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小沢一郎元代表が、菅直人首相に「5月解散・総選挙による事実上の菅政権退陣」を言い渡した

◆小沢一郎元代表は2月10日、菅直人首相と会談し、「5月解散・総選挙による事実上の菅政権退陣」を言い渡したという。要するに、「菅首相の命運は5月まで」と期限を切ったのである。菅直人首相が「離党」を求めたのに対して、小沢一郎元代表は、一蹴したという。

 これまで「3月解散総選挙」が取りざたされていたが、予算案・予算関連法案を成立させて菅首相の顔を立て、さらに国民新党が悲願としている郵政改革法案、社民党が熱心に取り組んでいる労働者派遣法改正案を成立させて花を持たせて、これらと引き換えに菅首相を退陣させる。日本の本当の最高権力者は、小沢一郎元代表という紛れもない事実を天下に見せ付けるのである。

◆伝家の宝刀である室質的な衆院解散権は、菅直人首相が握り、形式的には憲法7条第3項により、天皇が解散する。だが、現在の政治情勢下、小沢一郎元代表は、菅首相の室質的な衆院解散権のハンドルを握っており、菅首相の自由にはならない。

 小沢一郎元代表が、配下の小沢支持派(鉄板組約70人)にサッと采配すれば、民主党は衆院でたちまち過半数(240人:480人−欠員2人=478人の1/2に+1人)を割ってしまうからである。

 つまり、現有勢力307人−71人=236人となる。しかも、民主党、国民新党、社民党3党の有志議員150人が2月9日、「郵政等3党合意を考える会」を設置し、国会内で初会合を開いている。

 世話人には、小沢一郎元代表側近の山岡賢次副代表も名前を連ねており、見方によれば、小沢一郎元代表の別働隊の色彩が強い。小沢一郎元代表の政治力の源泉は、これらの軍団にある。どこまで行っても「政治は数、数は力、力はカネ」なのである。

◆ところが、朝日新聞が2月10日付けの社説(3面)「党首討論 定例化し論戦の主舞台に」のなかで、衆院解散制度について、またもやピント外れの勝手な主張を繰り返している。

 曰く「総選挙でいったん政権を委ねたら、衆院議員の任期4年間はおおむね見守る。マニフェストの達成状況に対する評価は、次の総選挙で審判をくだす。それが、政権交代時代の基本的な政治の進め方ではないか」と。

 しかし、この論法は、日本国憲法想定している衆院解散制度に照らすと根本的に間違っている。憲法学者である東大法学部の宮沢俊儀元教授著の「日本国憲法」(コンメンタール1)を紐解いてみよう。次のように解説している。

 「いかなる場合に解散できるかの点については、旧憲法におけると同様、現行憲法には何等の規定もない。衆院解散とは、存立している衆議院が、国の内外の問題につき国民の抱懐している意思を適正に反映具現するに適する構成になっているか否かを国民に問う制度である。議員の任期中は、選挙を通しての国民の意思が代表されているものと見るのが法制上の建前であるが、右解散の制度はかかる法制上の建前に合致しきらない変遷する政治情勢に対処する為のものである。従って、解散は変遷する事態を政治的に判断してなさるべきものであることは明らかであり、その解散権行使は、法規により一義的に拘束するには不適な事柄であると言わなくてはならぬ。以上の處からすれば、現行憲法がいかなる場合に解散を為し得るかの要件について何等の規定も設けていないのは、いかなる事態の下に解散を為すべきやの判断を全く政治的裁量に委ねたものであると解釈すべきであり、その解散が妥当であったか否かの如きは、固より裁判所の判断の対象となるものではない」

 つまり、憲法は、事態の変化に応じて臨機応変の解散を予定している。朝日新聞の社説が主張する「総選挙でいったん政権を委ねたら、衆院議員の任期4年間はおおむね見守る」という固定した考え方は、予定していない。それは「変遷する事態を政治的に判断してなさるべきもの」という趣旨からは大きく離れてしまうからである。

◆菅直人首相就任以降、政治情勢は、激しく揺れ動いてきた。民主党がマニフェストに書いていない「消費税5%アップ」、「TPPへの参加」などについて、菅直人首相は、民主党内の討議、コンセンサスも得ないで、独断専行しているため、マニフェスト違反と批判を浴びている。国際的には、「尖閣諸島周辺での中国船衝突事件」「ロシアのメドベージェフ大統領の国後島訪問」などに適切に対処してこなかった。

 これらにより菅首相の資質、能力の欠如が露呈し、政権担当能力のなさが証明された。これこそ、まさしく、衆院解散すべき「変遷する事態」に相当し、「国の内外の問題につき国民の抱懐している意思を適正に反映具現するに適する構成になっているか否かを国民に問う」状態を示しているといえる。統一地方選挙(4月10日と24日)に引き続き、総選挙に突入する。公明党は、選挙態勢を組んだまま、選挙戦を戦える。公明党と通じて、いまや一体化しているといわれている小沢一郎元代表の用意周到な政界再編と大連立戦略が見て取れる。これには、社会党の村山富市委員長を担ぎ上げて「自社さ政権」を樹立した曲者、国民新党の亀井静香代表の「陰謀」も内臓されている。

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