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発生理由が日本とは全く違うドイツのマイナス金利

 連日、日本国債の利回りがマイナスになっていることについて考察しておりますが、私の記事を読んだ人のなかには、ドイツ国債も利回りがマイナスになっているではないか、という人がいるのです。

 よく勉強されているようで、立派!

 でも、もう少し勉強して欲しいというのが私の願い。

 ということで、本日は、何故ドイツでも国債の利回りがマイナスになっているかについて考えてみたいと思います。

 では、早速質問をしたいと思います。何故ドイツ国債の利回りはマイナスになっているのか?

 その理由について説明する前に…私は昨日言いました。「このような現象が起きているのに何も感じない人は、相当に神経が摩耗している、と。だって、そうでしょう? お金を借りた人が利息を受け取り、お金を貸す人が利息を払う訳ですから。言ってみれば、川の水が川下から川上に向かって流れるようなもの」

 では、欧州で起きていることも理不尽なことなのか?

 欧州においても今、マイナス金利が発生しているということですから、確かにお金を借りる方が利息を受け取り、貸す人が利息を払う格好になっているのですが、それは謂わばポロロッカが起きたようなものなのです。

 ポロロッカとは、川の流れが逆流する現象ですよね。

 でも、ポロロッカが起きるのにはそれなりの合理的な理由があります。そして、ドイツ国債の利回りがマイナスになっているのも、それなりの合理的な理由があるのです。

 では、何故ドイツ国債の利回りはマイナスになっているのか?

 それは、そもそも欧州中央銀行が、中銀預金金利(預金ファシリティ)の金利をマイナスにしたからなのです。(昨年の6月に‐0.1%とした後、9月以降は、‐0.2%となっています)

 要するに、ユーロ圏の民間銀行がECB(欧州中銀)に余剰資金を預けると、0.2%の金利をECBに支払わなければいけないのです。

 では、何故そのようなことをするのか?

 それは、そうやってECBにお金を預けて利子を取られるくらいなら、一般企業に融資しようという動きが増えるのではないかと期待ができるからです。つまり景気を良くするための金融政策の一環だということなのです。

 その他の理由としては、そうやってユーロの余剰資金をECBに預けて利子を取られるのであれば、ユーロを保有することを敬遠し…そうなればユーロの価値が高くなることを回避することができ、景気の回復に一役買う、と。

 それに、今やドイツの銀行では大口預金に限って顧客から利子を取るマイナス金利制度を導入しているところもあるのです。

 いいでしょうか? 要するに、そうやってお金を預けることにコストがかかるようになっているので、その影響がドイツ国債にも及んでいるということなのです。

 ECBにお金を預けて0.2%の金利を取られくらいなら、それよりマイナス幅が低ければそれでよしとしようとする銀行があるので、短期国債や中期国債の利回りがマイナスになるようなことが起きているのです。

 賢明な読者の方は、もう事情が呑み込めたと思うのです。つまり、日本と欧州とでは全く事情が違う、と。

<中銀預金金利>
 ・欧州は、中銀預金の金利をマイナスにして民間銀行から利息を徴収している。
 ・日本は、日銀当座預金に0.1%の金利を付与している。

<マイナス金利で負担を負う者>
 ・欧州では、民間銀行や投資家が負担を負っている。
 ・日本では、日本銀行が負担を負っている(イコール、最終的には国民の負担になる)。

 私が、日本のマイナス金利がおかしいと言っているのは、日銀が何の合理的な理由もなく(私から見たら)負担を負っているからなのです。

 どういうことかと言えば、日本においては、一旦は民間銀行などがマイナス利回りの国債を購入しても、それを満期まで保有ことはないのです。そうではなく、日銀に高値で買い取ってもらう前提で購入しているので最終的には殆ど全て日銀の負担になるのです。

 一方で、ドイツの国債の利回りもマイナスになっていますが…そのドイツ国債をECBが買い上げるなんてことはないのです。飽くまでも投資家が自分の判断でマイナスでもいいから(ECBに預金して0.2%の金利を取られるよしマシだ)と考えてドイツ国債を保有しているのです。

 ドイツ国債の場合は、元々信用度が高い上にそうやって中銀金利がマイナスになることによって益々信用度が高くなっているように見えるのに対し、日本国債の場合は、幾らマイナス金利が発生しようとも、それは全て日本銀行が日本国債を買い上げるからそのような状況が出現しているのに過ぎないのです。つまり、現在の国債の利回りは、日本国債の信用度を判断するメルクマールにはなり得ないのです。
 
 私は、日本がこんなことをしていると、仮に何かのきっかけで本当にインフレが発生した時にとんでもない事態になってしまうと思うのです。

 というのも、インフレになったら否が応でも金融を引き締めざるを得ないでしょう? そうなれば、日銀が国債を手放さざるを得ないのですから国債の価格は急落する、と。
 
 阿呆なことは早く止めるべきです。

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