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国産戦闘機が初飛行へ、 いやソレ、戦闘機じゃないから。

>戦後初となる国産戦闘機の開発に防衛省が本格的に乗り出す。三菱重工業に研究開発を委託している試験機は、計画通りにいけば来年1月中旬に初飛行する。防衛省は2015年度から性能試験を実施し、実用化の可否を18年度までに判断する方針だ。同省幹部は「国産戦闘機は長年の悲願。何としても実現したい」と熱意を示す。

国産戦闘機が初飛行へ=国際共同開発も視野―防衛省
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141228-00000032-jij-pol

 戦闘機じゃなくて実証機ですから。知らない人だと読んだらこれをそのまま量産化すると勘違いするでしょう。まあ実証試作と、量産を前提にした開発は技本でもあやふやといってしまえばそれまですけども。
 それに戦後初の戦闘機は三菱F1ですしね。

>防衛省が国産戦闘機の開発に執念を示す背景には、国産機をベースに将来的な国際共同開発につなげたいとの思惑もある。「最低でも5000億円」とされる多額の開発費を調達するため、共同開発は世界的な潮流だ。

「最低でも5000億円」というのは随分と楽観的な数字です。率直に申し上げて無理です。マトモな戦闘機は開発できません。今までもF-1、F-2もソレで失敗しています。ロシア、インド連合軍のT-50でもそんなはした金で済んでいません。

 機体、アビオニクス、エンジンを全部やるわけですからどんなに少なくとも一兆円はかかるでしょう。下手をすれば2兆円以上。しかも我が国の開発力ですからそれでもマトモなものができるかどうか。
 これまで我が国は本来一兆かかる案件を3千億とか2千億ぐらいで済ませてきたから、まともなリサーチも、基礎研究も、実験もやらずになんとなく他国のそれらしい製品みたいなのをつくってきたわけです。
 しかも少ない予算を天下りがいるあっちのメーカーに配り、こっちのメーカーに配りするので更に効率が悪くなり、実質的な予算は更に少なります。その典型例がFFOSです。

 しかも実戦のデータは全くない。それを他国から買おうともしない。

 F-2戦闘機はまさにそれでした。これを「対艦番長」とかもてはやして、礼賛するのは夜郎自大もいいところです。それほど優れている機体ならば空幕は生産機を減らしはしませんよ。政治が減らせと言っても、頑としてはねつけたでしょう。海幕が当時の石破長官を押し切ってP-1の開発を始めたのをみればわかるでしょう。
 それだけ空幕もF-2はアレな機体だと認識していたというわけです。

 防衛省が問題は無いと言っているから名機だ、というリテラシーの低さと、盲目的な愛国主義、選民主義の超合金ほど迷惑なものはありません。

 そもそも米空軍と同じ玩具が欲しい病で、まともにリサーチも行なわず、はじめにF-22だF35だと選定機種を決めているようなアレな組織にマトモな戦闘機の開発や運用構想が描けるのでしょうかね。そこ、普通に疑問に思うでしょう?
 
 他の装備もそうですが、研究開発費がいくら、何年後までに何機(何個飛行隊)をいくらで調達するのかという、構想も、プロジェクトの総額も明示されない、寿司屋の時価みたいな納税者を舐めた開発や調達をやるつもりです。コスト意識の欠片もない。

 F-2にしても新戦闘機というのは羊頭狗肉です。実質的機既存機の近代化にすぎません。普通近代化は自国で使用しているよく素性の分かった機体を使用します。ところが触ったこともない機体を選んでしまったのでコストがかなり高くなった。例えば南アやイスラエルみたいに既存のミラージュをベースに開発すれば開発コストだけではなく、運用コストも大幅に抑えられますが、F-2はその逆ですから運用コストもかかりまくりです。
 
 この時にソースコードの開示をアメリカ政府から拒否されるという二階に上がってハシゴを外されるような目にあったのですが、F-22やF-35を売って下さい、浮気はしませんと犬のようにしっぽをふってアメリカ様に擦り寄たのですから、安く見られて当然です。しかもオフセットも要求しない。
アメリカは我が国を単なるカモだと思っているでしょう。カモを盟友と思いますか?


 加えて申せば、F-35を選んだ段階で国内の戦闘機生産基盤をあらかた捨ててしまったわけです。戦闘機生産基盤を維持するのであれば、FX選定を先延ばしせず、ユーロファイターか、F/A 18を選んでライセンス国産をすべきでした。しかも防衛省が当てにしていた三菱重工がコンポーネントの生産から降りてしまった。我が国でやるのはガンプラの組み立てと同じレベルで、技術移転も極めて限定的です。
 これだけ屈辱的な扱いを受けておいて、F-35を導入した「ライセンス国産」だと喜んでいるわけですか、アメリカ様からみればカモというよりもカモネギです。

 一旦失った生産基盤を復興するのですから新型戦闘機の生産には余計にコストが掛かるでしょう。

 つまり、空自の人たちは優先順位を決めることも、装備調達のグラウンドデザインもないということです。アメリカ空軍同じ玩具が欲しいだけです。

 カネがないのであればイスラエルみたいにアビオニクスと兵装だけは自国でやるとか、何かを諦めるしかありません。あるいは陸自の3個師団ぐらい潰すとか、海自の護衛艦を何隻か減らすとか。
 そのような戦略的な決断ができず、あれも大事、これも大事と組織内政治ばかりやっているから、予算が広く薄くばらまかれ、どれもこれも中途半端になります。故に戦闘集団としてのケイパビリティが低下しているのです。

 せめて実証機をショーケースとして、アメリカ以外の他国との共同開発こそ真剣に検討すべきです。ですが、アメリカ様というDV亭主に洗脳されているかの我が国の政治家や官僚にそのような決断を期待することは難しいでしょうけども。


東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
「駐在武官」を機能させるために必要なこと
増員だけでは強化にはならない
http://toyokeizai.net/articles/-/55366

『なぜ自衛隊は「暴発する機銃」を使うのか』
2014年11月09日
http://toyokeizai.net/articles/-/52889

アパッチ攻撃ヘリの調達、なぜ頓挫?
問われる陸自の当事者能力
2014年11月02日
http://toyokeizai.net/articles/-/51971

オスプレイ選定の不透明、対抗馬は商用機?防衛省は「複数候補から選んでいる」と強弁
2014年10月26日
http://toyokeizai.net/articles/-/51614

御嶽山への自衛隊派遣、口を挟むとサヨク?必要なのは事実に基づく冷静な議論
2014年10月05日
http://toyokeizai.net/articles/-/49744

戦傷者は「想定外」という、自衛隊の平和ボケ
「国内では銃創や火傷は負わない」との前提
2014年09月17日
http://toyokeizai.net/articles/-/47994


strong>WEBRONZA+に以下の記事を寄稿しました。
厚生年金強制加入は、景気をさらに悪くする
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014111400007.html?iref=webronza

Japan in Depth に以下の記事を寄稿しました。
【防衛省・高機動パワードスーツ開発は税金のムダ】~装備開発の在り方、抜本的に改めよ
http://japan-indepth.jp/?p=12178

【防衛駐在官の質の向上を図れ】~外務省出向システムでは機密情報が防衛省や内閣府に届かない?~

http://japan-indepth.jp/?s=%E6%B8%85%E8%B0%B7%E4%BF%A1%E4%B8%80

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