- 2014年12月18日 10:07
欧米のスタートアップ起業家が語るアジアの現状
2/5ロバート・ラング: Gengoは、翻訳プラットフォームおよび翻訳APIサービスを提供しています。私達は、楽天、TripAdvisor、Alibabaを含む大企業や中小企業のクライアントによる海外展開を支援しています。現在、Gengoのプラットフォームを介して、35ヶ国の言語の翻訳が依頼され、1万1000名以上の翻訳家が対応しています。
2009年に東京でGengoを立ち上げました。「Gengo」は日本語で、言葉を意味します。私達はシリコンバレーと日本文化に親しんでいました。共同ファウンダーは、日本人とアメリカ人のハーフであり、私の親は英国人とオーストラリア人です。現在、50名以上の従業員を抱えていますが、その3分の2は東京のオフィスに、そして、残りの従業員はサンフランシスコのベイエリア地区で仕事をしています。
TNW: どのようなクライアントを抱えていますか?また、クライアントが多く存在する地域はどこですか?
ロバート・ラング: 楽天、TripAdvisor、そして、Mozilla等の大企業、YouTube、Fliplingo等、翻訳をユーザーに販売するチャンネルパートナーをクライアントに抱えています。さらに、多くの中小企業にも利用してもらっています。クライアントは、API、または、ウェブサイトを通じてGengoのサービスを利用しています。クライアントの大半は日本と米国の会社ですが、世界各地にクライアントがいます。事実、Gengoは、世界のほとんどの国の言葉の翻訳に対応しています。
TNW: アメリカで事業を運営することが出来たと思いますか?可能であったなら、どのようなことに魅力を感じて、アジアで会社を経営しているのですか?
ロバート・ラング: アメリカでも営業は可能ですし、実際に米国に営業オフィスを設けています。ただし、私達の会社は日本生まれであり、従業員の3分の2も日本で仕事をしています。
しかし、どちらかと言うと、文化的な面が、こちらで事業を運営する判断に影響しています。日本では、日本人であれ外国人であれ、言語のバリアを乗り越えようとします。アメリカでは、そうはいきません。また、Gengoは優秀な技術者のチームを東京で編成していますが、シリコンバレーで同じチームを作るには高額なコストがかかり、維持することも難しいのです。Gengoは、シリコンバレーのスタートアップと日本の考え方をミックスした企業だと言えるでしょう。
また、非英語圏のインターネット、アメリカ以外のEコマースプラットフォームの発展が、Gengoの成功に大きく貢献しています。アジア圏のクライアントは今後の5年間で大幅に増えていくと思われます。
TNW: 地元の人材を採用する際に問題に直面したことはありましたか?海外の人材も採用していますか?アジアに迎える上で、あるいは、本国を去る点を納得してもらう上で、苦労したことはありましたか?
ロバート・ラング: 当初、現地での採用活動は難航しました。日本では、スタートアップの評判は芳しくありません(改善の兆しは見られます)。そのため、日本人の採用に苦戦しました。しかし、現在、会社の規模は拡大し、(全国的なメディアで取り上げられ、NTT Docomo等から資金調達を受けたことがプラスに働きました)社会的な地位も上がりました。その結果、日本人と外国人の従業員の比率も改善されました。この方法で、今後も成長を続けることが出来ると私は確信しています。
Gengoは、アメリカ、イギリス、さらには、南アフリカから人材を招いています。Gengo、そして、日本の双方を愛していることが条件であり、外国人の採用は容易ではありません。しかし、この2つの条件は最強のコンビだと言えます。海外での生活には不安が付きものであるため、やはり外国人の人材の採用は容易ではありません。そのため、外国人の採用には慎重に対応し、長期間にわたる移住を実施(& 支払い)する前に、内定者に移住する国を「試す」手段を考案するアプローチを薦めます。
TNW: アジアで事業を運営する主な欠点を教えて下さい。
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ロバート・ラング: 以前、日本で資金を調達するのは非常に大変でしたが、この状況は少しずつ改善されています。それは嬉しいのですが、実際に、日本で資金調達に成功したスタートアップはほんの僅かです。この状況が改善されるように、産業革新機構等の政府機関にはベンチャーファンドに資金調達してもらいたいと思っています。
また、スタートアップを理解する人材を見つけることが出来ずに苦労しています。Gengoに応募する人材は、自らこの会社を選んでいますが(スタートアップを好む傾向がある)、シリコンバレーの文化に精通している人がもっと増えてくれると嬉しいです。
日本の採用活動はアメリカとは異なります。シリコンバレーよりも採用にかかるコストは低く、他のスタートアップと人材の取り合いをするために、ヨガクラスや寿司の食べ放題や執事サービス等、余分に福利厚生を充実させなくても済むことに満足しています。ただし、シリコンバレーには、スタートアップを愛する超優秀な人材が集まっています。東京にも同じぐらい優秀な人材はいますが、非常に希少です。そのため、確実に採用しなければなりませんし、油断して優秀な人材を見逃すような失態は許されません。



