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5社統合のLIXILをもう一度根本からぶち壊す覚悟でグローバル化をやり切る 藤森義明 LIXILグループ代表執行役社長兼CEOインタビュー

編集部(以下、――)藤森社長はドメスティック企業であったLIXILをグローバル企業へと脱皮させるなど、会社を根本から変えている。

画像を見るグローバル化を推し進める藤森社長。LIXILグループでは執行役16人のうち11人が外部から招聘した人材 (NORIYUKI INOUE)

 大企業を変革するには、根本から全部ぶち壊すぐらいの覚悟がないと成し遂げられない。最終的に今まで培ってきたものをすべてぶち壊してでもやるという覚悟がなければ、新しいものはつくれない。

 日本の大企業の大きな問題の1つが全部ぶち壊せないこと。伝統があり、OBがいて、成功体験がある。家訓のような、守ってきたものもある。こういったものをすべて捨てられるかどうかだ。

─―ぶち壊すうえで、どこがポイントになるのか。

 例えば経営陣が10人いたら、8人は外部から連れてくることができるか、人事システム、報酬制度、会社の文化そのものを変えることができるかどうかなど、ソフトからハードまですべて含めて変える気持ちがあるかどうかということだと思う。

 LIXILグループでは取締役10人のうち6人が、執行役16人のうち11人が外部から招聘した人物だ。企業に変革をもたらすのは人だ。人が変わらなければ、何も変わらないので、そこに重点を置いている。

 LIXILは5社が統合して、2011年にスタートした。INAXとトステムが正反対の文化をもっていたように、各社それぞれの文化がある。これを1つにまとめるには、共通するバリューや理念が必要になる。今は外国企業も加わったので、やはり軸になるものが必要だ。

 異なる考え方やバックグラウンドをもつ人間が集まる組織は強い。ダイバーシティ(多様性)は企業を強くする上で必要だ。ただ、ベクトル合わせはせねばならず、「LIXILバリュー」はそれにあたる。ダイバーシティをプラスの方向へ誘導できれば、イノベーションを起こすエネルギーが発生する。

時短勤務の女性社員を抜擢

─ーダイバーシティをもたらすために実行していることは。

 ダイバーシティをもたせるには抜擢人事も必要。女性の抜擢も進めており、筑波工場に勤める育児休業から復帰した女性社員を管理職であるチームリーダーに登用した事例もある。昇格前も現在も時短勤務だが、勤務時間の長短にかかわらず能力のある人物は抜擢する。

 外国人を経営トップにもってくることも行っているが、これも多様性をもたらすためには重要だ。若い社員の抜擢も行っており、私がLIXILに移ってから、リーダーシップ教育というものを継続して行っている。そのなかで、「若いがこいつはすごい」と思った社員や、工場経験しかない社員をいきなりマネジメントに抜擢するなど、一歩一歩階段を上っていく人事ではなく、2段階、3段階ジャンプするような人事を行っている。

─ー日本では積極的に抜擢を行わない企業も多い。

 抜擢がない、透明性がないといった人事制度や官僚的な組織などは個々の能力を削ぐ。誰しも元来高いポテンシャルをもっている。それをいかにして引き出すかが重要だが、日本の大企業はそれが下手だ。

─ーGEのジャック・ウェルチ元CEOは当時30代だった藤森さんに目を付けた。日本の大企業では30代の社員をよく知らないトップが多いが、どのように若い人材を発掘しているのか。

 LIXILでは、部門ごとにハイポテンシャルの人材を報告させるようにしており、そうした人材には、私自身が会う。

 また、ナインブロックと呼ぶ、縦軸にパフォーマンス、つまり結果を出す力、横軸にリーダーシップをおき、それを9つのブロックに分けて、社員を振り分ける仕組みがある。現在管理職に適用しているが、15年4月からは一般社員にも適用する。

 そして、年に2回、各ブロックにいる社員に対して、次にどういったチャンスを与えるか、ということを検討する。チャンスは誰にでもある。ナインブロックで、縦軸A、横軸1、つまりもっとも高い位置づけであるA1の社員にはもちろん、それ以外の社員にもチャンスを与え、1つの組織に滞留させないようにしている。

─ー後継者育成についてはどう考えているのか。

 後継者づくりというのは、誰か1人私の後を見付けることではない。会社そのものや、社員そのものが、考え方を次世代の考え方にもっていかないと会社は変わっていかない。後継者プランというのは、次世代の人材をつくることに尽きる。そういう人たちが育ってくれば、はっきり言ってトップはくじ引きで決めてもいい。

─ー直近の決算の数値はよくなかった。

 財務体質の良い、企業価値の高い会社をつくることが目標なので、短期の数値で慌てる必要はない。14年の住宅業界市場は非常に悪く、市場が悪いときにはそれなりのことを覚悟しなければならない。しかし、どんなに市場が悪くとも良い結果を出す企業はあるわけで、そこが良い企業と悪い企業の分かれ目だ。

 私は営業利益率8%以下のビジネスは切ることを含めて考え直すと明言している。そうした気持ちを本当にもっているかどうか、ということが結果として表れてくる。勝つか負けるかは自分たちで決めることができる。要するに「勝て」ということだ。

◆Wedge2015年2月号より

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