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教員の自腹購入を減らすための教材セールサイト「Educents」

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現在米国には、720万人の教師が存在する。その大多数が学習教材の研究ために、年間で平均500ドル(約6万円)ものお金を掛けているという。一方保護者の方も子どもの学習教材に掛ける額は総計で約260億ドル(約3兆円)もあり、教材にかかるお金は教育者・保護者の両方に大きな負担を強いている。

このような人たちの負担を軽減するためにより安く教材を提供しようとしているサイトもある。たとえば以前当ブログで取り上げた「TeachersPayTeachers」は、教師が制作した教材を別の教師が買えるしくみをつくることで、教育者のサポートを目指したサイトだった。

今回ご紹介する「Educents」も同じく教師や保護者、生徒の教材への負担を軽減するために生まれたサイトだ。同サイトはグルーポンのようにフラッシュセールのしくみをつくることで、定価より30~90%割引するという、格安での教材の提供に成功している。

2013年1月、カリフォルニア州オークランドを拠点に設立。創業から現在に至るまで700以上の教材が掲載されており、Educentsのサイトを通した教材購入者は13万人を超えたという。またこれまでに総額120万ドル(1億4000万円)の投資を集めており、今後の成長も期待される教育業界の新星とも言える存在だ。

教師や保護者たちが教材にかける費用は大きな負担になっている

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Educentsの創業者はKate Whiting(写真左。以下ホワイティング)氏とKaitlyn Trabucco(以下トラブーコー)氏。2人はミルズ・カレッジという全米でも屈指の名門である女子大の同級生だ。

ホワイティング氏は2009年から「Homeschool.com」という、ホームスクール(学校に通わずに在宅で教育する)の家庭を支援するための学習カリキュラムや教材情報を掲載するサイトのマーケティング統括責任者として働いていた。また、個人事業主として教材販売のマーケティングもしていたという。

それらの事業を通してホワイティング氏が感じていたことは、教師や保護者、学生たちが教材にかける費用が年々増加し大きな負担になっているということだった。

後に彼女とトラブーコー氏が市場調査を行ったところ、720万人いる米国の教師の99%が年間495ドルの教材を自費で購入していたそうだ。また保護者が約267億ドル(約3兆円)ものお金を子供のための学習教材に費やしていたことも分かったという。

教材にこれだけのお金がかかるということは、学びたくても学べない子どもがいるということでもある。ホームスクールで学んでいる生徒を含めた、全ての子供たちが教育の機会を得られるようにしたいと考えたホワイティング氏は、効率的な商取引とテクノロジーを組み合わせてより低価格で教材を提供することで、こうした負担を軽減したいと考える。

教材販売のかたわら通っていたミルズ・カレッジの同級生であるトラブーコー氏にこの考えを話してみたところ、彼女も賛同。その後ホワイティング氏が2012年、トラブーコー氏が2013年にカレッジを卒業し、2013年1月に会社を設立。2014年4月から教材を格安で販売する「Educents」の営業を開始することになったのである。

定価より30%~90%割引する「教育のグルーポン」

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Educentsにて掲載・販売可能な製品は、教育的価値のあるもので、その条件を備えていれば教科書でなくても構わない。そのため販売ページには数学や科学などの教材やオンラインカリキュラムの他、ソフトウェアや電子書籍、おもちゃや楽器などさまざまな製品が並んでいる。また教材の対象年齢も幼稚園前から高校生までと幅広い。

ホワイティング氏らが同サイトを「教育のグルーポン」とたとえるように、フラッシュセールで教材を販売することで、定価より30%~90%ディスカウントされた価格での提供を実現している。ただしフラッシュセールであるため、良い商品は早期に終了してしまう可能性もある。

商品のジャンルは「おもちゃ」「音楽」「数学」「科学」「幼稚園入学前」「幼稚園~小学2年生」「小学3~5年生」「中学生」「高校生」から選択可能。販売ページではグルーポンなどと同様、元の値段と割引率、価格が記されている他、どのような生徒を対象とした製品であるのか、どのような内容が含まれているのか、その製品のアピールポイントなどが説明されている。

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たとえば「CTC Math」という製品はホームスクールで学ぶ子どもをターゲットとした数学教材で、あらゆる年齢に対応しているという。扱っている内容は代数、統計、幾何学、三角法、確率その他で、1367のアニメーションとナレーション、数学のレッスンがついており、5万7000以上のインタラクティブな問題を解くことができるそうだ。

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(引用:You Tube「CTC Math Demonstration」)

その他診断テストや生徒、保護者への定期的なフィードバックも用意されている。授業では分からないところがあっても質問できなかったり引っかかっている部分を復習することが困難なためにストレスを感じることも多いが、自分の好きなところでレッスンを一時停止し、理解できるまで学ぶことができるのがこの教材の狙いだ。

割引率は60%オフで、生徒が1人の場合は半年で49.99ドル、1年で79.99ドル。この教材が良いかどうかを判断しかねる人のために無料のサンプルレッスンへのリンクもあった。

30~90%オフを売りにした教材のフラッシュセールサイトだけあって、同サイトの教材のお得度はかなり高めだ。たとえば3~10歳の子供向けのオンライン語学学習コースである「Petra lingua」の通年コースは11.99ドルで販売されていた。これは本来であれば47.99ドルする教材だ。

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また科学をパソコンで学べるソフト「Mosa Mack Science Detective」(対象年齢4~8歳)は本来59ドルするのだが、同サイトでは21.99ドルで販売されていた。

教材の中には、無料で購入可能というものさえある。アプリケーションが4ヶ月無料になるものなどサンプル的な要素は強いものの、教材の良し悪しが判断しづらい買い手にとっては嬉しいサービスだろう。

Educentsはサイトを設立してからすぐに訪問数・教材購入数を増やすことに成功している。友達にEducentsを紹介することで人数×1ドル分のポイントを獲得できるキャンペーンやアフリエイトプログラム、ブロガーレビュー依頼など様々なマーケティング方法も実践されているのだが、基本的に口コミでサービスは広がっていったという。

「革新的な教材の開発を手助けしたい」

売り手は30%以上ディスカウントした価格で販売することに同意する必要がある。さらに売上の50%は手数料としてサイトに課金する必要がある。

こうした条件でも沢山の業者が同サイト上で教材を販売している大きな理由は宣伝効果を狙ってのことだが、それだけではない。教材を使ってもらうことでフィードバックを得て、商品の改善につなげられるというのも大きなメリットだ。

ホワイティング氏はただ子どもたちに等しく教材を提供するのみでなく、良い教材の作成に携わっている中小企業や起業家たちのサポートをしたい想いもある、と話す。

"小さな起業家にはマーケティング予算がないこともよくあるもの。その中にはとても革新的な製品を開発している人たちもいるわ。私たちはそういった中小企業やアプリを作成に携わっている先生の手助けをしたいと思ってるの"
ホワイティング氏

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