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"guilt-free"なスナック菓子のサブスクリプションサービス「Graze」

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英語ではカロリーが控えめの食品を指して、「guilt-free dessert」(罪悪感のないデザート)などと表現することがある。

カロリーが高いものが「罪悪感を感じる食べ物」とはやや言いすぎのような気もするが、栄養価が極端に偏っている食べ物を食べつづけていると、なんとなく調子が悪くなり、「近いうちに栄養のあるものを食べなければ......」などと考えてしまうのも否めないところだ。

しかし「guilt-free」な食べ物は基本的にジャンクフードよりも手間が掛かる。入手が大変だったり調理に時間がかかったりお金がかかったりして、結局入手の容易なジャンクフードに落ち着いてしまうことも多いだろう。

そこで今回は、より入手しやすいことにこだわったヘルシーな食品サイトである「Graze」をご紹介しよう。同サイトは自然素材のヘルシーなスナックを消費者の自宅やオフィスにメール便にて配達してくれるサービスを行っており、受け取りのハードルがかなり低めになっているのが魅力だ。

Grazeは2009年に英国ロンドンにおいて設立され、2010年には230万ドル(約2億5000万円)、2011年には750万ドル(約8億円)の利益をあげた。また2013年からは米国でも配達を開始し、2週間で5万5000ものスナックを配達したという。

「スナックを食べると気持ち悪くなる」から起業へと

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Grazeは既存の間食に疑問を持ち、より良い方法を求めていた7人の仲間たちの手により創業された。そのきっかけはメンバーの1人であるGraham Bosher(以下ボッシャー)氏が、日常的にオフィスでスナックを食べていたことにあったという。

スナックは食べ続けていると徐々に気持ち悪く感じるという欠点があった。家やオフィスでも好んで食べられる手軽な食品で、人々の日常生活に欠かせないものであるのに、栄養的に良いものではなく、また代替となる食べ物も市場には多くない。

このような不満を持ったボッシャー氏は、継続的に食べることのできるヘルシーなスナックを開発し、これを欲しい人が時間や場所を問わず、手軽に入手できるサービスを仲間とともに行おうと考える。

まずは商品を手軽に受け取れるように、郵便ポストで商品を受け取ることのできるメール便を活用することを考案。仲間の自宅のキッチンで調理した生のカットフルーツを詰めて送付することに決定した。

実はカットフルーツをメール便で送る業者はこれまでに存在しておらず、その道の専門家に聞いても難しいのではないかと難色を示される技術ではあったが、試行錯誤の末に開発したパッケージング技術によりなんとか可能となったという。

2009年には後にCEOとなるAnthony Fletcher(以下フレッチャー)氏を食品会社から引き抜き、ドライフルーツやナッツ、チョコレートなどを導入してレパートリーを増やした。またスケールアップのためにこれまで食品をひとつひとつパッケージングをしていたのを、専用のパッケージングマシーンを開発して自動化した。

これらの努力の甲斐あって口コミで顧客を増やした同サイトは、2010年には収益230万ドル(約2億7000万円)、2011年度は750万ドル(約8億7000万円)へと延ばすことに成功した。2013年には米国でもサービスを開始し、2週間以内に2万人に5万5000のスナックを配達することに成功。現在では350人もの社員を持つまでの規模となったのである。

お楽しみ袋のようなワクワクを与えてくれるGrazeのスナックの詰め合わせ

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Grazeが届けてくれるスナック・ボックスは3種類ある。同サイトで作っている100種類以上のスナックから厳選される「nibble box」、50~150キロカロリーと低カロリーなスナックのみが詰め込まれた「light box」、子供が好みそうなスナックの入った「goody box」だ。ボックスの値段はぞれぞれ3.99ボンド(約700円)で、初回はプロモーションの意味もあって半額のディスカウントが適用される。

カロリーが低いヘルシーなスナックと聞くと、あまり加工されていないドライフルーツなどを連想してしまうが、サイトで紹介されているスナックを見ると市販のお菓子と遜色のないものも多く、おいしそうに仕上がっている。これなら従来のスナックのもつ独特の「刺激」を求めている人にも広く受け入れらそうだ。

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Grazeのスナックの中身は利用者の好みが反映される。Grazeが提供しているスナックを確認し、食べたくない食品に「BIN」、食べてもいいかなという程度の食品に 「TRY」、好きな食品に 「LIKE」大好きな食品に 「LOVE」の4段階で評価していくと、嗜好に合わせたスナックがランダムに選択されるのだ。

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消費者が内容を選択するわけではなく、消費者の嗜好に沿いつつもある程度ランダムに選ばれるのでお楽しみ袋を開くような楽しさをもたらす効果もありそうだ。

スナック・ボックスには4種類のお菓子が詰められ、毎週、隔週、毎月の中から好きな頻度でメール便にて配達される。家のポストに配達してもらうことを選ぶのが一般的だが、オフィスへの配達を頼む利用者も多いそうだ。直接配達員から受け取る必要がないため、時間帯に縛られずに済むのが利点だろう。

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またGrazeは商品開発や利用者の嗜好の把握にも力を入れている。現在同サイトの品ぞろえは100種類以上あり、すべて自社で製造が行われている。また顧客からの評価を参考に継続的にスナック菓子のメニューの変更が行われており、過去6ヶ月間で40%のメニューに変更が加えられたそうだ。

サイト独自の「個々のスナックの利用者による4段階評価」というシステムが、ボックスのキュレーションのみならず、商品開発にも連動している証拠だろう。

評価データをもとに継続的な変化を続ける姿勢が強み

手軽に利用できる点やヘルシーでおいしいスナックづくりにより英国で成功を築いたGrazeだが、2013年に進出した米国にはNibblrという強敵がいる。

両者は4食ごとのパッケージング、USPSを通してメール便での配達など、基本的なサービス内容はほとんど同じで、今後の成功を左右する最大のライバルだ。しかしフレッチャー氏は、Nibblrを提供しているのが米食品大手のゼネラルミルズであり、顧客のニーズに即座に対応する上では小回りの利く自分たちの方が有利だと考えているという。

フレッチャー氏の考えるGrazeの強みは、継続的なスナック菓子の研究に代表される「消費者の嗜好に応えようとする努力」にあるようだ。顧客からの評価データをもとに、メニューを定期的に変更するなどの迅速な変化が可能なのは自社でオリジナルなスナックを生産しているからでもある。

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