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安倍政権批判は、ISILの思うつぼという説

Criticism Against Prime Minister Abe Could Mean Falling In A Terrorist’s Trap.

ついにイスラム国(ISIS、ISIL)を称する過激派が、後藤健二さんを殺害したとされる動画を配信してきました。安倍首相は官邸で、記者団に対し「非道、卑劣きわまりないテロ行為に強い怒りを感じる。テロリストを決して許さない」との見解を表明。米国でも、オバマ米大統領が声明で「安倍首相および日本の国民と結束し、残虐際まりない行為を非難する」との協調姿勢を打ち出しました。国家安全保障会議(NSC)は、動画が本物かを精査中とのリリースを発表しています。

CNNを始め、各メディアは湯川さんの時と同じくトップで報道。

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(出所:CNN、WSJ、BBC、RTの各サイト)

日本人の人質2人が無惨にもテロリストの毒牙にかかったとされ、怒りの矛先が安倍政権に向かうこともあるでしょう。しかし、それでいいのでしょうか?

テロ組織の意図は、その存在を広く知らしめ恐怖を煽り、己の目的を果たすことだと考えられます。従ってテロに屈し簡単に身代金を与えてくれる政権ほど交渉する手間が省け、ありがたい存在とも言えますよね。おかげで資金は潤い、ますます侵略の限りを尽くす手はずが整いますから。逆にテロに強硬な姿勢を構える政権はどうでしょうか。人質をとったとしても、ヨルダンのように「パイロットの存命を証明できないなら死刑囚を刑を執行する」と切り返されてしまえば資金も入らず、無駄に時間が過ぎていき、せっかく植え付けた恐怖心も後退する。テロリストにとって楽なシナリオではありません。

ISILは動画で、これまでのように英国アクセントの英語を使い安倍首相を槍玉に挙げていましたが、ISILにとって安倍政権が邪魔で仕方がないようにも見受けられます。それなら、安倍政権のスタンスは間違っていないと解釈できるのではないでしょうか。また、仮に身代金を払ったとしても本当に人質の方々を無事に返すかは限りなく不透明。おまけに日本人が鴨がネギを背負ったような存在と判断され、人質として狙われるリスクを増大させます。安倍政権がテロリストを日本に招く危険性を招いたとの批判もあるでしょうが、テロリストはどこにでも出没します。仮に日本が無抵抗なら、なおさら狙い撃ちしてくるでしょう。

翻って、米国はどうか。オバマ政権は2014年9月から、ISIL掃討を目指し空爆を開始しています。アメリカ世論は支持を表明しており、CNN/ORCでは「賛成」が73%に達していました。保守派のフォックス・ニュースだと、空爆が効果を発揮しない場合の地上軍派遣すら52%で支持するほど。オバマ政権の事態も支持率は空爆以降、低下していません。レームダック政権と揶揄されながら、ギャラップ調査では「支持」が1月28−30日時点で49%と、「不支持」の46%を超えました。2013年9月後半以来で初めて、「支持」が上回ったかたちです。

ギャラップ調査での支持率、ここ最近で支持率が改善。

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(出所:Gallup)

一般教書演説での視聴者数は3150万人と15年ぶりの低水準を記録する体たらくでしたが、支持率はここまで回復してきました。一部では1月7日に発生した”シャルリー・エブド襲撃事件”後のパリ大行進に不参加を決めたオバマ米大統領に不満を漏らすアメリカ人も見られましたが、欠席が影響を及ぼした様子はみられません。

オバマ米大統領がパリ行進に参加しなかった背景として、イスラム教徒への配慮が考えられます。パレスチナ自治区のアッバース議長も参加していたとはいえ、仮にイスラム教を”中傷した”とシャルリー・エブドを擁護したと解釈されかねない。米国内のイスラム過激派をわざわざ刺激するなんて、得策ではありません。昨年クリスマス直前の12月20日には、ニューヨークのブルックリンでNY市警殺害事件が起こっています。NY市警を殺害した犯人は黒人のイスラム系で、警察官の手で死に追いやられた黒人のマイケル・ブラウン氏、エリック・ガーナー氏への報復として犯行に及んでいました。格差が広がる社会ではイスラム系過激派と言わず、鬱屈した不満を抱えるあらゆるタイプが犯罪に手を染め、結果として1人の暴力が別の憎悪を生み出す懸念は拭えず。いらぬ対立は、引き起こさないに越したことはありません。

話を元に戻して。

オバマ政権によるISILへ対応には保守派から弱腰と批判されるケースこそあれ、米大統領の決断を圧倒的多数が支持しています。テロリストの報復を恐れ非難する声は、全くといっていいほど聞かれません。

キューバ革命を導いた革命家チェ・ゲバラはこう言いました。「沈黙は別の手段による論争だ(Silence is argument carried out by other means.)」。テロリストの要求には、不屈の姿勢で臨み、ときに沈黙で交わす。日本も、それぐらいの余裕を以て応じる政権が求められると拝察します。安倍首相は、少なくとも弱腰ではない。政権批判を繰り広げるなんて、まさにISILの思うつぼではないでしょうか。

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