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渡部恒三最高顧問が、「予算最優先」で菅首相退陣を促し、「ポスト菅」を窺い欲望をギラつかせる

◆菅直人首相の在職日数が3月1 日で267日となり、鳩山由紀夫前首相を越える。日本国憲法は「内閣総理大臣の職務」について、第72条で、「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する」と規定する。行政機関の一種である陸海空3自衛隊の最高指揮官として、「統帥権」を行使する「将帥」でもある。

 菅直人首相は、この重任を果たすに相応しい政治家であったか否か。論語は「子曰く、君子は器ならず」(為政篇)と説く。つまり、「孔子は、『君子といえる人器物のようなものではない。器物を使う人である』と語った」という。総理大臣は、器を使う立場にあるから「総理大臣の器」という言い方は、適切ではないので、菅首相は、器を上手く使いこなして、立派に行政各部を指揮監督し、また、将帥として統帥の任を果たしているかを問わなくてはならない。

 旧帝国陸軍が将官・参謀のために説いた国軍統帥の大綱「統帥綱領」(大橋武夫著、建帛社刊)に照らして、菅首相が、重任を果たすに相応しい政治家であったか否かを、いちいちチェックして採点してみよう。

◆「将帥の責務は、あらゆる状況を制して、戦勝を獲得するにあり。故に、将帥に欠くべからざるものは、将帥たるの責任感と戦勝に対する信念にして、この責任感と信念とは、その人の性格と不断の研鑽修養とにより生ず。将帥の価値は、その責任感と信念との失われたる瞬間において消滅す」

 将帥の責務は、「敵に勝つ」ことにある。敵に勝つことのできない者は、将帥としての資格はない。2010年7月11日の参院選挙において、自民党などの野党に大敗した。ところが、「就任からまだ3か月しか経っていない」と言い張り、続投にこだわり、権力にしがみついてきた。そして、いまは、菅内閣支持率が16%まで下落して、衆院解散・総選挙すれば、大惨敗が予測されている。「将帥としての資格はない」と言われても仕方がないほど悲惨な奈落の底に落ち込んでいる。

◆「将帥の具備すべき資性としては、堅確強烈なる意志及びその実行力を第一とし、至誠高邁なる品性、全責任を担当する勇気、熟慮ある大胆、先見洞察の機眼、人を見る明識、他人より優越しありとの自信、非凡なる戦略的識見、卓越せる創造力、適切なる総合力を必要とす」

 このなかで、全責任を担当する勇気がなくては、部下を統率することはできない。下級指揮官に行動の自由を与えた場合でも、その結果に対する責任は、つねに上級指揮官において、これを負わなければならない。

 ところは、どうだろう。菅首相は、「末端組織に責任の丸投げ」ばかりか「他人に責任転嫁」してきた。尖閣諸島周辺海域での中国漁船衝突事件処理を那覇地検次席検事に丸投げし、子ども手当て支給額2万6000円は小沢一郎元代表が提案したことであると言い逃れし、2011年度政府予算案・予算関連法案が可決成立できないのは、自民党など野党が賛成しないからだと責任転嫁している。実例を上げたら、キリがない。実に、卑怯極まりない。

◆この時期に当たり、民主党の渡部恒三最高顧問が、「菅直人首相退陣」を促すかのような発言をして注目を浴びている。共同通信が2月26日、「首相退陣も選択肢と渡部氏 『予算最優先で』」との見出しをつけて、以下のように配信した。

「民主党の渡部恒三最高顧問は26日、2011年度予算関連法案成立に向けた野党側の協力を得るため、菅直人首相の退陣も選択肢だとの認識を表明した。『予算を通すことを、民主党より菅君よりも何よりも最優先に考えなければならない』と述べた。1989年当時の竹下内閣が事実上、予算成立と引き換えに退陣したことも例示した。小沢一郎元代表に批判的な一方、これまで党の重鎮として菅政権を支えてきた渡部氏が退陣論に言及したことで首相は一段と厳しい立場に追い込まれそうだ。同時に、渡部氏は小沢氏支持派の政権批判を念頭に『党大会で代表に決めた。菅君がやろうと言っている限り守ってあげるのが政治家のルールではないか』とも述べた。都内で記者団に語った。

 これに先立つTBSのテレビ番組収録では衆院解散について『今解散したら民主党は惨敗するに決まっている。解散するなんてばかなことがあるはずがない』と否定。会派離脱届を提出した、小沢氏に近い民主党衆院議員16人が比例代表選出であること指摘し『1票も投票をいただいていない、政治家と思っていない』と酷評した」

 しかし、菅首相退陣は、当然としても、渡部恒三最高顧問の発言の裏には、ドロドロとした欲望がたぎっており、額面通り受け取ると、「罠」に嵌められてしまう。

 だれが「ポスト菅」を担うのかである。第一番には、岡田克也幹事長、第二には、渡部恒三最高顧問自身を考えているフシがある。あわよくば、自分が総理大臣になるという大それた欲望である。

 だが、小沢一郎元代表と衆院議員同期で、42年もの長い付き合いであるにもかかわらず、民主党が政権を取ったとき、小沢一郎元代表が衆院議長に推挙してくれるものと思い込み、「次ぎは私が衆院議長だ」と衆院事務局あたりにも吹聴して歩いていた。ところが、横路孝弘衆院議員にお鉢をさらわれて、これが、外れてしまい、以後、小沢一郎元代表に恨み骨髄である。「小沢は、悪いヤツだ。悪代官だ」などと悪口を言い散らして、いまや「反小沢」の急先鋒になっている。

 しかも、「小沢氏に近い民主党衆院議員16人が比例代表選出であること指摘し『1票も投票をいただいていない、政治家と思っていない』と酷評」とは、ムチャクチャ発言で常軌を逸している。

 小選挙区比例代表制の現行選挙制度を否定して、どうするつもりなのか。もしも「ポスト菅」を担う次の代表、新しい総理大臣を選ぶとき、これら「16人」の票は、カウントしないのであろうか。理解できない。

 こうなると、もはや「老害政治家」以外の何ものでもない。小沢一郎元代表よりも10歳年上でもあるので、早々に引退すべきである。

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