- 2015年01月07日 08:00
デジタルコンテンツはEC業界における金脈となるか 3つのメリットと2つの課題
1/2デジタルコンテンツは「配送」がないのが強みのEC
今回は、デジタルコンテンツについて考えてみたいと思います。
とりあえず現時点でのデジタルコンテンツというと、本、音楽、動画あたりになるかと思いますが、3Dプリンタが普及してきたら、さらに増えるかもしれません。
デジタルコンテンツの最大の特徴は、「配送がデジタル」ということです。当たり前ではありますが、これはECにとってはかなりのポイントです。
この連載の第2回では、ECサイトには本質的に「商品検索」「決済」「配送」の3つの機能しかないということを述べました。このうち、「配送」が物理的なものからデジタルになるというのは、非常に大きい違いです。ECの3大機能が2つになってしまいます。
通常の物販であれば、そこに配送業者が関わってきます。これはこれで大きなテーマで、この連載の第1回でも取り上げたことがありました。
これがデジタルになると、ネットの接続環境さえあれば即時配送されるということになります。ネットの接続環境がない場合にはそもそもECは使わないでしょうし、現状をふまえるとネットの接続環境はインフラとして存在する前提と考えても問題ないと思います。
実際には、デジタルコンテンツの配送はネットにおいてごく短時間で行われていて、配送自体がなくなっているわけではありません。とはいえ、物販の配送だと当日でも半日かかる(これはこれですごいことですが)のが、数秒から数分で終わるというのは感覚的には「配送がない」というレベルだといえます。
デジタルコンテンツにおいて、配送がないというのは大変大きなメリットです。受け取りの手間もなくなりますし、欲しい時にネット環境さえあればすぐ手に入るというのは販売チャンス自体も増えているでしょう。
「今すぐ手に入るなら買う」というモチベーションは、かなり高いのではないかと思います。例えば映画などは、今見たいので見られるなら購入(もしくはレンタル)するけれども、わざわざ買って届くのを待ってまでは見ない、というのはよくあるシーンだと思います。
物理的な原料が不要 紛失しても再ダウンロードすればよい
また、デジタルコンテンツの場合、物理的な原料がいらないというのも大きなポイントです。原料とは、本であれば紙、音楽や動画であれば記録媒体(DVDやBlu-ray)などです。
まず、資源を消費しないという環境保護的なメリットがありますし、所蔵する場合に物理的な容量を消費しないというのも大きなメリットです。
もちろん、物理的な媒体を製造している企業からするとデメリットになるのかもしれませんが(本であれば印刷、DVDなどであればプレスなど)長い目で見ればこれはメリットのほうが大きいのは間違いありません。
物理的な容量を消費しないというのは、紛失するリスクもなくなるということになります。手元の容量が増えてきたら削除して、必要になったら再ダウンロードすればいつでもまた手に入ります。