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高度なプロだけを集めたクラウドソーシング「Crew」

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クラウドソーシングの利用が拡がってきている。読者のあなたも利用したことがあるかも知れない。

しかし、まだまだ課題も多い。一番の問題は、発注者側と受注者側の間で注文に関する認識のズレがあって仕事が滞ったり、お互いが求めているものが何かのギャップを埋めることができないなどのミスマッチが発生する点だろう。

今回ご紹介する「Crew」は、そうしたミスマッチを減らし、質の高い仕事に結びつけることにフォーカスしたクラウドソーシングサービスだ。

プロダクト制作を依頼したい発注者と、案件を実行するWebデザイナーやデベロッパーとを結びつけるクラウドソーシングサイトを行っている同サイトでは、厳しい選考条件を設けることで、質の高いスタッフを確保。また注文する内容やイメージしているものが何かを把握しやすいフォームを用意することで、発注者と受注者間のミスマッチが把握しづらい工夫を行っている。

発注者側は作りたいプロダクトを実現するのに十分なスキルを持った人材に案件を頼むことが容易となる。また受注者のWebデザイナーやデベロッパーも平均して8000ドルの案件を受注することが可能と、両者にとってメリットの大きいサービスとなっているのだ。

ただ受注者と発注者を結びつけるだけでは質の良いプロダクトは生まれない

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Crewの創業者はウィンスコンシン大学マディソン校出身で、その後モントリオールに移住し、Webマーケッターとして複数のスタートアップの立ち上げに携わってきたMikael cho(以下、チョ)氏だ。

マーケッターとして企業のコンサルティングを行うかたわら、アプリケーションやサイトの製作を行うプロダクトディベロップメントにものめり込んでいた同氏は、世の中にたくさんのアプリケーションがあるにも関わらず、なかなか世間から認知されにくいという状況を知った。

そこでアプリケーション版Kickstarterとも言える、アプリケーションのプロダクト制作をファンが応援できるビジネスモデルを構想。モントリオールで開催されたビジネスコンテスト「Founder Fuel」にてこのアイディアを提出したところ評価を受け、5万ドルの賞金を受け取ることになった。

その後このアイディアを実践するために「Ooomf」を起ち上げ、数ヶ月で2万ものアプリケーションメーカーが応募してくるなど一定の成功を収めたものの、チョ氏はある大きな問題があることに気づいたという。Ooomfの支援によって認知度をあげ、プロダクトとしてアプリケーションをリリースしたものの多くが、製品の出来が悪いために成功しないままに終わるケースが多かったのだ。

いくら宣伝に成功しても、製品そのものの質が悪ければ意味がない。ビジネスモデルを軌道修正する必要があると感じたチョ氏は、製品の認知度のみならず、どうにかして質を向上させたいと考え、最終的にアプリケーション・Webサイトなどを制作したい人と、高いスキルを持ったデザイナー・デペロッパーらとをつなげるマーケットプレイスサイトを考案した。

チョ氏はそのアイディアを元に、2012年2月にモントリオールにて「Crew」を設立。総額470万ドル(約5億円)の投資を受けることに成功すると、2013年12月からは本格的なサービスを開始し、2014月までに300万ドル(約3億3000万円)相当の案件の発注者・受注者間のマッチングを行うことに成功した。

高いスキルを持つプロフェッショナルに仕事を頼むことができるサイト

Crewでは同社の選考に合格した、実績と実力を持つWebデザイナーやデベロッパーにアプリケーション、Webサイトなどのプロダクト制作を依頼することができる。

発注者側がプロダクト制作を依頼する場合、高いスキルを持った人材を探すのは難しいが、Crewに頼むことで発注者が作りたいプロダクトを実現するのに十分なスキル、GoogleやIDEOから仕事を請け負ったことがあるような質の人材に案件を頼むことが容易となるのが利点だ。

プロダクトの制作を依頼したい発注者は、まず「Start Your Project」を選択して仕事を依頼したいプロダクトの種類を選択する。現在選択可能なのは「Webサイト」「アプリケーション」「ブランディング」「その他」の4種類だ。またそのプロダクトについて新規で制作を依頼するのか、既存の製品に機能を追加してほしいのか、点検が目的か、またそれ以外もこの時点で選択する。

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試しに「アプリケーションの新規制作依頼」を選択してみると、iPhone、iPad、Android、Windows Phone、マルチデバイス(あらゆる機種に対応するもの)、その他(ブラックベリーやシンビアンなど)から選ぶようになっていた。ここでは左上の「iPhone」を選んでみよう。

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その後は構想しているプロダクトの簡単な説明、機能、希望する予算、スタートする日時などをフォームに従って入力していく。プロジェクトの情報を記入後、100ドルのデポジットを支払うと48時間以内にCrewに在籍するWebデザイナー・デベロッパーからプロジェクトに適した人がCrewによって選ばれ発注者との間でマッチングが行われる。双方が合意した場合発注者が仮払いを行い、プロジェクトスタートとなる。

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フォームで書き込める項目が充実しているので、発注者は何がプロダクト制作のポイントであるかの情報を整理しながら自分の伝えるべき情報を入力していくことができる。またフォームで入力できる内容が体系的かつ必要な箇所も詳細に伝えることができるため、その後の受注者と受注者間のやりとりも大幅に簡素化することができるのだ。

Crewでは、GoogleやIDEOなどの企業からプロジェクトを請け負ったことがあるような人材を揃えていることも大きな強みのひとつだ。どのようにしてそうした人材を確保しているかについて、チョ氏は以下のように語っている。

"Crewへの登録時には、これまで制作したプロダクトを3つ提出してもらってる。そして、それらのプロダクトは実際に世の中のユーザーに受け入れられているものであることを証明するものでなければならないんだ。モバイルのアプリケーションであれば、アップルストアで5段階評価で4以上を獲得しているといった風にね。こうした実績を精査してCrewのメンバーとして迎えるかどうか登録認可の是非を判断してるんだよ。"

こうした厳しい選考方法もあって、Crewの承認をパスし、登録されるに至ったWebデザイナー・デベロッパーの数が350人であるのに対し、登録認可待ちの人々の数は4000人とハードルはかなり高い。

しかしCrewの案件の予算額の平均は一般的なクラウドソーシングサイトの予算額の10倍の8000ドルと高い予算の案件を受注できるなど待遇も良く、良い仕事を求めるWebデザイナーやデベロッパーにとっても大きなチャンスと言えるだろう。

秀逸なコンテンツやツールを提供することでユーザーを絶えず惹き付ける

Crewはただ開発者を結びつけるマーケットプレイスの場を設けるだけでなく、彼らにとって役立つコンテンツやツールも数多く提供している。

たとえば「How Much to Make an App」は、アプリケーション制作にいくらかかるのか見積もり値段を数分で算出してくれるサイトだ。これは自身のアプリケーション制作に関わった経験からアプリケーション制作にかかるおおまかな見積もり費用を知るのがなかなか大変であると感じていたことから生まれたツールだ。なお見積もり費用算出後にはさりげなくCrewのサイトの宣伝も行っている。

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また「Unsplash」は、チョ氏がサイトに使う写真のフリー素材を探していてなかなか良い写真がなかったことからカメラマンを雇って数十枚の写真を撮ったところ、サイトに使わなかった写真がたくさん余ったことから、高品質な写真のフリー素材として開設したサイト。

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こちらはHackerNewsというWeb関係者が多く閲覧しているギークな掲示板に投稿したところ10分で5万人からアクセスがあったという。閲覧者の多くはWebデザイナーやデベロッパーなどのWeb関係者であり、こうしたコンテンツはCrewの認知度を高める効果的なマーケティングになっている。

その他にもマーケティングやライティングに関してCrewのスタッフが書いた高品質な記事のブログである「Blog」やCrewの起業までの経緯や企業活動などをチョ氏やCrewスタッフが書いた「Backstage」など、利用者にとって役立つツール、参考になりそうな情報がいくつも並べられているのだ。

役立つコンテンツを作ったことが最大のマーケティングにつながった

Crewはビジネスモデル自体も大変秀逸なサービスだが、本サービスとは別に独自のサイトやサービスを複数所持し、それをCrewの集客に結びつけているのがおもしろい点だ。こうしたコンテンツ・マーケティング的なアプローチについて、チョ氏はこのように語っている。

"正直なところマーケットプレイスサイトというのは一時的に利用されるものであって常に必要とされるようなものではないんだ。でも、だからこそ、一時的に利用される際にユーザーの頭の片隅にCrewのことを覚えてもらえるようにユーザーに役立つ情報やツールを提供しなければならないんだよ"

これらのサイトがWebデザイナーやデベロッパー、そして潜在顧客のプロダクト制作の発注者に役立つコンテンツとして利用され、そしれその利用体験がCrewへの認知度を高めることにつながっているのは確実だろう。

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