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動き出す「中間貯蔵」 本格搬入へ国は丁寧な説明を

東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た汚染土などを保管する中間貯蔵施設の整備がようやく動き出す。2月初旬にも着工し、東日本大震災から丸4年となる3月11日までの搬入開始をめざすという。望月義夫環境相が記者会見で明らかにした。

当初目標だった「1月中の搬入開始」は成らなかったが、事故発生いらいの難題だった汚染廃棄物の撤去が始まる意義は大きい。

ただ、今回の決定は、地権者からの借用が決まっている約2ヘクタールの土地を「保管場」として整備し、ここに試験的に先行搬入するというもの。原発が立地する福島県大熊、双葉両町の帰還困難区域内計1600ヘクタールに、最大貯蔵容量2550万立方メートル(東京ドーム20杯分)の施設をつくるという全体計画から見れば、ほんの一歩の進展にすぎない。

事実、今年度内に搬入が始まったとしても、向こう1年間で運び込める量は汚染廃棄物全体の1%にも満たない。先行搬入から本格搬入への道筋をどう組み立てるか。今回の“方針転換”で、施設整備を担う政府の責任はむしろ重くなったと見るべきだろう。

計画の進捗を阻んでいる最大の理由は用地取得だ。2000人を超す地権者との交渉は遅れ、現時点でも売買契約に至った例は1件もない。

背景にあるのは、先祖伝来の土地への愛着心や安全性への疑問、補償金額への不満などから、地権者が一様に“引き気味”なためとされる。

だが、地元住民で構成する「地権者会」(門馬幸治会長)は、「施設の建設自体は容認している」として、「(問題は)国からの説明が不十分なこと」と反発している。大熊町の渡辺利綱町長も昨年末、施設受け入れを決断した際、「国は説明を尽くし、地権者との交渉を丁寧に進めてほしい」と苦言を呈していた。

国は、こうした地元の声を真摯に受け止め、もっと懇切丁寧な説明を心掛けるべきだろう。地権者は被災者であることを忘れてはならない。

いずれにせよ、同県内7万カ所に保管されている汚染土の仮置きは刻々と限界に近づいている。

福島復興へ、中間貯蔵問題の決着は待ったなしであることを肝に銘じたい。

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