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サウジが見据える数年後の石油市場 - 畑中美樹

サウジアラビアの石油戦略に注目が集まっている。同国主導で石油輸出国機構(OPEC)が生産抑制をしなかったことで油価が急落しているからだ。ヌアイミ石油鉱物資源相は減産拒否の理由をシェールオイル潰しのためと再三説明している。

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米・ノースダコタのシェールオイル田 (REUTERS/AFLO)

 筆者はそれだけではないと見る。実は同国のビジネス王族として知られるワリッド・ビン・タラール王子がシェール脅威論を説くなか、ヌアイミ大臣は2013年までシェールオイルの生産増は供給不安を取り除くのでむしろ有益と反論していた。大臣とはいえ平民が国王や皇太子など最有力王族の承認抜きに王子に言い返すことは考えられない。つまり13年時点ではサウジはシェールオイルを脅威と見ていなかったということである。

 もちろんサウジ有力王族がこの一年で考えを変えた可能性は残る。そこで紹介したいのが昨年11月に発刊されたOPECの14年版『世界石油見通し』だ。この中でOPECはシェールオイルの生産が20年ないし21年にピークを迎え以降急速に減少すると分析し、大きな脅威とは見ていない。仮にサウジがシェールオイルに脅威を感じていたとすれば、まずは報告書で危険性を訴えていたはずである。

 石油は経済財だが政治性を帯びていることも否定できない。石油を政治的に扱うことは認めがたいという米欧だが、例えば対イラン石油制裁は石油を政治目的の達成のために使った「石油武器」そのものである。サウジは有力な輸出商品としても歳入源としても、また最近では政治・社会の安定化手段としても石油に大きく依存している。同国から見れば石油が細く長く使われ、しかも価格や生産量などを規定する国際石油市場での同国の確固たる影響力が維持され続ける状況が望ましい。

サウジにはこれらを達成する上で目障りな存在が二つある。第一は、OPECの市場管理力を脅かす非OPECの生産国、今で言えば米シェールオイルやロシアである。第二は、OPEC内の政治・石油面でのライバル国、具体的にはイラン、イラクである。14年春先の時点では、核交渉合意による制裁解除から3~4年後にはイランの産油量は増加すると見られていたし、イラクも20年には当時の生産量の2倍、30年には3倍になるとの見方が台頭していた。

 シェールオイルやロシアの今後の増加を抑制し、OPEC市場のシェアを安定化させた上で、そこに生産能力回復の見込まれるOPEC内のみならず湾岸政治でのライバル国家イラン、イラクの増産部分をはめ込めば「めでたし、めでたし」である。それがサウジアラビアの真の狙いというのは、深読みのしすぎであろうか。

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