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ユニクロ柳井社長、中国工場の過酷労働に「非常にびっくり」 あまりに白々しすぎないか?

ユニクロの商品を製造する中国工場の「劣悪な労働環境」を、香港を拠点とするNGOのSACOMが指摘した問題で、ファーストリテイリングの柳井社長が20日の会見後の囲み取材で初めてコメントした。

「今まで監査をやってきたんですけど、あのような現状があるということ自体、非常にびっくりしているし、残念だと思っています。事実かどうか、確認しなければいけない」
「今回は例外で、中国の労働環境は決して悪くない」

しかしユニクロ中国工場の劣悪な労働環境は、2011年に刊行された書籍「ユニクロ帝国の光と影」でも指摘されていた。そのうえファストリ社はこの記述を「名誉毀損」だとして、発行した文藝春秋を提訴までしている。柳井社長は本当に「びっくり」したのだろうか。

中国の工場取材を「絶対にダメ」と断った柳井氏

文藝春秋を相手取った裁判は2014年12月、ユニクロ側の請求がすべて棄却されて全面敗訴が確定している。文藝春秋に2億2000万円という超高額の損害賠償を求めたことに対し、「どう喝訴訟(SLAPP訴訟)だったのでは」という批判もある。

「光と影」著者の横田増生氏によると、柳井社長へのインタビュー後に「中国の工場を取材させてほしい」と頼んだ際、それまでにこやかだった柳井氏は表情を険しく変えて、こう返してきたという。

「ダメ、ダメ。それだけは企業秘密に関わることだから絶対にダメです。(スペインの)ZARAだってどこだって、それだけは見せない。われわれが行ったって、見せてくれないんですから」

その後、横田氏は10の製造工場を独自に突き止め、取材を敢行した。そこで明らかになったのは、中国の委託工場における厳しい労働環境だった。

本書によると、17歳の少女が働く工場では朝8時に仕事が始まり、深夜3時まで残業させられることが「何度もありました」という。「納期厳守」を重視するユニクロの生産管理体制の影響だ。ずっと立ちっぱなしでアイロンがけをして、給与や残業代込みで月1500元(当時レートで約2万円)だった。

別の工場では、作業に失敗すると「1回の失敗につき、5元から10元が罰金として(給与から)引かれる」という制度があったという。不良品率が0.3%を超えると、工場側の負担で商品がすべて日本から送り返されるからだ。

NGOの指摘は「イレギュラーではない」とジャーナリスト

書籍内ではこのような指摘が続くが、その内容は今回SACOMが指摘した「長時間労働と低い基本給、労働法の違反」「リスクが高く安全でない労働環境」「厳しい管理方法と処罰システム」「機能を果たさない工場内の労働組合」といった劣悪な労働環境の指摘と、かなり似通っている。

月平均100時間を超える残業や、非常に高温な染料タンクでの作業、品質上の欠陥があれば給与から罰金が差し引かれ、その制度は労働規程には定められていないなど枚挙に暇がない。

また柳井氏はコメントで監査にも触れているが、ファストリ社の「CSRレポート2014」によると170工場に労働環境モニタリングを行った結果、「指摘事項なし」だったのは10工場のみ。9割以上の工場には何らかの指摘事項があり、「重大な指摘事項」があった工場も65件にのぼっている。

CSRレポートの内容を柳井氏が承知しているのは当然で、「非常にびっくり」というコメントは白々しいと思われても仕方ないだろう。横田氏は2015年1月29日号の週刊文春に寄稿し、マスコミ報道がユニクロ批判に「及び腰」であると批判している。

「長年ユニクロを取材してきた私から見れば、(SACOMの指摘を受けた中国工場の違法労働は)『イレギュラー』ではない」
「今度こそユニクロは労働環境の改善に動くのか。発表を鵜呑みにせず、監視することがメディアの役割である」

SACOMは他の工場の「調査内容」「改善プロセス」公開求める

SACOMの報告書を受けてファストリ社は15日、労働環境モニタリングをさらに強化することを発表した。あわせて指摘された問題点をただちに改善する具体的な「工場改善プログラム」もリリースしている。

今回の調査報告書に関連し、ファストリ社は19日にSACOMと会談を実施。SACOMは報告書で指摘した2工場以外にも「同様の事態はないのか」という調査内容や改善プロセスについて「詳細に公開してほしい」とファストリ社に要望した。ファストリ社からは「守秘義務の問題もあるが、検討したい」との回答を得たという。

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ユニクロ帝国の光と影 (文春文庫)
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 691

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