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002:旅行ガイドブックにイノベーションを ――電子書籍サービス『たびのたね』3/6

【以下からの続きです】
旅行ガイドブックにイノベーションを ――電子書籍サービス『たびのたね』 1/6
旅行ガイドブックにイノベーションを ――電子書籍サービス『たびのたね』 2/6

「デジタル」が「紙」より不便じゃいけない

―――だんだんつながってきましたね。

青木:ソーシャルDRMの話に戻りますが、もともと僕が電子書籍をやっている人間ではなかったからそういう発想ができたんじゃないかと。だって、「デジタルが紙より不便じゃいけない」って思うんですよ。いや、結構不便なんですよね、「これは技術的にちょっとできない……」とか言われたり。「なんなの? ちょー不便じゃん!」と(笑)。デジタルなんだから絶対紙より便利な方がいいはずだと考えていたときに、電子書籍に精通した上司(=5/6ページ以降に登場する井野口正之氏)の下にいて、いろいろ教えてもらって「こういうのやりたいんです」という相談をしました。

―――実際のスタートからサービスをリリースするまで、どのくらいの時間がかかったんですか?

青木:1年半はかかっていないと思います。2013年の夏くらいにはもう考え始めていましたね。

―――現在スタートしているエリアは北海道と沖縄ですが、これから順次広がっていく予定なんですよね?

青木:今月は九州、2月には関東をスタートすることまで決まっています。とにかく早く全国まで広げたいですね。

―――エリア拡大時は、その都度その地に赴いて出版社に足を運ばれているんですよね。

青木:行っていますね。ゼロベースでその地の出版社さんを訪ねます。九州のときは、北海道と沖縄がすでにできていたからまだよかったんですけど、北海道や沖縄に最初に行ったときは、電子書籍などはもちろんまったくやったことがない出版社さんに交渉するので、ソーシャルDRMどころか、「え、PDFじゃないの?」「いやいやまずは……」というところから始まって……すごくおもしろかったですね。ただ、僕らが版元だってことはよかったです。メーカーじゃなく、「自分たちも編集者がいて本を作っている会社で、自分たちの本も出すんです」っていうところは、すごく共感されました。

 あと、実はこの『たびのたね』って、最終的にその本を載せるかどうかの決定権はこちらにあるんです。生意気にも「旅行者にその本が価値があるかどうかの判断はこちらがする」って言ったらどうなのかなって思ったんですが、意外にもそれがすごくウケました。「あ、ウチの本は絶対に喜ばれるよ」と。既存のオンライン書店なんかでは埋もれちゃうけど、旅というフィールドで同じ土俵に立てるなら絶対ウチの本は大丈夫だっていう出版社さんの自信を聞いたときに、「コレ、いけるな」と思いましたね。

―――ご当地出版社って、みなさん作品にすごくポリシーを持って作っていますよね。

青木:そうなんですよ、絶対にちゃんと(売り場に)並べば喜んでもらえるって思っているところが多くて。たとえば、沖縄そばだけで一冊の本になっていたりするんですよ。沖縄そばだけですよ!?(笑) 『るるぶ』でいうと沖縄そばって、大きな「グルメ」という特集の中の、一部になってしまう。旅行者が行ける食事の回数ってかなり限られているので。でも、ご当地では沖縄そばだけの本が出ちゃうのがすごくおもしろいなって。

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1953年より続く沖縄県随一の伝統誌『月刊オキナワグラフ』(新星出版株式会社)も、2013年10月号以降を「たびのたね」にて購入可能

―――今後、海外までエリアを広げる予定はありますか?

青木:海外もやりたいのですが、まず先に考えたいのは、日本に来る外国人に向けたサービスです。これだけたくさん外国人旅行者がいますが、現地では日本の本がなかなか手に入らないので。

―――外国で出版されている日本のガイドブックを取り扱うということですか?

青木:日本のガイドブックでも多言語化されているものが結構あるので、外国の方が日本を紹介した本ではなく、日本人が作ったものを外国の人に読んでもらいたいと思っています。2020年には東京オリンピック・パラリンピックもありますし、昨年も過去最高の外国人が日本に来ていますので。ちなみに、ビジュアル付きの日本のガイドブックって世界にあんまりないんですよ。『ロンリープラネット』みたいな文字中心のものが多い。レイアウトに意味のあるものがあまりないんです。

4/6へ続きます

「たびのたね」にて、内沼晋太郎による特集連載企画「本屋の旅」スタート!
 
DOTPLACE編集長の内沼晋太郎が、全国各地にある本屋を自ら訪ね、その魅力を綴っていく連載企画「本屋の旅」が「たびのたね」内の特集ページで始まります。
現在、「たびのたね」にてプロローグが公開中。今後の更新にもご期待ください!
 
内沼晋太郎「本屋の旅」

インタビュー&テキスト:二ッ屋絢子

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