学生時代にアパート探しで苦労したことはないだろうか? 物件検索サイトは、色々なニーズに応えられることを想定しているためか、操作方法は複雑で取り扱っている項目も多い。そのため、何をどう進めていけばいいのかまったく分からず困惑する人も多いそうだ。
大学生にとってはアパート探しは初体験だ。そのため一般的な賃貸情報サイトの情報や使い勝手は専門性が高く、とっつきにくい。今回ご紹介する「Cribspot」はそうした学生たちのニーズを踏まえ、よりシンプルで学生が求めるものだけに絞った検索項目や、大学周辺の情報に特化していることが魅力のアパート検索サイトだ。
学校名を入力すれば周辺物件を地図上で検索できる他、ベットルームの数、家賃、貸出開始時期など学生の欲しい情報を簡単に知ることができる。またサイト上からオンラインで家賃を支払うこともできるため、はじめてアパートを利用するユーザーでも馴染みやすい。
同サイトはデトロイトで開催されるテクノロジーの祭典「Detroit's TechWeek」にて優勝、この時は4万ドル(約478万円)の賞金も獲得した。またジョーンズ大学からも1万1000ドル(約131万円)の資金提供を得ている。サイトの利用者数は5万6000人以上。これまではデトロイトを中心に活動してきたが、今後は15都市にサービスを拡大していく予定だ。
大学のプロジェクトから誕生したサイト
「Cribspot」を立ち上げたのは、当時はまだ大学生だったJason Okrasinski(以下オクラシンスキー氏)、Tim Jones(以下ジョーンズ)氏、Evan Dancer(以下ダンサー)氏の3人だ。
3人は実際に自分たちが大学生向け物件探しに苦労したことからアイディアを得たという。物件情報を載せているサイトはあるにはあったが、学生が求めているような情報が確認しづらく、その作業に手間がかかったり、検索サイトや地図をいちいち比較検討する必要がある上、欲しいものが見つからないというありさまだった。
"物件のうち、半分はすでに契約済みなんだ。そしてもう半分は僕が求めているものではなかったんだよ"
- オクラシンスキー氏
こうした不満を抱えていたオクラシンスキー氏は大学4年生の時、ロス・ビジネス・スクールの授業でマーケティング・プロジェクトを行うことになった。このプロジェクトは、身近な問題を学生が解決するというもので、オクラシンスキー氏たちは以前自分たちが経験した物件探しの苦労を題材にサイトをつくることに決めた。
コンセプトは学生のための賃貸物件の検索サイト。シンプルに検索できるようGoogleマップのアプリを利用。また学生にとって重要な情報であるベッドルームの数と価格、賃貸の期間などの項目で物件を絞り込めるようにした。「a2cribs」と名付けられたこのサイトは、このとき4万ヒットを記録したという。
3人は大学卒業後は別々の仕事に就いていたが、卒業からわずか1ヶ月で会社を退職。在学中に授業の一環で立ち上げたサイト「a2cribs」をビジネスにするために、学生時代を過ごした都市アナーバーに戻ってきた。2013年9月にはよりブラッシュアップされた「Cribspot」をロンチし、それからわずか1年ほどで66万ドル(約7900万円)の売上を記録する。
新しく作り替えたサイトのコアサービスは2つある。1つはa2cribsと同様、シンプルに検索でき、1つのマップ内に大学のある街のすべての賃貸物件を集約させること。もうひとつはルームメイトや両親がいる場合も含めた家賃の支払いをオンラインで行えるようにしたことだった。これは実際に家主と関わったときに、グループで家賃を管理することの難しさを体験していたためだったそうだ。