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インターネットオブシングスの時代

インターネットオブシングス、略してIoTですが、この言葉がちらほらわれわれ一般人の目に触れ始めたのはまだつい最近であります。世界最大の電機メーカー、GEはこれをインダストリアルインターネットと称してすでにイタリアのアリタリア航空でその効果を実証するなど世界に先駆けた動きを見せています。ドイツでは「インダストリ4.0」と称し、第四次産業革命的ポジショニングに位置付けています。名前はいろいろありますが全て同じです。

簡単に言ってしまえば我々の周りにある家電、自動車、産業用機器などすべての電気製品や工業製品に数多くのチップを埋め込み、インターネットを使い、メーカー側あるいは顧客、消費者はその稼働状況を監視、管理し、最適化を維持すると同時に問題発生を未然に防ぐこと、更にはメーカーなどのマーケティング、保守管理など幅広い用途が期待されています。

インターネットオブシングスが世の中に普及する前提はビックデータを処理できるコンピューターなどの技術革新がそのバックボーンであります。GEによると太平洋を横断する飛行機一機が一回の飛行で集めるデータは1テラバイトだそうです。それをリアルタイムで分析、蓄積、処理する能力を備えることができる時代になったことで可能になった技術だともいえそうです。

では具体的に何ができるか、といえばアメリカで開催されていたコンシューマーエレクトロニクスショーでプレゼンされた冷蔵庫が開けっ放しになっていると手元のスマホに警告が来るという単純な流れが一つの基本形だと思います。人それぞれ違う冷蔵庫と違うスマホを持ち、それをつなぐ通信チップもメーカーが違うブランドという前提を踏まえたものだという点がかつての技術と全く違う次元であります。(個人的には冷蔵庫を閉められなければ意味がないとは思いますが。)

ところでこの技術、日本ではどうなのか、といえばどこのメディアもIoTとしてはあまり捉えていないのですが、多分、日本のあるメーカーが世界の最先端グループとしてそれを商品化してビジネスに繋げていたと思います。それは建設重機のコマツ。

同社がコムトラックスという建設機械の情報を1台1台遠隔で把握するためのシステムを開発、標準装備し始めたのが2001年であります。当時はIoTという言葉もインダストリアルインターネットという言葉もありませんでした。同社の重機にGPS、通信システムを装備し、車両に取り付けられたセンサーで集めた情報やGPSによって取得した位置情報を通信システムでコマツのサーバーが受けます。これによって、建機の位置、運転内容、稼働時間、燃料残量、エンジン負荷、故障情報などの情報を把握することができるのです。

勿論、コムトラックスは万能ではなく、当時の情報処理能力も小さかったのですが、中国向け販売が大きく同社の業績に貢献したのはそのシステムのアイディアに負うところが大きかったのです。

一方、私が経験した初期IoTの例としてGMの車両についていたOn Starがあります。これは1996年に同社が開発したシステムで「安全やナビゲーション、通信などのサービスをすべてのGM車で提供し、ドライバーがハンドルを握りながら旅行の計画を立て、電話で話し、株価チェックまでできるようにしようと計画した」(日経ビジネス)ものであります。私が2004年にGMの車を購入した際、このOn Starが標準装備されていたのですが、要はクルマと人工衛星を通じてコミュニケーションし、携帯電話の電波が届かないところでもすべての車を捕捉し、トラブルに対処する仕組みでした。人工衛星電話が車に標準装備され、うれしくて何度かかけたのですが、通話料がバカ高くて止めた記憶があります。On Starはボタンを押すとアメリカの数拠点のモニタリングセンターにつながり、直ちに問題への対応をしてくれると同時にどんな山の中にいても先方から「あなたは今○○にいますね」と教えてくれるのです。「ちなみにこれはどこにつながっていますか?」と聞いたところアトランタでした。

IoTという言葉はわれわれの社会にはまだ新しいのですが、実社会ではジワリとその普及が進んでいくでしょう。スマホでお風呂のお湯や家の鍵の状況を管理するのもIoTですし、今後、一人住まいの親の安全を確認する新たなるアクセスともなり得ます。旅行に行くときにガスの元栓を止めたか気にすることもそのうちなくなるのでしょう。

IoTの行き着くところは世の中、すべてが可視化されるということです。しかもそれは機械の中まで見えてしまうことを意味します。人々の透明性という視点で見ていく方がこの新しい技術を受け入れるにはたやすいのかもしれません。当然ながらプライバシーや秘匿という問題も生じます。

例えば車を運転中に携帯電話が鳴っても便利なブルートゥース機能は多くの車が搭載しています。しかし私は使いません。理由は同乗者がいるとその人に通話がまる聞こえになるからであります。技術の進歩と共に我々は取捨選択していくことも必要になるでしょう。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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