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セレンディピティ○○という幻想

一時期特にコマースで多かったがセレンディピティ○○的なサービスが苦境に喘いでいるように見える。

インターネット業界で耳慣れない用語が流行り出すときは要注意だ。一見お洒落に聞こえるセレンディピティ○○はマジックワードだったのではないか。twitterのように何か新しい文化を作ってくれそうな気配はあったものの、セレンディピティ銘柄で2015年現在絶好調のところはあるのか。

Pinterestが唯一のセレンディピティ銘柄として踏ん張っているように見えますが下降トレンドですね。最近ニュースを見かけないこともあり、ダウンラウンドになっても不思議じゃないかなと思います。

リンク先を見るそもそもセレンディピティ系は言い換えると目的を持った検索行動と対極にあり、あらあら偶然出会ってしまったわ。素敵!というようなユーザー行動の誘発を狙った設計のサービスといえます。

リンク先を見るセレンディピティコマースの代表銘柄として「Fab」「Fancy」を挙げておきます。あらあら偶然素敵なモノに出会ってしまったわ!という体験は、一瞬ハマってしまい中毒性があるように見えますが、そんなユーザー行動は長続きせず、中長期で見るとユーザーは戻ってこない。コマースにおいてはやっぱり需要が顕在化している検索買いが主流なのではないかと思うのです。

そしてインターネットの世界ではオフラインの世界のように一定規模のセレクトショップがいくつも成立するというより、Amazonのような巨人の方に力が寄せられる傾向にある(winner takes all的な)。オフラインは立地条件が関係するが、インターネットでは関係ない。魅力的な店舗にみんなが足を運ぶし、ブランド力が付きサイト名検索やブックマークから流入する。

FabやFancyのようなある程度の額を資金調達しちゃっている企業は中途半端な成長や売上規模では投資家が許さない。

実際にFabはアクセルを踏みすぎて月間のバーンレートが1,400万ドルを越えてしまい、大幅なダウンラウンドで売却か?という報道まで出ていた。アクセルを大いに踏む分には問題ないが、そもそもコマース企業なので利益はそこまで出ない。次の大型資金調達ありきで全く黒字化の目処もなくアクセルを踏みまくるとこうなることもあるという話は、国内の起業家も覚えておくと良いだろう。

最後により抽象化した話で締めると、セレンディピティ○○のような薄い潜在需要を掘り起こすようなサービスはユーザーが定着しにくく難易度が高いゆえに、サービスとして成立しない可能性が高い。Pinterestの今後のグロースが気になるけど、FabやFancyは死んだと断言して差し支えないと思う。

なので顕在需要を直接刺激できる領域をスマホでやるというのが現代のインターネットビジネスでは一番正解に近いのだと思う。顕在需要に関しては別の記事で書こうと思うけど、一部の人が熱狂的に欲しがるような需要があるとか。

たとえばオンラインデーティングとか「出会いがねえよお!!!」というユーザーが出会えるなら全然課金すると思うし(出会えるまでの)継続率高そうだし何なら滞在時間超長そう。レストラン好きな人の食べログの訪問別セッション数とか余裕で100越えてそうだし。「うおお!!!衝動買いしてえ!!!」みたいな需要はそんなにないと思うんですよね。「ふらふらしててなんかいいかなって思ったから買ってみた。」くらいなノリだと思う。だからセレンディピティコマースとかは継続率悪い。

とはいえ国光さんが正月に買ったらしい本を並べて「Amazonでは出会えない本もある。ネットにはセレンディピティが足りない」と言っていた話もごもっとも。セレンディピティコマースは事業としてスケールしにくいと思うのですが、潜在需要自体はあるとは思うんですよね。

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