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2014年の振り返り……(やっぱり研究不正で終わり)

2014年もあと1時間あまり。今年は通常業務に加えて、研究不正関連の仕事が多くなりました。昨年以前から折込済みであった東大分生研の方の問題も、1月末から新たに浮上したSTAP関係も、先週金曜日に同時記者会見が開催され、ある種の到達点に達しました(「解決」という意味ではありません)。

STAP関係は、桂勲先生を委員長とする「研究論文に関する調査委員会」からの33頁にわたる報告書が出ました。詳細な分析を元に、新たに2点の論文不正が認定され、種々のデータの照合からES細胞を元にして出されたデータで構成されていたことがわかりました。このこと自体は、当初から予測されていたことではありますが、細かい遺伝子解析や聞き取り調査に基づいて専門家が4ヶ月で15回の会議を開いてお墨付きとなりました。ただし、報告書を読むと、何度も「オリジナルデータの提出を求めたが、提出されなかった」という記載があり、その結果、分析結果との「不一致の認定を行うことはできず、<研究不正>とは認められない」という結論が書かれている箇所があり、生命科学研究に携わる身として残念に思いました。

ここで言う<研究不正>とは、文科省ガイドラインに沿った「捏造、改ざん、盗用」のことです。これに抵触したと認定された点が2つあったと報告書には書かれています。しかしながら、本来、研究の記録をきちんと残しておくべきなのは、生命科学研究では基本的な「お作法」「常識」といえることです(註:時代や研究分野によって、具体的にどのように記録するのかについては異なるかもしれません)。それが守られていないことについては、狭義の<不正>とは別の次元のことになります。報告書の「まとめ」においては、そのあたり、詳しく書かれています。

一部、抜粋して転記しておきます。
……本調査委員会の調査の基盤になった膨大な科学的検証データは、理研の研究者の熱意と努力によって収集されたものである。これを、STAP 問題が生じた理研の内部から自浄作用が現れたと評価することもできる。また、理研だけでなく全ての研究者は、STAP 問題を自分の研究室にも起こり得る問題と考え、今までよりいっそう思慮深い教育と研究室運営を行うべきだろう。不正防止が大きな流れになるためには、「捏造、改ざん、盗用」を重大な違反と考えるのは当然だが、それだけでなく「研究における責任ある行動」ないし「研究における公正さ」という観点から、より広い視野で研究者倫理を考え、教育を行う必要がある。そこで基礎となるのは、論文のインパクトファクターでも、獲得研究費の額でも、ノーベル賞の獲得数でもなく、自然の謎を解き明かす喜びと社会に対する貢献である。

 STAP 問題は科学者コミュニティに突き刺さった1本の矢である。それを抜いた後も、傷跡を癒し健康を取り戻すために、科学者コミュニティ全体の対応と努力が求められている。
STAP騒動は、一般国民まで巻き込んだという意味において、多くの人々の記憶に残る事件であったと思いますが、東京大学で起きた事件は、不正行為があると認定された論文が33報(もともと調査された論文数は165報)、不正行為に関わった教員4名、筆頭著者7名(調査された著者193名)という大規模なものでした。すでに、昨年の12月26日に論文の疑義に関する調査に関する中間発表を行っていましたが、関係各位に対する聞き取り調査などは、すでに東大から離れている方も多いと考えられ、困難であったことと思います。また逆に、俎上に載っていた方には、一刻も早く結果を出してほしいと願った方もおられるでしょう。

以下、覚書として東大の調査報告(最終)から「発生要因」の一部を転記します。

……これほど多くの不正行為等が発生した要因・背景としては、……国際的に著名な学術雑誌への論文掲載を過度に重視し、そのためのストーリーに合った実験結果を求める姿勢に甚だしい行き過ぎが生じたことが挙げられる。……杜撰なデータ確認、実験データの取扱い等に関する不適切な指導、画像の「仮置き」をはじめとする特異な作業慣行、実施困難なスケジュールの設定、学生等への強圧的な指示・指導が長期にわたって常態化していた。このような特異な研究慣行が、不正行為の発生要因を形成したものであると判断する。

どちらの事件も、多数の研究者が専門家として調査に加わり、大変なことであったと拝察します(今年、問題になったのは、上記2件だけではありませんが、自分自身で十分に情報を整理できていないと判断しますので、ここでは割愛します)。新しい年の幕開けに、研究の公正性、健全性を保つためのアクションが、いっそう求められていると思います。リンク先を見る
(羊の置物は、中学の同級生、佐々木まどかさんの作品です。干支で2周り前の頃だったかもしれません……)

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