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公教育への機会、家庭の経済状況で最大18倍差−貧困層と富裕層との格差是正を求める

【2015年1月22日 ダボス(スイス)発】

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画像を見る『教育と公平性への投資事例』

ユニセフは22日、新たな報告書『教育と公平性への投資事例(英語表記:The Investment Case for Education and Equity)』を発表。世界の多くの国において、(各国の)子どもたちへの教育に投じられる公的資金は、最も貧しい20%の世帯の子どもへ投じられる額が、最も裕福な20%の世帯の子どもへの額と比べて、著しく少ないことが明らかになりました。その格差は最大18倍にもなります。

より公平に教育への資金配分を

報告書によると、公教育への資金のうち、最も高い教育を受ける上位10%の学生に配分されている資金は、低所得国では平均46%、低中所得国では26%にのぼります。このような不均衡さは、通常最もレベルの高い教育を受けている裕福な世帯の子どもに、有利に働きます。

本報告書(ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の支援により、本年ユニセフにより発表されるシリーズの初回版)では、教育に投じられる公的資金に対し、公平性により重きを置いた支出を、強く提言しています。貧困や紛争下にある子ども、女の子、言語的少数派に属している子ども、障がいのある子どもが最も社会から取り残されており、これらの子どもたちが必要とする支援を優先するよう、政府に呼び掛けています。

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© UNICEF/INDA2014-00566/Vishwanathan 小学校で授業に参加する男の子。(インド)

「世界には初等・中等教育学齢期の子どもが約10億人います。それは、教育への投資理由が10億存在することでもあります。この約10億人のうち、あまりにも多くの子どもたちが、貧困や紛争、障がい、民族性、ジェンダーにおける差別により、質の高い教育を受けられていません。この状況を変えるために、私たちは現状の慣習を根本的に見直さなければいけません」とユニセフ事務局次長、ヨカ・ブラントは述べます。

小学校に通っていない子ども5,800万人

報告書はまた、さらなる深刻な危機が教育に及んでいると強調しています。学校教育へのアクセスが増加しているという進展の一方で、5,800万人の小学校学齢期の子どもが学校に通えていません。ミレニアム開発目標の目標2(初等教育の完全普及の達成)は、未達成になることが明らかです。これに加えて現在、学校に通って授業を受けている子どもの多くが、実際に学習できていません。4年生になる子ども1億3,000万人は、読むことや計算の基礎を習得していない、ということがデータによって明らかになりました。

この状況は学齢児人口が増加するにつれ、悪化する見込みです。基礎教育の完全普及を達成するには、2030年までに、さらに6億1,900万人の3歳〜15歳までの学齢期の子どもを就学させなくてはなりません。今日と比較すると、57%の増加となる数です。

基礎教育完全普及へ資金を

それにもかかわらず、教育における公的資金の額は減少しています。低所得国46カ国では基礎教育の普及への資金の割り当てが年間で260億米ドル不足している状況です。また2009年以降、教育分野への政府開発援助は10%減少しています。この状況を大局的に見ると、世界の高利益企業トップ15が生み出す年間利益の合算額のわずか5%で、この資金間格差が解消されることになります。

ユニセフは報告書で、教育分野への支出の増加と、より効果的な資金の活用、より公平な分配の確保を、政府やドナーに向けて要請しています。また、民間セクターも、教育分野へ資源を動員するにあたり、極めて重要な役割を果たすとしています。

「根強い貧困の悪循環と、子どもや家族、国々の不利益を絶つことができるのは、教育である、ということを、私たちは前々から理解しています。しかしそれには、政府と民間によってより多くの資金投入が行われるだけではなく、それらが、より賢明に教育分野へ活用される必要があるのです」(ブラント事務局次長)

* * *

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© UNICEF/NYHQ2014-0397/LeMoyne
首都バンギの避難民キャンプにユニセフが設置した「子どもにやさしい空間」に参加する子どもたち。遊びや勉強などを行っている。(中央アフリカ共和国)

教育と公平性への資金投入に関して各国政府、ドナー、民間セクターに以下を求めます。

政府への要請:

  • (教育に)より多くの資金投入を行う。教育への資金割り当てがあまりにも限られている。国がより多くの資金を国内予算から投じることは可能、且つ不可欠である。
  • 公平性における格差を縮めるため、最も不利な立場に置かれている子どもたちや地域に対し、明示的に焦点があたることを考慮した、予算配分政策を採用する。
  • 低所得国の国々の政府は基礎教育を優先し、中所得国の国々は中等教育や技術・職業訓練教育を優先して資金投入する。高所得国は高等教育に重点的に取り組む。
  • 教育へのアクセスと学習内容に、最も大きな影響がある形での資金投入が必要。費用対効果が最も高い介入方法や政策が何なのか、裏付けとなる強力な根拠をもって個々の国のケースに応じて特定する。
  • 特に低学年を対象にした学習評価システムを強化する。社会から取り残された子どもに関するよりよいデータを集める。特に、通学への障壁が取り除かれるよう、障がいのある子どもの教育へのアクセス状況に関するデータを収集する。
  • コミュニティや親、子どもたちに対し、教育の成果に関する説明責任を果たす。
  • 排斥された子どもや若者が教育を得るための機会として、非正規(公式学校外)教育、もしくは就学支援プログラム教育を提供する。

ドナーへの要請:

  • 教育分野への支援を増加する必要がある。外部資金は不十分であり、2009年以降、教育への政府開援助資金は10%削減されている。
  • 低所得国の就学前・初等・中等教育への支援に焦点をあてる。
  • 世界の人道支援の資金10%を教育分野に割り当てる。

民間セクターへの要請:

  • 教育分野に投資し、教育分野への資源動員に関して、より重要な役割を果たす。
  • 企業活動における事業目標と実践を、教育の開発目標と連携するべきである。

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