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  • kihamu
  • 2014年12月29日 22:07

2014年の政治思想

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国際政治思想の著作では,まず本書と古賀敬太『コスモポリタニズムの挑戦――その思想史的考察』風行社を挙げておきます.いずれも,久々に登場した「政治理論のパラダイム転換」シリーズの新刊です.ほかには論文集として,高橋良輔/大庭弘継 (編) 『国際政治のモラル・アポリア――戦争/平和と揺らぐ倫理』ナカニシヤ出版と宇佐美誠 (編) 『グローバルな正義』勁草書房が出ています.



ここからは個別分野からは離れて.本書は,「政治理論のパラダイム転換」と同じく風行社が立ち上げた新シリーズ,「選書〈風のビブリオ〉」の一冊として刊行されています.同シリーズでは,早川誠『代表制という思想』風行社が先に出ていますが,いずれも劣らず良書です.特に本書は,アリストテレスやアクィナスからスミス,ヘーゲル,マルクス,ひいてはロールズやハーバーマスまで,労働と福祉を軸にした思想史をコンパクトに辿ることができるという意味で,類書を見出しにくいかと思います.



昨年触れた宇野重規『民主主義のつくり方』はプラグマティズムを重視した点に特色がありましたが(宇野先生は上記講座にもプラグマティズムの章を執筆しています),その影響もあってか,プラグマティズム関連本の出版ラッシュが続いています.原典では上記古典集成のほかに,ジョン・デューイ 『公衆とその諸問題――現代政治の基礎』阿部齊 (訳), 筑摩書房(ちくま学芸文庫).その他,コーネル・ウェスト『哲学を回避するアメリカ知識人――プラグマティズムの系譜』未来社,ジョン・P. マーフィ/リチャード・ローティ『プラグマティズム入門――パースからデイヴィドソンまで』高頭直樹 (訳), 勁草書房など.



今年を振り返る上で,映画『ハンナ・アーレント』公開に伴って継続していたアレントブームを外すことはできないでしょう.本書のほかにも,入門書として仲正昌樹『ハンナ・アーレント「人間の条件」入門講義』作品社,川崎修『ハンナ・アレント』講談社(講談社学術文庫)が,研究書としてパトリシア・オーウェンズ『戦争と政治の間――ハンナ・アーレントの国際関係思想』中本義彦/矢野久美子 (訳), 岩波書店が出ています.

アレントとは違いますが,フランクフルト学派とハーバーマスをここに挙げておきましょう.細見和之『フランクフルト学派――ホルクハイマー、アドルノから21世紀の「批判理論」へ』中央公論新社(中公新書),木前利秋『理性の行方 ハーバーマスと批判理論』未來社,ユルゲン・ハーバーマス 『自然主義と宗教の間――哲学論集』庄司信/日暮雅夫/池田成一/福山隆夫 (訳), 法政大学出版局.



「一般意志2.0」との関係を云々しなくても近年ルソーへの注目は高くあり続けていると思いますが,本書はルソー研究の最前線をうかがうために必読でしょう.永見文雄/三浦信孝/川出良枝 (編) 『ルソーと近代――ルソーの回帰・ルソーへの回帰』風行社は,ルソー生誕300周年記念シンポに基づく論文集.



最後に,今年に始まった話ではありませんが「保守」ということが関心を集めていますので,ハイエクの研究書を挙げておきます.ハイエクについては上記講座にも山中優先生が寄稿しており,さらに本書著者と山中先生がどちらも執筆している,桂木隆夫 (編) 『ハイエクを読む』ナカニシヤ出版も出版されています.関連で,ジェレミー・シアマー/ピアズ・ノーリス・ターナー (編) 『カール・ポパー 社会と政治――「開かれた社会」以後』神野慧一郎/中才敏郎/戸田剛文 (監訳), ミネルヴァ書房を挙げておきます.

保守主義については,佐藤一進『保守のアポリアを超えて――共和主義の精神とその変奏』NTT出版が出ています.入門書として,仲正昌樹『精神論ぬきの保守主義』新潮社.


それでは,よいお年を.

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