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異物混入の“真因”は何か

今日は、食品業界で相次ぐ「異物混入」についてちょっと考えてみました。

すでに報道されているように、昨年12月、ある学生のツイッターへの投稿画像から、まるか食品のカップ焼きそば「ぺヤング」へのゴキブリ混入が発覚。同社は、製造過程での混入は否定できないとして、全24商品の製造販売を休止。返品、返金などの対応を余儀なくされました。

また、日本マクドナルドでは、チキンナゲットからビニール片、デザート商品からプラスチック片、ハンバーガーから鉄くず、極め付けは、フライドポテトから人の歯が発見されるなど、異物混入問題は、かねてからの経営不振に追い打ちをかけるかっこうですよね。外部の専門会社に委託して、国内すべての店舗で衛生管理に関する緊急の検査を行う方針を明らかにしたが、一向に事態の収束はみえないのが現状です。

さらに、今月8日には、ベビーフード大手の和光堂が、離乳食にコオロギが混入していたとの苦情を受けて、自主回収の開始を発表しました。ほかにも、三越伊勢丹のワインからガラス片が、吉野家のタコライスからミミズの死骸が見つかるなど、異物混入の報道は後を絶ちませんわね。

こうした騒動の背後には、何があるのでしょうか。

例えば、日本食品衛生協会専務理事の高谷幸氏は、8日付の朝日新聞で、次のように述べています。「消費者がインターネットで情報を活発に発信するようになったことも背景に、企業は消費者の反応に過敏になっており、異物の混入が表面化しやすくなっている」

それも、一理ありますよね。インターネット、なかでもツイッターやフェースブックなどのSNSの普及によって、ほんの些細な出来事でさえも、一気に全世界へと波及するようになりました。先述のペヤングの例にみられるように、1つのツイートがきっかけとなって、世論がワっと炎上しました。

では、ネットが、問題の“真因”かといえば、必ずしもそうともいえない。もっと深いところに根っこがあると思われるからです。

食品のリコール(自主回収)件数は、増加傾向にあることが知られています。独立行政法人農林水産消費安全技術センターのデータによると、2006年350件だったリコール件数は、07年839件へと一気に増加。13年は932件に上りました。わずか数年間で2.7倍にふくらんだ計算です。なぜ、これほどまでにリコール件数が増えたのか。

日本の食品メーカーの品質力が落ちたのでしょうか。そんなことはないでしょう。食品メーカーの多くは、安全、安心かつおいしい商品を実現すべく、品質管理体制の強化や品質保証の仕組みづくりに力をいれています。こうした企業努力を念頭におけば、日本の食品メーカーの安全品質が低下したとは考えにくい。

もとより、一連の異物混入の原因には、製造過程などにミスがあったことは間違いないでしょう。ただ、ここで論じたいのは、社会的な背景についてです。つまり、変わったのは、社会であり、人々の意識ではないのか。

ズバリ、日本社会が成熟化し、豊かになった結果ではないでしょうか。人間豊かになると、“現状維持”が最大の関心事になります。直接的な危険や危害はもとより、自らの安全・安定・安心を脅かしかねない“リスク”や“不安”に対しても、人々はきわめて敏感になります。かくして“異物”を徹底的に排除する傾向が高まる。現代人の健康に対する関心の強さも、それを示しています。

その意味で、企業にとってはきわめて厳しい時代です。消費者からのクレームやリコールを避けるには、経営資源を安全対策に徹底的に振り向けなければいけない。消費者への対応を一歩でも間違えれば、事業存続の危機に陥りかねないからです。インターネット社会をうらむ前に、企業は、そのことを肝に銘ずる必要があります。

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