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朝生『日本はどんな国を目指すのか?!』を観て。

■朝生のスタンスは「保守」vs「リベラル」?

 遅ればせながら、元旦に録画していた『朝まで生テレビ』を観てみた。
 「日本はどんな国を目指すのか?」ということで、政治や外交問題が中心に論議されていたが、毎度のことながら誰かが話している最中に横やりが入るという感じで、聞きたい話も途中で遮られるケースが多かった。

 それにしても誰がセッティングされているのか知らないが、上手いことメンバーを左右に振り分けているなと感心する。話の途中で森永卓郎氏が対面のメンバーに対して「右翼の皆さん」と言っているシーンがあったが、森永氏の認識では、テレビを観ている観客目線で観れば、右側が右翼、左側が左翼ということなのだろうか?
 私が観たところでは、「右翼」vs「左翼」の構図というよりも、「保守」vs「リベラル」という感じに近かったのではないかと思う。無論、メンバー全員が該当するというわけではないので、誤解のないように。

 「保守」と「リベラル」の違いというのは、一言で言えば「国家観」の有無に尽きる。日本でいうところの「リベラル」というのは、アメリカの「リベラル」とは少し違っている。アメリカのリベラルというのは、国家観を持ちつつも個人を尊重するという「共和党」の考えに程近い人々だが、日本の場合の「リベラル」というのは国家観を持たない個人主義者という意味合いになるので、自民党とは相性が悪いという特徴を持っている。(自民党が自由党を体現していればの話だが)

■「選挙には興味がない」は失言か?

 選挙の話では、古市憲寿氏が「(若者は)選挙には興味がない」というようなことを述べていたので、保守論客からはバッシング(?)されていた。
 私は若者の代表(?)としての古市氏の意見もまんざら解らなくもない(後述する)ので、「選挙には興味がない」と言うだけでは失言だとは思えないが、古市氏の場合、先の消費税8%増税時には政府から有識者の1人として選ばれ、確か条件付きで増税賛成だったと記憶している。
 自分から立候補したわけではなくて、知名度的に勝手に選ばれただけかもしれないが、そういった国民の将来を決定するような重要な会議のメンバーに選ばれた立場にある人物が「選挙には興味がない」と言うのはいただけない。そういう意味では「失言」と思われても仕方がないと思う。

 この論議でも竹中平蔵氏が「消費税増税のほとんどの税収は若者とは関係のない高齢者に使用される」と言っていた。竹中氏が言うまでもなく、消費税収は主に福祉に使用され、老人に益を齎す政策であることは広くアナウンスされていたことなので多くの人が知っている。
 そう考えると若者の代表である古市氏は、「増税に反対」するべきだったと思われるのだが、実際は「増税に賛成」だった。このことは、彼が政治(増税の中身)に無関心だったということの証明にもなっていると思われるので、「選挙には興味はない」というのは本音だったのだろうと思う。

 既に結果論だが、若者の代表として古市氏が言うべきは、「どうせ消費税を10%に上げるのだから、選挙に行っても仕方がない」だったのではないかと思う。

■「戦争できる国」というレトリック

 「日本はどんな国を目指すのか?」ということで、後半は主に外交問題が取り沙汰されていた。政治・経済問題では無口だった孫崎 享氏が急にヒートアップしたのが印象的だった。
 この論議では、「戦争リスク」のことが語られていたが、安倍政権が誕生してからはよく「戦争できる国」という言葉を耳にする。集団的自衛権の是非が論じられる時にも必ず出てくるのが「戦争できる国」という言葉だが、なぜ「防衛できる国」という風に考えることができないのか不思議で仕方がない。

 「戦争できる国」と「防衛できる国」では全く違う。このそれぞれの言葉を子供でも解るように翻訳するなら、「いじめができる学校」と「いじめを防げる学校」と訳すことができる。

 「戦争できる国」=「いじめができる学校」
 「防衛できる国」=「いじめを防げる学校」

 こう考えると、どこがどう違うのかよく解ると思う。
 「防衛できる国」であれば何の問題もないと思われるのだが、なぜか「戦争できる国」という言葉だけが強調される向きがある。現代の日本が自国から戦争を仕掛けるなどということは有り得ない話であり、戦争を仕掛けなければならない合理的な理由が全く無い。現在の日本は周囲の独裁国家からミサイルの照準をセットされている国である。そんな国で論議されるべきは、当然「防衛論」であって「戦争論」ではないはずだが、「防衛論」と「戦争論」を混同している人々の如何に多いことか。

 「戦争できる国」と「防衛できる国」を反意語にして翻訳すれば以下のようになる。

 「戦争できない国」=「いじめができない学校」
 「防衛できない国」=「いじめを防げない学校」

 こうすれば、何が可笑しいのかは一目瞭然だ。
 「戦争」という言葉を意識しなければいけないのは、「いじめっこ」の立場にある国だということだ。では現在の日本は「いじめっこ」なのか? もちろん違う。武器も持たず、喧嘩することも禁じられている日本は明らかに「いじめられっこ」だ。「いじめられっこ」が意識しなければならないのは「防衛」であって「戦争」ではない。
 「いじめられっこ」を「いじめっこ」に置き換えた修辞法、こんな単純なレトリックがなぜ見抜けないのか不思議だ。
 日本が目指すべきは「防衛できる国」であって「戦争できる国」ではない。

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