか売れない。結局、買い手がつかずに廃棄されてしまう品物も多くなる。

Everything But The House」は上記のような、従来のエステートセールに付き物の欠点をオンラインの力でカバーすることを意図して誕生したオークションサイト。IT系企業には珍しいオハイオ州シンシナティを本拠地として2006年に創設された。

「家を除くすべて」というサイト名の通り、一軒の家にあった家財が一挙大放出となるところと元の持ち主の人生やライフスタイルが出品されたアイテムから垣間見えるところが、eBayなど他のオークションサイトでは味わえない同サイトならではの醍醐味になっている。

地元で着実に実績を重ねてから拡大路線にギアチェンジ

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(EBTHの経営陣。左から順に Mike Reynolds氏、Brian Graves氏(創設者)、Andy Nielsen氏(現CEO)、Jon Nielsen氏、 Jacquie Denny氏(創設者))

Everything But The Houseの共同創設者の1人、Brian Graves(以下グレイブス)氏はITや品質改善などの業務に携わっていた。子供の頃から美術品や骨董品が大好きだった彼は19世紀に建造された一軒家を購入したのをきっかけに、その家を飾るのにふさわしいアンティークを求めて、地元の骨董市やオークションに足繁く通い始める。やがてアンティークを購入するだけでなく、購入したアンティークを転売して利益を上げることも覚え、数年間で彼のアンティーク関連の知識は大幅に増加した。

90年代後半、地元のアンティーク産業が下降線を辿り始めたのを機に、グレイブス氏は掘出し物の発掘と転売の場をインターネットに移した。オンラインで売買を続けているうちに、どうせなら好きなアンティークの販売を本業にしたいと考えるようになり、Mendenhall School of Auctioneeringという、競売人のスキルや知識を磨くための集中講座を受講する。

この講座には、Jacquie Denny(以下デニー)氏も参加していた。デニー氏はアンティークの愛好家であると同時に根っからの起業家で、すでに20年以上、中古品の販売業を営んでいた。グレイブス氏は彼女の顧客でもあり、2人は旧知の間柄だった。

アンティークに対する情熱を共にする2人は、2006年、地元シンシナティで「エステートセール」を中心に取り扱う事業を共同で起こすことに決め、Everything But The House(以下EBTH)を創設。ウェブサイトも同時に開設した。

当初は出品予定のアイテムの写真と説明文をウェブサイトに掲載して、エステートセールの予定を告知しただけだったが、それだけでもセールに現れる買い手の数は激増し、依頼主から喜ばれた。創設から1年で同サイトが発信するメールの定期購読者は800人に達した。

オフラインで開催するセールをオンラインでバックアップするという戦略は確実な成果に繋がったが、セールの参加者が現地に足を運べる地元の住民に限られてしまうことが2人には次第に歯がゆくなってきた。そこでウェブサイトに販売のプラットフォームを組み込むことを決断。2008年、EBTHはeコマース企業に転身し、オンラインでオークションを開くようになる。

販売の場をオンラインに切り換えた後も、重量や嵩のあるアイテムは送料が張るため、落札者は現地で商品をピックアップできる地元の住民が大半だった。しかしそれでも入札参加者は明らかに増加し、それに比例して落札額も上がっていった。出品したアイテムはほぼ100パーセント買い手がつくようになった。

翌2009年、同サイトの売上は170万ドル(約2億400万円)に到達。その後も順調に売上を伸ばし続けた。

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