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段階が違っていた/武雄市図書館を視察して

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図書館に入るとコーヒーの香りが漂い、軽音楽が流れている。目の前には販売用の書籍が平積みされ文具の販売もされていた。図書館とは思えない雰囲気。ブックカフェといったほうがいいのだろう。だが、まぎれもない公共図書館、武雄市の図書館なのだ。






 武雄市図書館は多くのメディアで取り上げられているので詳細はここで書くことはしない。大雑把に言えば、指定管理者制度によりレンタルビデオなどで有名なTUTAYAを運営するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)に企画・運営を任せている図書館だ。
 だが一方でその是非が議論されることも多い。指定管理者制度を導入した図書館として武蔵野プレイスとも比較されることが多い図書館でもあり、公共図書館としての是非の議論を巻き起こしている。


■何が変わったか

 CCCが運営することで何が変わったのか。大きくは下記の点が上げられている。

 開館時間 10時~18時(金曜日は19時)⇒9時~21時
 開館日 295日⇒365日
 図書開架スペース 1140㎡⇒1572㎡
 児童図書スペース 155㎡⇒217㎡
 館長スペース 29㎡⇒0㎡
 カフェスペース 0⇒185㎡
 蔵書数 18万8321冊⇒21万1096冊
 座席数 187席⇒279席
 職員数 19人⇒62人
 司書 15人⇒13人
 来館者数 一日平均867人⇒2529人 (年間92万3036人。361%up)
 貸出利用者数 一日平均280人⇒460人
 図書貸出数 一日平均1153冊⇒1494冊
 
(「沸騰!図書館」(樋渡啓祐/KADOKAWA)とCCCプレスリリースより作成)


リンク先を見る 最も分かりやすいのは、開館時間が長くなり、一年365日開館する図書館になったことだ。それまでの「税金を払っている人が使えない図書館」(同書籍より。市の説明でも同じことが話されていた)から、多くの人が使え、訪れることができる図書館へと大きく変わったことになる。
 私が訪れたのは市議会文教委員会としての視察で、同じような視察団体が毎日押し寄せ、三団体合同での視察となり、これは一日数回行なっており、集客施設と言ってもいいほどだ。今や人が多く訪れることで、駐車場が一杯になる課題も出てきてしまったという。

 年間の指定管理料は、1億1000万円。委託前の年間1億2000万円から1000万円安くなり、開館時間も増えたとなる。サービスを向上させ費用も抑えるという指定管理者制度の鏡のような額だ(同じ敷地に歴史資料館がありこれは別)。CCCが運営するさいにあたっての改装費は8億円。このうち、武雄市が4億5000千万円、CCCが3億5000万円を負担している。

 さて、データ的には大きな変化が生まれ、利用者の評価も高い。私自身も近くにあれば行ってみたいという施設だった。


■図書館としての疑問
リンク先を見る
 だが、これは本当の図書館なのかとの批判も多い。例えば、来館者は増えても、貸し出し数が比例して伸びていないことや雑誌のバックナンバーがないなど蔵書への疑問。本の整理がなされているのか。商業施設部分が多いこともあり図書館としての機能が低下しているなど疑問視する意見を事前には聞いていた。

 また、競争ではなく当初からCCCを指定管理者に選定したことで特定企業に対する利益誘導ではないかとの指摘。図書館の利用カードにTカードを導入することでの個人情報の取り扱いかたなどへも批判は多かった。

 選定については議会が承認していること、Tカードは利用するしないを選択できることになったので現状では問題がないようだ。

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