記事

002:旅行ガイドブックにイノベーションを ――電子書籍サービス『たびのたね』5/6

【以下からの続きです】
旅行ガイドブックにイノベーションを ――電子書籍サービス『たびのたね』 1/6
旅行ガイドブックにイノベーションを ――電子書籍サービス『たびのたね』 2/6
旅行ガイドブックにイノベーションを ――電子書籍サービス『たびのたね』 3/6
旅行ガイドブックにイノベーションを ――電子書籍サービス『たびのたね』 4/6

みんなで勝ち取った大賞

(ここからJTBパブリッシング 執行役員 情報戦略部長 井野口正之さんが合流)

―――JEPA(日本電子出版協会)の電子出版アワードで大賞を受賞されましたね。おめでとうございます! 注目されているサービスだということが証明された形だと思いますが、感じていることはありますか?

青木:一緒にノミネートされていたのが並み居る強豪たちだったので、本当にありがたいお話です。

―――大賞を取られて、手応えを感じているのでは?

井野口:やっぱりうれしいですね。自分たちは当然、いいもの・おもしろいものを作ろうと思ってやって、もちろん現時点で不満なところもあるものの、できる中では一番のものを作ったつもりですが、それはあくまで自分たちの中でのこと。今回、第三者の方々に評価していただいたことは、やってきたことや「こういうことができたらな」っていうのを受け入れていただいたということだと思うので、とても喜ばしいです。

青木:もちろんいろんな人に恵まれてできたことではありますが、参画していただいた出版社さんのおかげだと思っています。デジタルのこともそうですし、今までとは違った取り組みをするという点で、出版社さんにとっても大きなチャレンジをしてくださったと思うんです。3〜4人でやられているような小さな出版社もたくさんいらっしゃって、その方々にいち早く報告したかったです。

リンク先を見る

(左から)JTBパブリッシング 情報戦略部 企画課 青木洋高さん、執行役員 情報戦略部長 井野口正之さん

いつでも訪れてもらえるサイトに

―――今、『たびのたね』に参画している出版社の数はどれくらいなのですか?

青木:今日現在(=2014年12月26日)ではご当地出版社さんを中心に37社なんですが、九州が増えると一気に50社くらいになります。関東まで広がるとさらに20社くらい増えるかなと。

―――すでにサイト内でいくつか連載が始まっていますが、エリアの拡大以外の課題として、これからオリジナルのコンテンツも充実させていく予定なのでしょうか?

青木:旅行って、いつも行くものではないじゃないですか。旅行のときしか来てくれないサイトだと接触ポイントがすごく限られてしまうので、旅に行かないとき、もっと言えば本を買わなくても訪れてもらえるサイトにしたいんです。となると、やはりコンテンツを充実させたいなと思い、まずは2015年スタートの連載を内沼晋太郎さんにお願いしました。内沼さんには、「本屋の旅」っていうタイトルで、敢えて「書店」に行ってその魅力をレポートしてもらう企画になっています。

早い電子化着手が功を奏した

―――旅行情報誌周辺の電子化に関して、『たびのたね』ができる前からそういった新しい取り組みをしようという動きはあったのですか?

青木:僕がこの部署に異動してきたときに、井野口が先行して電子書籍をやっていたんですよ。それは、旅行ガイドブック業界ではかなり早かったと思います。なので、「本をデジタルにする」という部分ではゼロベースではなかったので、そこで乗り越えてきた壁やデジタル化するときの苦労をこれからやる他の出版社さんにシェアできたのは大きかったと思います。

井野口:実際に電子版を出し始めたのは2012年の半ばくらいからで、その年の12月に「2013年度からは、当社で発行する本は基本的にすべてデジタル化します」って対外的に宣言しちゃったんです。言っちゃったらもうやらざるを得ないというか(笑)。ただ、旅行ガイドといっても雑誌型の作りなので、権利関係者が非常に多いんです。雑誌のデジタル化も、権利関係の処理が難しいので書籍に比べてちょっと遅れてるじゃないですか。これを整理するのに1年くらいかかりましたが、おかげさまで13年度以降はすべてデジタルで出せるようになったという下地があった。ただ、決して否定的な意味ではないんですが、これは紙のものをそのままデジタルにしたという形なんですね。それはそれで、本屋さんが閉まっても出先でも、いつでもほしいときに買えるし、利便性はあると思うんですけど、必ずしもそれが「ガイドブックをデジタルにしました」ということの最終的な解ではないなと思っていたんです。じゃあどういうものが、単に今あるものをデジタルにしましたということではなくなるのか、と考え続けていろいろやった結果、『たびのたね』もこういう形でできたし、ノウハウを他社さんに共有できたということがよかったですね。

青木:そこが本当に恵まれていました。やりたいことがあって、やらせてもらえる場があって、デジタル化もやっていたし、新サービスを生み出していこうっていうことに対してもバックアップをいただけた。

井野口:技術的な面では、また電子書籍関連業界の方たちがいろんな形でEPUBの普及に努めて標準化をして……という背景もありました。現状でも決してそう簡単にというわけではないけれど、少なくとも一般のユーザーの「見る環境」は整ってきたと思うんですね。もしも2年前だったら同じことはできなかったかもしれない。JEPAはEPUBの日本語対応を含む国際標準化や普及に非常に力を尽くしてきた団体なので、そういう意味でもJEPAから賞をいただいたのはすごくうれしいですね。

リンク先を見る

JTBパブリッシング 執行役員 情報戦略部長 井野口正之さん

5/6へ続きます

「たびのたね」にて、内沼晋太郎による特集連載企画「本屋の旅」スタート!
 
DOTPLACE編集長の内沼晋太郎が、全国各地にある本屋を自ら訪ね、その魅力を綴っていく連載企画「本屋の旅」が「たびのたね」内の特集ページで始まります。
現在、「たびのたね」にてプロローグが公開中。今後の更新にもご期待ください!
 
内沼晋太郎「本屋の旅」

インタビュー&テキスト:二ッ屋絢子
(2014年12月26日、JTBパブリッシングにて)

あわせて読みたい

「JTB」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    ホロコースト揶揄を報告した防衛副大臣に呆れ 政府のガバナンスは完全崩壊か

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    07月23日 10:46

  2. 2

    不祥事続く東京五輪 大会理念を理解せず、市民の生活を軽視した組織委員会

    森山たつを / もりぞお

    07月23日 10:25

  3. 3

    累計8700億円「日本一レコードを売った男」酒井政利氏の〝武勇伝〟

    渡邉裕二

    07月23日 13:02

  4. 4

    将来的に車検で印紙払いが廃止 キャッシュレス払いによる一括払いにも対応

    河野太郎

    07月23日 21:36

  5. 5

    感染爆発は起こらないことが閣議決定されました

    LM-7

    07月23日 22:45

  6. 6

    「BTSって誰?」今さら知らないとは言えないので、初心者が通ぶれる小ネタ集めてみた

    放送作家の徹夜は2日まで

    07月23日 08:07

  7. 7

    東京2020オリンピック競技大会の開幕にあたって

    上田令子(東京都議会議員江戸川区選出)

    07月23日 17:52

  8. 8

    橋本会長、「選手のプレイブック違反」証拠をお見せします 出場資格を取り消せますか

    田中龍作

    07月23日 08:33

  9. 9

    五輪の失敗 誘致直後から「復興」の大義名分が迷走していたからか

    片岡 英彦

    07月23日 10:09

  10. 10

    「飲食店いじめ」「五輪強行」に思うこと 経済財政でも「金メダル」を目指せ

    わたなべ美樹

    07月23日 13:19

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。