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美濃加茂市長収賄事件・検察の「引き返せない体質」は変わっていなかった

 浄水設備導入をめぐる汚職事件で収賄などの罪に問われていた岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長の公判が、12月24日、結審したが、藤井市長の主任弁護人を務める郷原信郎氏は、今回の事件で検察の「一度走り出したら引き返せない体質」が全くかわっていないことが明らかになったと語る。

 この事件は日本最年少の首長として全国的にも注目されている藤井氏が、浄水設備導入のための働きかけの見返りに名古屋市の浄水設備会社「水源」の中林正善社長から現金30万円を受け取ったとされる贈収賄事件だが、中林社長が現金を渡したといっている以外に有力な証拠が何一つとしてあがっていないにもかかわらず、藤井市長は逮捕・起訴されていた。

 しかも中林社長は金融機関に対する3億7800万円の融資詐欺を自白している人物で、藤井市長に賄賂を渡したという話も、その取り調べの中で出てきたものだった。

 郷原氏は警察も検察も、全国的に知名度の高い藤井氏の汚職を摘発できれば功績が大きいと考え、中林社長に融資詐欺の罪を軽くする見返りに、藤井氏への贈収賄事件に全面的に協力するよう、事実上の司法取引が行われていたとしか考えられないと指摘する。実際、郷原氏らが告発するまでは、中林社長は自ら罪を認めている4億円近い融資詐欺のうち2100万円分でしか起訴されていなかった。

 融資詐欺の取り調べ段階で中林社長から藤井氏への賄賂の授受を仄めかされ、任意で事情を聞くまではよかったが、マスコミに騒がれて後に引けなくなったのではないかと、郷原氏は言う。

 しかし、当初2人だけの会食の場で現金の授受が行われたとされていたところに、実は第三者が立ち会っており、その第三者が自分は一度も席を立っていないし、現金の受け渡しなど見ていないと証言した段階で、検察は市長の起訴を諦めるべきだったと郷原氏は言う。検察にとってはそこが引き返せる最後のチャンスだった。

 大阪地検特捜部がフロッピーディスクの日付を改ざんした事件では、検察の「一度走り出したら引き返せない体質」が問題とされた。その反省を踏まえて様々な検察の改革が行われたはずだったが、残念ながら今回の公判を見る限り、一度走り出したら止まれない検察の体質は寸分も変わっていないと言わざるを得ないと郷原氏は言う。

 特捜検事として実際に汚職事件を捜査した経験を持ち、今回の事件では藤井市長の主任弁護人を務めた弁護士の郷原信郎氏に、ジャーナリストの神保哲生が聞いた。

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