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いよいよ欧州中央銀行も伝家の宝刀を抜く

金利が下がることで世の中のお金のめぐりが良くなり、いずれ景気が浮上してくるのである。他方、バブルなどが発生し景気が過熱してくると金利を引き上げ、世の中に出回るお金を少なくしようとする。

金利が高ければみんな貯金するし、企業や個人はお金を借りない。借りている人もできるだけ早く返済しようと考えるのである。こうして中央銀行は金利を操作して景気をコントロールしていたのである。

ところが2000年以降、景気が良くなってもあまり金利が上がらない、さらに湾岸戦争やサブプライム問題、果てはリーマンショックなどにより大幅に景気が落ち込むことで各国は金利を最低まで引き下げてなんとか景気を浮上しようとしたが、これまでの金利を操作する方法だけでは世の中のお金の循環を良くする(すなわち景気を良くすること)ことができなくなっていた。

というのもすでに金利は先進国においては0%近くまで引き下げていたから引き下げようにも引き下げようがなかったのである。

米国は2008年リーマンショック直後からFRB(米国の中央銀行)は金利を操作するのではなく、世の中に出回るお金の「量」を極端にふやし始めた。

日本も2012年12月安倍政権が誕生した際に、日本銀行の黒田東彦総裁(クロダ ハルヒコさんの名前覚えておいてね)が米国と同様の政策に舵を切った。そして遅まきながら今回、ECB(欧州中央銀行)がFRB、日本銀行に追随したのである。

ちなみに米国は景気回復がある程度軌道に乗ったと判断し、イエレン議長(FRBのトップ)が2014年10月にこの政策を打ち切っている。 世の中に出回るお金の「量」をふやしていくこの政策を「量的緩和」という。日本では黒田さんのこの緩和政策を「異次元の金融緩和政策」などマスコミでは報じていた。

これまでECBが欧州の不況が長引いているにもかかわらず量的緩和に踏みきらなかったのは、「お金の量をふやす」ことには恐ろしい副作用が伴う可能性があるからである。

ECBに限らず、日本銀行でさえバブル崩壊から長期のデフレ不況に突入してかなりの年月がたっていたにもかかわらず、なかなか「量的緩和」に踏み切らなかったのはこの「副作用」を恐れてのことである。

中央銀行はもとより政治家、経済学者、金融業界人のなかでも「量的緩和の実施」については大きく意見が分かれるのである。

「お金の量をふやす」とは、すなわち大量にお札を印刷機で刷るということである。お金を大量にふやせばお金の価値は下がる、極端に言えばお金の価値がなくなるのである(一方でモノやサービスの値段は上がるからデフレ対策にはなるのである)。

お金の価値がなくなり、とめどもなくモノの値段が上昇する(ハイパーインフレなどを引き起こす危険があると主張する専門家も多い)と当然のことながら国民生活は破綻するのである。

そうした副作用を上手くコントロールしながら「お金の量」をふやすのである。中央銀行とはいえ非常に難しい舵取りを迫られることになるのである。量的緩和に否定的な人の多くは、中央銀行がお金を大量にばら撒きつつければ、中央銀行程度でお金の暴走、経済そのものをコントロールできるはずもなく、暴走破綻するしかないと唱えている。

欧州中央銀行も副作用の危険を承知の上で、なりふり構わずデフレ不況からの脱出を図ろうとしている。そのことに大いに期待したい。

その足元で先週、ギリシャでは選挙があって左派政権が誕生した。左派政権はユーロからの離脱を叫び、緊縮政策からの転換を唱えるている。

今回、ECBがギリシャ経済を支える条件として緊縮政策の継続を訴えているが、ギリシャの政治家、国民がどこまで節約、倹約に耐えれるのか、どこまで覚悟をもって自分の国ギリシャをよくしようとしているのかが試されるのである。

私見ではあるがギリシャみたいな経済規模の小さな国がユーロを離脱しても一時的なショックで済むはずと考えている。怖いのは、南欧のスペインは今年後半に選挙がある。

仮にスペインでも左派政権が誕生し、ユーロ離脱や借金踏み倒し(国債の債務不履行/デフォルト)が発生し、それがさらにイタリアなどにも波及すれば、欧州経済は非常に危機的状況となる。当然のことながらそれほど問題が大きくなれば、悪影響は欧州だけに止まらず、日本、しいてはアメリカにも、そして世界中に及ぶことになることが最も恐ろしいと思う。

まず、今年7月8月にギリシャ国債の大量の満期時期がやってくる。これをギリシャはどう凌ぐのか(借金を踏み倒すのか?IMFやECBを頼るのか?)、そしてその後のスペインの選挙で南欧がどう動くのか、今年は欧州から目が話せないのです。

※ ギリシャはリーマンショック以降、財政は破綻してしまっているためIMF(国際通貨基金)やECBから経済支援を受けている。その条件としてギリシャ国民は節約倹約することを強制されている。
今回の選挙ではそれに不満を持つ人たちが応援して左派政権が誕生してしまった。左派政権は「もう節約なんて真っ平ごめんだ!これまで各国から借りたお金は踏み倒して、ユーロから離脱してしまえばいいんだ!」と主張している。まぁ選挙だったので国民受けするような公約、主張を繰り返しただけと思うのだが、今後余談は許さない。

因みにギリシャが仮にユーロから離脱すれば、国内で使われるお金は「ドラクマ(ユーロ前の通貨)」に戻ることになる。おそらく借金まみれの国の通貨ドラクマなど世界中の人は誰も見向きもしない。となればドラクマは暴落して紙くず程度の価値になり、ギリシャの国内物価(モノの値段)はとめどもなく上昇するだろう。

国民生活がどうなるかはおよそ想像できるでしょう。ギリシャが鎖国でもして、世界との交易を停止でもすれば話は別だが・・・。今後のギリシャの推移を良く見ておいて欲しい。国家財政が破綻するとどうなるのか?今、どうこうはないが、改革が遅れれば日本も対岸の火事ではすまなくなるから。

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